2月 28, 2005

スポ根でツンデレな妹「銀盤カレイドスコープ 4」

有名フィギュアスケーターを姉に持つ少女が、自分にとっての大切なものを見つける成長物語り。
「銀盤カレイドスコープvol.4 リトル・プログラム:Big sister but sister」著:海原零/絵:鈴平ひろ(スーパーダッシュ文庫 2月刊)

今一つ自分の演技に自信を持てない12歳の桜野ヨーコ。
競技会後の更衣室で、神尾来夢・12歳に嫌味を言われます。

コミカルで爽やかです。
疾走感のある演技のシーンが素晴らしいです。
ぜんぜんスケートなんて詳しくないのにドキドキします。
前作からは半年経った秋のお話です。

桜野ヨーコ、悩める小学6年生です。
苦労しているせいか、ませています。
いろいろとつたない感じも良かったです。

本編の主役である桜野タズサ、今回は脇役です。
語りはヨーコの一人称なので、タズサは妹から見た姉として描かれています。
多少変わり者でも、頼りになる優しい姉です。

他のレギュラーたちも、ヨーコ視点なので微妙に違う印象なのが面白かったです。

帰宅後の一連のエピソードは、おまけの短編といった風に分けてもらったほうが、余韻に浸りやすかった気がします。

シリーズは、続くみたいで楽しみです。

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2月 01, 2005

讃えられる代償「イコノクラスト! 2」

うかつな少年が、周りに煽られて巨大ロボットで戦う異世界スチームパンクです。
「イコノクラスト!(2)He acts heroism 英雄」著:榊一郎/絵:OKAMA(MF文庫J 1月刊)

ついに最初の一体を撃破した省吾。
秘密結社レネゲイドは、より大きな権勢をもとめて策謀を始めます。

やや鬱系です。
目隠しをして地雷原を歩く主人公を、ハラハラしながら眺める感じです。
あからさまではありませんが、グロテスクな設定があります。
懸命な少女たちが、ダークさを緩和しています。

主人公の省吾、異世界に跳ばされた普通の高校生です。
気付いてないだけで、すでにヤバイ事になってます。
まともそうなメリニが、なにげに一番壊れていそうで怖いです。

花梨あいかわらず頼りない従兄をかかえて苦労しています。
主人公に姫巫女の2・3人も篭絡する根性があれば楽なんでしょうが。
ゼブロンとペルテアの父娘は、多少力になってくれそうな感じもします。

レネゲイドの巨頭のみなさん、あいかわらず策謀に忙しそうです。
いくぶん憂鬱そうな省吾を見て、宇宙飛行士のガガーリンを思い出しました。

あとがきによると10巻程度を予定しているそうです。
崩壊は早く来そうな気がするのですが・・・。
花梨には頑張って生き残って欲しいものです。

リンク集: 榊一郎OKAMA

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1月 28, 2005

迷子の魂「ぴよぴよキングダム 2」

ヒヨコ型知的生命体のドタバタに巻き込まれた少年と少女のジュブナイルSFです。
「ぴよぴよキングダム 2 ときのしおり」著:木村航/絵:竹岡美穂(MF文庫J 1月刊)

『恋の儀式』に決着がついて半月、世界中の報道陣の見守るなか『聖婚の儀』が行われます。
あかりは、緊張している自分に苛立っています。

あかり中心です。
今回は、意地っ張りな彼女が、恋愛と自分に折り合いをつけるお話です。
世界もなにやら不穏です。
スピード感のある展開が楽しかったです。

磐座あかり、攻めの生き様の女子高生です。
守りにまわると弱々です。
芽生えた恋心で、暴走気味です。

あかり母親・点子(ともこ)、たくましさと弱さが渾然としていて素敵です。
森山拓、頼もしくなってきています。
ピックル、癒しのアイテムです。
前巻では本心を見せなかったチュルリラ姫の思いの一端が示されます。
ブランク、懲りてないようです。
市ヶ谷珠理、テンション高く掻き回します。

母と娘の微妙な関係が良かったです。
リリッチや、ピッチパッチの故郷の様子が興味深いです。
良い人な仁村優の出番は少なかったです。
前巻と違い、今回は場面ごとに視点が変わるライトノベルによくある構成でした。

今後のための伏線が色々と張られています。
ヒヨコも増えて、シリーズ化する感じです。

リンク集: 竹岡美穂

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1月 26, 2005

夏休みに正義の味方「渚のロブスター少女」

少し不器用な少女が、海で頑張るコミカル・レスキュー物語りです。
「渚のロブスター少女」著:あきさかあさひ/絵:MATSUDA98(ファミ通文庫 1月刊)

泳ぎをおぼえられないまま夏休みをむかえた中学2年生のみお。
兄にそそのかされ特殊装備で海難救助活動を始めます。

新人さんです。
地味です。
萌えバカ小説を想像していたので少し肩透かしに感じました。
海辺の町が舞台の、少女の心の成長物語りです。
ほのぼの爽やかで、思いのほか楽しめました。

主人公の海老原みお(深青)、カナヅチの女の子です。
イルカと泳ぐことを夢見て努力しています。
真っ直ぐさが眩しいです。

兄の真太郎、マッドな登場のわりに、普通にいいお兄さんです。
なにか物足りません。
ハジケてるのかシリアスなのか色付けが不安定で、印象がやや弱いです。

イルカのククーラ、可愛いです。
親切な水族館のお姉さん・新谷京子や、意外に鋭い友達の白沢亜由美もいい感じです。

あの黒幕を放ったらかしで終わっているのは、スッキリしませんでした。

優しく率直な雰囲気に、好感が持てました。
ククーラの活躍なども見てみたいです。

リンク集: あきさかあさひMATSUDA98

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1月 25, 2005

人間であらねば「君の居た昨日、僕の見る明日2」

優しい嘘の世界・鈴乃宮学園に転校生がやってきます。
「君の居た昨日、僕の見る明日2 ―FAKE HEART―」著:榊一郎/絵:狐印(富士見ファンタジア文庫 1月刊)

なにかと勘違いしている詩月たちにツッコミつつ登校する優樹。
奇妙な少女を見つけます。

小さな世界で、学校生活を送ろうと試行錯誤する少年と少女たちの物語りです。
基本的にはマッタリゆったりでセンチメンタルな雰囲気です。
今回は、少しだけアクションだったりスプラッタだったりしました。

主人公の優樹、学園でただ1人の男子生徒です。
唯一の常識人として頑張ってます。

紅葉と新キャラのネレイドが中心のお話です。
2人とも健気です。
ネレイド、なかなかシュールです。
紅葉の理由が明かされます。

詩月たち、あいかわらず賑やかでパワフルです。
四季少女たちも格好良く活躍してます。

いずれ訪れるであろう卒業は、まだまだ先のようです。
ドラゴンマガジン連載の短編版はまた違う話のようなので、文庫化されるのが楽しみです。

リンク集: 榊一郎 狐印

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1月 23, 2005

戦う看板娘「カエルと殿下と森の魔女」

妖魅の跋扈する闇の森のきわに建つ宿屋兼酒場・緑竜亭が舞台のコミカル・ファンタジーです。
「カエルと殿下と森の魔女 緑竜亭繁盛記」著:橘柑子/絵:堤利一郎(ファミ通文庫 1月刊)

緑竜亭の一人娘・リュン、こづかい程度の給料で家の手伝いをしている現状に不満を感じています。
ある夜、煌びやかな甲冑をまとった奇妙な客が訪れます。

新人さんです。
ライトノベルらしいファンタジーです。
ほのぼのとした雰囲気で、イラストもピッタリでした。
童話風味のテイストです。

リュン・グリーン、15歳の元気で世話好きな少女です。
寡黙な料理人の父親に代わって宿の切り盛りをしています。
おぼんとモップで酒場の秩序を守ります。
ブラックとアンバー、粗暴とキザの対照的な2人です。
迷惑だけど頼りになります。

王子様、なかなか楽しいダメダメっぷりです。
こういうのも一種のドジッ子でしょうか。

前半がスローペースだったのでちゃんと一冊で終わるのか微妙に不安でした。
中盤からは急転直下の展開で良かったです。
最後、王子たちの結末を直接見届けられなかったのは、少し心残りです。

まだまだ色んな客が緑竜亭を訪れそうです。
開拓民のみなさんも気になります。
ストーリー運びに多少のぎこちなさも感じましたが、続巻が出れば買います。

リンク集: 堤利一郎

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1月 19, 2005

大騒ぎの年の瀬「白い迷宮」

青年が少女を守って戦うホラーっぽい道具立てのアクション・サスペンスです。
「白い迷宮」著:田中芳樹/絵:ふくやまけいこ(講談社文庫 1月刊)

来夢たちと冬休みを過ごすことになった耕平。
北本氏の友人の別荘である雪原の古城を訪れます。

冬のお話です。
雪がたっぷり出てきます。
これまでよりややバイオレンスな印象です。
今回も来夢、いろいろと狙われています。

北アルプスを望む雪の原野に移築されたスコットランドの古城が舞台です。
ゴシック・ホラーと銘打たれたシリーズですが、もはやサイキック・アクションな感じです。

能戸耕平、見た目は普通の大学1年生です。
数々の異常事態をくぐり抜け、場慣れしてきた感じです。
積極的に先手を取ろうとしています。
立花来夢、しっかりした小学6年生の女の子です。
素直な子供らしい子供ですが、耕平より精神的に大人にも見えます。

お婆さんたちが、いい味だしてます。
なにか憎めない感じです。
やってることはエグイのですが。

四季に対応した全4巻の3巻目です。
ネタバレになると思うので、解説を読むのはシリーズ全巻を読んでからの方がいいかと思います。
つぎは「春の魔術」です。

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1月 15, 2005

アホなのに強敵「いぬかみっ! 5」

怪異を祓う犬神使いと、その犬神とのドタバタを描くラブコメ風のバカ小説です。
「いぬかみっ!5」著:有沢まみず/絵:若月神無(電撃文庫 1月刊)

啓太が、格好よかったです。
今回は、変態度は低めでした。

構成は、短編3つに中篇が1つです。
たゆねがメインの怪談大会と、なでしこが啓太を癒す話は、いつも通りの軽い短編です。
中篇は、珍しくシリアスな感じで面白かったです。
最後の短編では、なにげに重要な設定が明かされます。

口絵にキャラクターの紹介をかねたミニコミックが、各話の最後に4コマまんががついてます。

女の子の比率は高いのですが、ハーレム物といえるかは微妙なシリーズです。
これまでのエピソードやキャラクターを把握していることを前提に書かれていて説明はあっさりめです。

川平啓太、犬神使いの高校生です。
言動は軽薄ですが、意外とストイックにも見えます。
不幸を呼び寄せる体質なのか、妙なモノや変質者につきまとわれます。
ようこ、啓太のパートナーの犬神です。
情が深く独占欲が強い少女(?)です。
わがままで乱暴ですが、けなげです。

妙に最後きれいに終わっていて、一瞬、最終話?と思ってしまいました。
あとがきによると、シリーズはまだまだ続くみたいです。

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1月 12, 2005

離島の夏休み「ミナミノミナミノ」

どことなく妖しげな南海の離島で少年が過ごす中学最後の夏休みを描くシリーズの第1巻です。
「ミナミノミナミノ」著:秋山瑞人/絵:駒都えーじ(電撃文庫 1月刊)

高校受験を控えた夏休みを小さな南の島で過ごすためフェリーに乗りこんだ武田正時。
姉のような叔母の理香子から奇妙な首飾りをもらいます。

読み切りではありません続き物です。
引きで終わっています。
この巻だけ見れば、ラブコメです。
山場までは、まったりのんぴりと過ぎていきます。
微かにただよう因習や秘密の匂いがスパイスです。

主人公の武田正時、世慣れた感じの中学生3年生です。
悪くはないのですが、設定が上滑りしているところがちらほら感じられました。
酒盛りの場面のツカミのジョークとか、中学生が口にしても、退かれるか頭を叩かれる気がします。
それとも、本人が気づいていないだけで、生暖かく見守られていたのでょうか。

秦納舞部春留、孤独で頑なな中学生3年の少女です。
ギクシャクした敬語が微笑ましいです。
強気の陰にちらちらみえる怯えがキュートです。

田舎での夏休みといった雰囲気が楽しいです。
寂れた観光地の守人島と、独立独歩な印象の岬島の対比が面白いです。
温和で無遠慮な島の大人たちが好感触です。
左吏部真琴たち3人組、いかにも田舎の友達といった感じです。
バス屋が渋いです。

後書きによれば、次巻は激しいアクションとなるようです。
凄惨な感じになるかもしれません。
「イリヤの空、UFOの夏」に対する補完なのでしょうか。
結末はハッピーエンドであって欲しいですが微妙な気がします。

リンク集: 駒都えーじ

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1月 11, 2005

迷走している?「百鬼夜翔 霧が惑う暗夜」

人間社会にまぎれて暮らす妖怪たちを描くシリーズの最終章・中巻です。
「百鬼夜翔 霧が惑う暗夜」著:友野詳&グループSNE/絵:あるまじろう(角川スニーカー文庫 2004.12.28)

魔霧発生の中心とみられる富士山に集結したバロウズ側の妖怪たち。
洋大は迷いを抱えながらも山頂を目指します。

前巻もですが、重複が多くて話の焦点がぼけている気がします。
統一感がなく、行き当たりばったりに見えます。
アクションシーンはそれなりに楽しめましたが、理由が間抜けに見えて今一つです。
妖怪と人間のあり方という大きな視点から、洋大やひかりの個人の事情レベルに焦点が移っています。

主役級の妖怪が霧を広げる側へ協力する原因となる出来事がみんな似ているのは、投げやりな感じがします。
避難した人としてない人がいる理由も不明でご都合主義に感じます。
ひかりに対するバロウズ側の対応が友人による説得というのも違和感があります。
妖力で洗脳されているのではなく素であの行動なのでしょうか。

洋大の説得シーンは、良かったです。
でもそのために、律子も含めて暴れている者たちがよけいに薄っぺらに見えてしまい、だれた印象を受けました。

妖怪大決戦にならなかったのは良かったです。
でも、この話が最終話である意味が分かりません。
このまま進んで事件が解決しても、なにも終わりも始まりもしない気がします。
洋大の三角関係の清算くらいはできそうですが・・・。

重複部分などを削ってまとめれば、それなりに面白くなりそうなだけに残念です。

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1月 09, 2005

子育てで親に「ゆめみる妖精」

人間になった妖精の少女と、唐突に父親となった男のホームコメディ風ファンタジーです。
「プリンセスメーカー ゆめみる妖精」著:細江ひろみ/絵:赤井孝美,四位広猫(ファミ通ゲーム文庫 1996年刊)

不名誉な怪我のために若くして騎士の地位を退いたライアン。
家族を失い孤独な家の中に、何者かの気配を感じます。

童話風の優しく暖かい雰囲気です。
お話の展開はやや早めです。
親娘2人の成長の物語りです。

ライアン、うかつな青年です。
お人好しですが思い込みが激しく周りが見えていません。
娘を育てることで大人となります。
ミリアン、元気で生真面目な10才の少女です。
良い子ですが、意外としたたかなのかもしれません。

ウズ、しっかり者に見えて調子の良いヤツです。
市場の顔役のマライアおばさんなど、脇役も個性がハッキリしていて良い感じです。

ブラウニーに羽があるのは、ゲームの設定のためでしょうか。
原作は、プレイステーションで発売された「プリンセスメーカー ゆめみる妖精」です。
この本を読んだ後に、ゲームも買いました。
ゲームのほうには、なぜ父親になったのかなどの細かな説明はなかったような気がします。
一度クリアしただけで満足してしまったために、どの程度、原作に忠実なのかやネタバレの度合いなどは実のところ分かりません。

ほのぼのとしたストーリーです。
ゲームのノベライズですが、原作ゲームの知識は必要ありません。
一つの物語りとして楽しめます。

リンク集: 細江ひろみ

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12月 28, 2004

金色でパワーアップ「あるある!夢境学園 6」

耐える達也、見守る江利香ともう1人といった巻です。
「あるある!夢境学園6 某大国からの刺客(下)」著:新木伸/絵:かねこしんや(ファミ通文庫 12月刊)

海辺での合宿を楽しむ防衛部の面々。
沖合いに不気味な黒雲が現われます。

バカップルと猛特訓という話です。
なかなか燃えます。
合宿の続きですが新展開もあります。

おまけの短編が付いてます。
若き日の千鶴先生を描く外伝です。
女2人無頼旅、上海編といった感じでした。

主人公の一文字達也、屈辱の底を這いずります。
孤独な頑張りです。
ヒロインの江利香のやきもき振りが、切迫感を高めます。

暗殺者ヨシコ、なんか良いヤツです。
爺さん、絶倫で脂ぎってます。
狭間太郎、地味に男を上げています。
桃子のチンピラ振りが素晴らしいです。

あらためて見直すとカップルだらけです。
ありがちな設定を集めたコメディですが、ハーレム物にはならないようです。
アトランティス滅亡の真実も、あまりありがちではありませんでした。

リンク集: 新木伸かねこしんや

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12月 27, 2004

広い世界へ「新・はっぴぃセブン 9」

4度目のクリスマスを迎える七福娘たち、シリーズ節目の巻です。
「新・はっぴぃセブン vol.9 ハッピー・クリスマスをあなたに」著:川崎ヒロユキ/絵:COM(スーパーダッシュ文庫 12月刊)

新たにサヤンを加えテーマパークの業務に戻ったメンバーたち。
菊之介のもとに謎の電子メールが届きます。

いつも通りサクッと軽い感じです。
シリーズの転換点です。
ストーリーを追う展開で、恋愛がらみのドタバタはひかえめです。
衣装替えの多い華やかさは変わりません。

主人公の菊之介、ダメダメ君だった最初の頃からずいぶんと成長したものです。
頼り甲斐がでるのにしたがって、恋愛からは遠ざかっている感じがします。
その分、女の子たちが積極的になって距離感は保たれているわけですが。

SHK編になって華やかさは増しましたが、女の子たちのたくましさが減ってきている気がします。
以前は、もっと自立している感じが強かったと思うのです。

山羅寺、お父さんしています。
未登場だった兵藤衆の組頭も活躍します。

黒闇天との関係にも大きな変化が起こりました。
次からの新展開も楽しみです。

リンク集: COM

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12月 24, 2004

薔薇と剣技「西の善き魔女 2」

王宮へ上がるための教育を受ける高地育ちの少女の学園生活。
「西の善き魔女 II 秘密の花園」著:荻原規子(中公文庫 12月刊)

貴族としての教育を施されるフィリエル。
トーラス修道院付属女学校へと送り込まれます。

題名通り花々が散っているようなお話でした。
どことなく素朴さも感じるストーリーです。
サスペンス風味のスポ根といった風で面白かったです。
適度に、どろどろしています。

主人公のフィリエル、毅然として、へこたれない所が魅力的です。
ルーンとの微妙な関係は、進展しているようなしてないような感じです。

アデイル、ちゃっかりしています。
趣味が実益をともなっていたり、美味しいところを持っていったりします。
イグレイン、りりしいです。
マリエ、意外にも頼りになります。
ユーシス、人が良すぎていろんな人にいいように使われているような・・・。

トーラス、政略結婚をする女性のための花嫁学校といった所です。
あんな授業をしているとは、なかなか怖い女子校です。

王宮へとつなげるためか、少し駆け足な気もしました。
華やかなのは、いいものです。

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12月 23, 2004

主役は戦争「星界の戦旗 4」

三ヵ国連合に対し、さらなる攻勢にでたアーヴ星間帝国を描く巻です。
「星界の戦旗 IV 軋む時空」著:森岡浩之/絵:赤井孝美(ハヤカワ文庫JA 12月刊)

ラフィールは、襲撃艦フリーコヴ艦長として人民主権星系連合体の重要拠点攻略に参加しています。
一方、翔士となった弟のドゥヒール殿下は、別の戦線の戦列艦へと配属されます。

軍記物っぽいのも好きなので、面白かったです。
政治と戦闘シーンが中心です。
大加速はいいものです。
全体に人物の描写が薄い印象で、誰が主役かハッキリしません。
あえていうなら戦争でしょうか。

ラフィールとジント、戦闘に忙しくプライベートなシーンがありません。
恋愛面が、進んでいるのか進んでいないのかモヤモヤします。
2人の掛け合いがほとんどなくて、やや物足りません。
むしろ、弟のドゥヒールに焦点があたっていました。
ラフィール、あいかわらず格好良くて微妙にお茶目です。
ジント、伯爵としてまだまだ修行が必要なようです。

アトスリュア率いる蹂躙戦隊の面々がいい感じです。
ラマージュ陛下の出番が多めです。
今回は、スポール提督たちの登場はありませんでした。
コトポニー元帥、ヴォーニュと、ドゥヒールは年上の女性に縁があるようです。

引きで終わっています。
ストーリーは、安定している感じです。
すぐに続巻が出てくれるのなら文句はないのですが。

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12月 21, 2004

遠くにありて思うもの「星界の戦旗 3」

故郷との決着を迫られるジントを描く巻です。
「星界の戦旗 III 家族の食卓」著:森岡浩之/絵:赤井孝美(ハヤカワ文庫JA 2001年刊)

アーヴ星間帝国によって再占領されたハイド星系を、統治するための準備を進める、ジント。
休暇を取り、ラフィールをともなって故郷へと向かいます。

まったりしています。
ジントたちより周りで話が進んでいます。る感じです。
ちょっと中休みといった感じの巻です。

ジント、おろおろするばかりでパッとしません。
かなりナイーブになっています。
ラフィール、いろいろ思うところがあるようです。
二人の関係も進んでいるような感じもします。

バースロイルの面々が活躍します。
出世したり、立場が変わったり様々です。
懐かしい顔ぶれも登場します。、

結末には強引さを感じました。
慣例を重んじる帝国が支配システムを混乱させるような取り決めを許すのには、違和感があります。
いまだに住民が、反リン家というのも単純過ぎます。
ジントの思い込みに領民代表側がつけこんでいるだけかもしれませんが。
また、ティル・コリントが、あいかわらず甘ったれているのも嫌な感じでした。

ジントの領地問題に決着をつけて、今後に備えたといったところでしょうか。

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12月 20, 2004

泥臭い占領「星界の戦旗 2」

新たに星系を併呑していくアーヴ星間帝国を描くシリーズの2巻目です。
「星界の戦旗 II 守るべきもの」著:森岡浩之/絵:赤井孝美(ハヤカワ文庫JA 1998年刊)

ラフィールはまたも領主代行を命じられ、突撃艦バースロイルで惑星ロブナスIIへと向かうことに。
ジントの政治力が問われます。

ごたごたが拡大していく展開に、引き込まれます。
ラフィールの決断と女心が、せつないです。
前巻が宇宙でラフィールだったのに対し、この巻は地上でジントです。

ジント、利害調整にテンテコ舞いです。
苦労を背負い込む、なかなかハードな人生です。
ラフィール、戸惑い気味です。
事態が地上で進行するため見ているしかない場面も多いです。

サムソンが、渋いです。
ディアーホは、お留守番です。
スポール提督が、格好いいです。

地上世界の統治は“優雅からはほどとおい仕事”といった巻です。
抑圧されていた利害の対立が、占領によって噴出する。
イラクのアメリカ軍を思わせます。

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12月 19, 2004

華麗なる星間戦争「星界の戦旗1」

宇宙空間の制圧による人類の恒久平和を目指すアーヴ帝国の戦いを描く「星界の紋章」の続編です。
「星界の戦旗 I 絆のかたち」著:森岡浩之/絵:赤井孝美(ハヤカワ文庫JA 1996年刊)

3年間の修技生生活を終え突撃艦に配属された、ジント。
アーヴの反攻作戦が始まります。

全編、戦争です。
主力のぶつかる艦隊戦が燃えます。
パートナーとして馴染んだ2人の関係が、気持ちいいです。
恋愛面は進んでいるのかどうか微妙です。
猫は、いいものです。

ラフィール、艦長としての初陣に緊張する姿がういういしいです。
ジント、落ち着きが出て、いい感じに彼女を補佐してます。

エクリュア、無口な猫好きで、趣があります。
アーヴの将官たちが、大活躍です。
皇太子ドゥサーニュのとぼけた感じが和みます。
猫のディアーホも再登場です。

大規模な宇宙艦隊戦は、スペース・オペラの華といった感じです。
きちんと終わっているのも良かったです。

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12月 17, 2004

誇り高い星たちの眷属「星界の紋章」

戦火に呑み込まれた少年と少女の逃走劇を描くスペース・オペラです。
「星界の紋章(全3巻)」著:森岡浩之/絵:赤井孝美(ハヤカワ文庫JA 1996年刊)

身分にともなう軍役の義務のはたすため、帝都の軍の事務官養成学校へと向かうジント。
迎えを待つ宇宙港のロビーで、毅然とした雰囲気の少女と出会います。

主人公とヒロインの掛け合いが楽しいです。
ラブコメっぽいところもありますが、恋人というより親友といった感じです。
細かく構築された世界観が、興味深いです。
独特の設定による宇宙での艦隊戦が、燃えます。
不利な状況を工夫しながら切り抜けて行くのに、ドキドキします。

主人公のジントは、地上世界出身の基本的に普通の少年です。
政治家の息子だけあって、世渡り上手です。
頼りなさそうに見えて、意外と豪胆だったりします。

ヒロインのラフィール、宇宙に適応した種族・アーヴの少女です。
傲慢で子供っぽいけど、情が深いです。
ボケっぷりもなかなかです。

以下の3巻に分かれていますが、全体で1つの物語りです。
星界の紋章 I ― 帝国の王女 ―
星界の紋章 II ― ささやかな戦い ―
星界の紋章 III ― 異郷への帰還 ―
宇宙旅行、宇宙空間にあるアーヴ貴族の城館、地上の領民の暮らし、そして帝都。
〈アーヴによる人類帝国〉の習俗を、満遍なく見てまわれる構成です。

第1巻はプロローグといった感じで、世界観の説明に多くを占めています。
ティル・コリントの子供っぽさには、かなり違和感がありました。
3巻とも挿絵はありません。

元男爵、味のある老人です。
最初無個性に見えたセールナイの暴走や、マルカと愉快な仲間が楽しいです。
アーヴの将官たち、個性的でカッコイイです。
シブイ警部も登場します。

よく練り上げられた物語りです。
だんだんスピード感が増していくのもいい感じです。
かなり膨大な量の設定が、説明臭くならずに自然に紹介されています。
まったく異なった文化で育った2人のボケの応酬が楽しいです。
アーヴが猫好きなのもポイント高いです。

※続巻である「星界の戦旗 IV」が、本当に発売されそうなので読み返してみました。

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12月 14, 2004

ゆらぎだす日常「マージナル・ブルー」

明るいけれど謎多き少女と純情な少年とのホラー風味のラブストーリーです。
「マージナル・ブルー 空曜日の神様」著:水落晴美/絵:狐印(電撃文庫 12月刊)

バイトをしている深夜のコンビニで、二人の美少女に出会った坂上真人。
不思議と人懐っこい片方の少女に奇妙な既視感をおぼえます。

二人のういういしい恋が、楽しかったです。
やわらかな空気と、和風オカルトな味付けの物語りです。
ラストでは、本筋とは関係ないところにモヤモヤしたものが残りました。
地味で、ゆっくりとした展開ですが、ホラーだとこんな感じのほうが好みです。

主人公の坂上真人は、ちょっと陰はあっても基本的に普通の少年です。
一途なところに好感が持てます。
ヒロインの風見葵、けなげで前向きです。
なにやら訳有りなところも魅力的です。

ヒロインの相棒・小賀玉茜、いじらしいです。
薗部雪臣、変わり者で地味にいいヤツです。

クライマックスシーンが、お子様向けのアクション物のような印象でした。
種明かしのやりすぎもあって、幻想的な気配が壊れています。
主人公が、単なる足手纏いに見えてしまっています。
ヒロインの心の救済を表現する心理描写が欲しかったです。
今回の事件の原因をつくった“ほころび”を見逃しているのも不満です。
それまで地道に積み重ねてきたものが素晴らしいだけに、違和感がありました。

全体としてみれば、ほのぼの感もある雰囲気のいいホラーサスペンスでした。

リンク集: 狐印

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12月 12, 2004

てのり女王「アガルタ・フィエスタ!」

3000年を生きる古代の女王と少年のボーイ・ミーツ・ガールです。
「アガルタ・フィエスタ! てのひらに女王を!」著:三田誠/絵:双龍(電撃文庫 12月刊)

主人公の少年・まどかは、幼馴染といった博物館の人形展で一体の人形に魅せられます。
彼らは、トレジャーハンターたちの秘宝をめぐる争奪戦に巻き込まれてしまいます。

ストーリーはオーソドックスで、面白かったです。
最初、ギャグが上滑りしていて、買って失敗したかと不安になりました。
中盤以降、シリアスさが増すにつれて盛り上がり、楽しめました。

主人公の八王子まどかは、ご飯を作る骨董品好きな高校1年生の男子です。
ことさら特別な力を発揮はしませんが、恥ずかしくても頑張る勇気があります。
年若い(?)女王・イセリアも、傲岸で健気ないいヒロインです。

おっとりとした母親の雛乃さんが、いい味だしてます。
ばったもんインディー・ジョーンズなクロードも、格好良かったです。

幼馴染の日渡詩奈と雛乃さんについては、やや描写が不足気味で心情が分かりにくいところがありました。
読んでいる間は、主人公と女王の関係を追いかける感じなのでそんなに気にはなりませんでしたが・・・。
後半の雛乃さんがPDAを見るシーン、あらかじめバッグに細工がしてあったということでしょうが、何の説明もなくて戸惑いました。
これって、彼女が息子を心配していたことを示す重要な設定だったのではないのでしょうか。

主人公が安易な覚醒キャラではなかった点も良かったです。
秘宝もへっぽこで、戦闘シーンを面白くしていました。
きれいに終わっているので、続けてグダグダになるよりはここで終わって欲しい感じです。

リンク集: 双龍

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12月 09, 2004

【本好きPeople/本好き大賞推薦作品】

年末らしい気分を味わいたくて「本好きPeople」のTB企画「本屋大賞ならぬ、本好き大賞!(ただし賞品はナシよ)」に参加させていただきます。

まずは、推薦したい3冊を。

「ぺとぺとさん」木村航
扇情的ではなく、かといって説教臭くもならず、性的なものへ目覚める時期をエンターティメントとして描いていて美しいです。

ロボット妹 改め 人類皆兄弟! 目覚めよ愛の妹力」佐藤ケイ
中身がアレだと解っているのに、可愛らしく感じさせるストーリーなんてそうないと思います。
女性にはただのバカ小説だと思うのですが、男の自分にとっては、おぞましいのか、素晴らしいのか、哀しいのかわからない印象なのです。

推定少女」桜庭一樹
ぐるぐる感とか、ふわふわとした地に足のついていなさとか、思春期を内側から見たときのダークさが味わえます。

多少の欠点はあっても、一点突破的な魅力を感じたものを挙げてみました。

最後までと言うか、今でも迷っている3冊です。

「吉永さん家のガーゴイル」田口仙年堂
家族的なほのぼの感に溢れています。
ぴよぴよキングダム」木村航
最近少ない、ストレートなSF系の青春物です。
にゃんこ亭のレシピ」椹野道流
少し大人の感じの、ゆったりとした「擬似家族」物です。

完成度では、選んだものより優れていますし、面白さでも負けていません。
向こうを選んだのは、なんとなくです・・・。

推薦したかったけど、わずかに期間外だったものです。
コスプレ温泉」吉岡平
数ヶ月後に、ニセ温泉が社会問題となったりしてタイムリーでした。
砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」桜庭一樹
同じ作者の「推定少女」よりさらに強い閉塞感と、生々しさがあります。
世界は紙でできている」ココロ直
派手さはないのですが、生活感のあるコンパクトにまとまった異世界漂泊物です。

シリーズ物の途中の巻をどうするか、迷いました。
「キーリ(壁井ユカコ)」など楽しみにしているシリーズも多いのです。
「Dクラッカーズ(あざの耕平)」と「楽園の魔女たち(樹川さとみ)」という長いシリーズがいい感じに完結したのでこれを選ぼうかとも思いました。
でも、前の巻を読んでいることが前提だと「今年の本」といえるのか微妙な気がします。
また、時々見かけるライトノベルの投票ランキングでは、シリーズ物ほど強く感じるのも気になります。
単巻として読める場合や最初の巻が期間内でしかも面白ければいいのですが、巻を重ねることで面白くなったシリーズや、特定の巻が跳び抜けて面白い場合もあります。
そういったものもやっぱり選びたいので悩ましいです。

本の溢れている現状では、気楽な個人的セレクトにも意味があると思います。
でも、選ぶというのは思った以上に難しかったです。
本の面白さって、それぞれで質的に違うから、順位をつけられないと思うのです。
好みでといっても、けっこう幅があり、日によっても読みたい本は変わってきます。
しかし、最大の問題は、わたしの記憶力がポンコツだということです。
最初、思いつくままリストアップしてみました。
その内の何冊もが、何年も前の発刊でした。
ガックリきました。
培養した神経幹細胞を、注射でチューっと注入して欲しいです。

読んだ本を思い返しながら、いろいろと選ぶのは楽しかったです。
見落としている本がありそうなのは微妙に心地が悪いです。
今後は、ブログが読書記録となって衰えゆく記憶を補完してくれそうです。

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12月 07, 2004

勝つまでやる「青空のように君は笑う」

周りを巻き込みながら暴走する女子高生のサクセスストーリー風ドタバタコメディです。
「青空のように君は笑う ~僕らが起こしたちょっとした奇跡~」著:小池雪/絵:森平夏生(コバルト文庫 12月刊)

留学に反対する過保護な親にやる気を見せるため、留学資金を稼ごうとする主人公。
バイト先の景気の悪そうな電器修理屋は、変人の巣窟で・・・。

アクセルベタ踏みで、壁にぶつけて曲がるような主人公の行動が楽しかったです。
空想度は強めで、企業物としてみるとツッコミどころが満載です。
一種の逆ハーレム物ですが、主人公が男前なので恋愛要素は浅めです。
テンション高いのか冷めているのか分からない不思議なノリでした。
青春バカストーリーですが、暑苦しさもほどほどです。

主人公の岡町環、お嬢様学校に通う高校3年生です。
お嬢様らしいのは最初だけ、すぐに壊れて暴走しまくります。
だんだん詐欺師っぽい変なカリスマを発揮していくのが素敵です。

男比率が高いです。
エキストラを除く主人公以外の女性は、1人だけでそれも出番はちょこちょこです。
男キャラは、腕白ジゴロ、寡黙な熱血少年、太ったオタクっぽい人、偽ヤンキー風、小さいオッサン、敵役の美形のお坊ちゃまとバラエティーに富んでいます。

ビジネス的リアリティが弱かったのが惜しいです。
理屈を気にしすぎて勢いがなくなっては本末転倒ですが・・・。
最終的に主人公がいい感じになった相手にも、未来図と矛盾しているようで少し気になりました。

転げるような状況の悪化と、仲間の結束が高まる展開が燃えます。
爽やかなエンディングはいいものです。

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12月 03, 2004

引越しにご注意「闇に歌えば」

不幸に浸り縮こまっていた青年が、自分の枠を越えようと足掻くホラーです。
「闇に歌えば」著:瀬川貴次/絵:星野和夏子(コバルト文庫 12月刊)

霊的なものが見える誠志郎、人付き合いが苦手でガールフレンドとの関係も微妙です。
引越しの手伝いに来ていた彼女が、ベランダで奇妙な玉を拾います。

いかにもライトノベルのホラーといった感じでした。
なんか熱い友情の話です。
微妙にぎごちない文章が、どんより不安な雰囲気に不思議とぴったりでした。

「精霊狩り」シリーズのプレストーリーであるシリーズです。
スーパーファンタジー文庫から1991年に刊行されたものが復刊されました。
2話構成です。
一人称ではありませんが、ほぼ主人公・誠志郎の視点で語られます。

楠木誠志郎、後ろ向きで、キャンキャン吠える子犬のような印象です。
前に踏み出すことで自分を変えたがっている気配もあります。

安芸和宏、いいヤツです。
ヤミブン、仕事がいいかげんで無責任な感じがして、この巻だけだと印象が悪いです。
久保美佳子、飄々としていて可愛いです。
オサキ、出番は少ないですが、ドジっぽいところが愛らしいです。

第1話「闇に歌えば」
どろりとしていて不幸な話ですが、後味は悪くはありません。
痛覚的に痛い描写があります。
お祖母さんが素敵です。

第2話「黄泉の羽ばたき」
久保美佳子が登場する話です。
ハッピーエンドといっていいのか微妙です。
オサキの可愛さがアップしていますが、迷惑さも発揮します。
誠志郎が、ガッツを見せます。

「闇がざわめく」から入ったので、読みそこなっていたこの本が読めて嬉しかったです。
ラブコメ的な「精霊狩り」シリーズに比べるとシリアスな雰囲気でした。
この巻で出てくるキャラは、誠四郎、溝口耕作、有田克也、万来課長の4人です。
続刊は、売上次第とのことなので、売れて欲しいです。

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12月 02, 2004

幼くても皇女「アダルシャンの花嫁」

戦勝の結果、思いがけず大国のお姫様を嫁に迎える小国の悲喜劇です。
「アダルシャンの花嫁」著:雨川恵/絵:桃季さえ(角川ビーンズ文庫 12月刊)

帝国との国境紛争で、大勝利を収めた北方騎馬民族の新興国アダルシャン。
和平交渉の結果、若き将軍である王弟に帝国から皇女が輿入れしてくることに。

新人さんということで買ってみました。
多少強引なところもありますが、手堅く素直にまとまっていて楽しめました。
きわだった特色のようなものは感じず、あっさり味でした。

徐々に仲良くなっていく皇女と主人公が、ホノボノしています。
悲劇が含まれているので、お気楽とばかりは言えませんが、本質的な悪人は出てきません。

擬似中世物の少女小説といった感じです。
舞台は、西洋ベースの無国籍な印象です。
ストーリーは宮廷陰謀劇ですが、舞台が武骨な辺境の小国なので小ぢんまりしています。

主人公のアレクシード、武勇に優れた若き英雄ですが、周りに流され気味です。
戦場では輝いていても政治がらみだと今一つな、伝説上の源義経のようです。
10歳の皇女ユスティニア、やんちゃな小動物的行動が可愛いです。
お子様でも王族の自覚があるのも、いい感じです。
深窓の姫のせいか、年齢以上に幼いです。
王様、捻くれて腹黒い愛情が味わい深いです。

どんな世界なのかイメージが、ぼんやりしていました。
異世界物の醍醐味である奇異な習俗といったものがなかったからかもしれません。
輿入れの行列や二つの文化のギャップなど面白そうなのに、もったいない感じです。

続編があるようなら、生活感のある話も読んでみたいです。
お茶のシーンもあっさりしていたので、お菓子の仔細な描写など見てみたいです。

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11月 30, 2004

正義の会計士「女子大生会計士の事件簿 DX.2」

会計の視点で出来事を語る、珍しいタイプのショートショートの2巻目です。
「女子大生会計士の事件簿DX.2 騒がしい探偵や怪盗たち」著:山田真哉/絵:久織ちまき(角川文庫 11月刊)

教えて君である新米会計士補の一人称で語られるショートショート、7編です。
下僕状態の会計士補・一麻が、年下で先輩の女子大生会計士・萌実に甘えます。

内容的には、経済物の初心者向けです。
ミステリー風味で、コメディ風味ですが、どちも薄味です。
挿絵はありません。
お金の話が好きなので、それなりに楽しめました。

前回は、企業の不正を暴くといった話が中心でした。
今回は、会計的なトラブルに困っている人(経営者含む)を助ける話が多くなっています。
助ける対象が明確なので、親しみやすかったです。

主人公の柿本一麻、嬉しそうに萌実のパシリをしてます。
藤原萌実、休暇旅行も仕事仲間と一緒で、あいかわらずのナンチャッテ女子大生振りです。

シーン入り口での情景描写が、はしょり気味です。
雰囲気がつかみにくく、情感は平坦な感じです。
主人公の一人称なのに、妙に客観的な書き方がされています。
物語りのテンションは低めです。

前回同様、新書版に比べ、2編が追加されて、巻末資料は少なくなっています。
追加されているのは、資金管理の話と、棚卸立会・売上原価の話です。

後を引かない軽いショートショートなので、空き時間などに読むにはちょうど良い感じです。

リンク集: 山田真哉久織ちまき

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11月 28, 2004

文化祭のスケッチ?「あそびにいくヨ! 5」

猫耳宇宙人が参加する文化祭の大騒ぎが描かれた「中休み」な巻です。
「あそびにいくヨ!(5)仔猫たちのがくえんさい」著:神野オキナ/絵:放電映像(MF文庫J 11月刊)

猫耳宇宙人・エリスも生徒として通う高校は、文化祭の準備に大忙しです。
告知パレードでのエリスの言葉が、ニュースで流れて大騒ぎに。

マッタリしたのも嫌いではありません。
キャラクター中心なら、ご都合主義もありだと思っています。
でもこれは、マッタリ以前にスカスカです。
ストーリーもキャラクターも描かれていない背景画だけが延々と続く感じです。
文化祭の楽しい雰囲気は描かれているので、読めなくはないのですが、散漫過ぎて印象が薄いです。
他の話から引っ張ってきたらしいキャラクターも、どうかと思います。

同様にインターバルな話だった3巻には、アントニア&メイドという中心がありました。
今回は、主役が描かれるべき場所が、空白のままポッカリあいています。
エピソードらしきものは、最初の大使館巡りと、プチ誘拐事件くらいでしょうか。
あとは、取り止めもなくシーンが思いつくままにピックアップされている感じです。
外交官入門、真奈美のゆれる心、上映会といったストリートになりそうな芽はあります。
そのへんを膨らませてあれば、もっと楽しかった気がします。

たいして面白くもない紐水着の話を引っ張るのは止めて欲しいです。
ビデオに撮って喜んでいる騎央には、ガッカリです。
(無責任にあおっている周りの者たちも嫌な感じです)
自分の感情だけではしゃいでいて、相手への気遣いが感じられません。
既に5巻にもなってこれでは、鈍いというより、無関心なのではと感じます。
ヒロインたちにクラスメイトか近所の人程度の感情しか抱いていないのではないでしょうか。

あいかわらずイラストは、素晴らしいです。
文章が下手というわけではないので、ドタバタと賑やかな情景は楽しめます。
エリスとアオイが、落ち込んだ主人公を慰める場面など、いいシーンも多々あります。
もう少し、時間をかけて欲しかったです。

リンク集: 神野オキナ放電映像

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11月 27, 2004

雪山、湯煙、神隠し「まじしゃんず・あかでみい 5」

冬休み、スキー旅行と、いつものメンバーで初めての遠出です。
「まじしゃんず・あかでみいⅤ 雪原沸騰!?」著:榊一郎/絵:BLADE(ファミ通文庫 11月刊)

初詣に出かけた拓人たち。
初売りの福引で高級スキーリゾートのプレオープン招待券が当たります。
でもそこは、雪娘によって人が消える噂のある場所で・・・。

二重人格の眼鏡っ子・鈴穂が、今回の中心です。
ドタバタしみじみハッピーエンドといった感じでした。
敵組織の登場で、バトルも派手めです。

キャラクターがコミカルにデフォルメされたドタバタ・ラブコメディのシリーズです。
現代社会の影に密かに存在する魔法使いと人ならざる者たちが、主人公です。
いわゆる男の子向けのハーレム物で、お約束が満載です。

戦後の混乱期、今では廃村となった孤立した村で起きた哀しい事件。
決着をつけるため、内弁慶な鈴穂が、一歩を踏み出します。

敵組織となる秘密結社〈連盟〉が登場します。
新しい女の子キャラクターも登場です。
プチネウスたちも、増殖してお仕事に頑張ってます。

先輩、あいかわらず無駄に強力で、趣味全開です。
バカっぽいのに頼れる所も、いい感じです。
でも、カメラ設置は、やりすぎでしょう。
拓人は、鈴穂たちを傷つける行為を笑って見逃すキャラじゃないでしょうし。

お約束を詰め込んで、萌えを追求するシリーズも、中盤のようです。
今後、ほのぼのお気楽な話は、「まかでみ・らでぃかる」へ。
本編は、シリアス寄りになっていくようです。
「スレイヤーズ」のようにまず本編を終了させて、短編集でわいわいやるのでしょうか。

双葉、結局どうしたのでしょう。
いや、心配なのは弟の葉月のほうでしょうか。

リンク集: 榊一郎BLADE

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11月 25, 2004

忍んでない忍者「乱破GOGOGO!」

ハイテンション・ギャグ殺伐としたドタバタ忍者ラブコメディです。
「乱破GOGOGO! 僕と彼女と彼女の忍法帖」著:八街歩/絵:てくてく(富士見ファンタジア文庫 11月刊)

幼馴染と半同居状態の主人公・六尽総太郎。
彼を、日本の支配者にするという忍者の少女が押しかけてきます。

ありがちな設定やストーリーですが、気楽に笑って消費できます。
オチもついて、スッキリ終わっています。
甘さひかえめなので、ラブコメ感もサラっとしてます。
過激なドツキ漫才系のコメディです。

忍者物を期待すると拍子抜けかもしれません。
普段と戦闘時の二面性とかがありませし、掟に縛られる悲哀とかの要素も薄いです。
アクションゲームの忍者キャラな感じです。

主人公の総太郎、いい感じに、軽薄なダメっぷりです。
女の子のためなら命懸けな、頭の悪さもステキです。

月詠静刃、おおぼけ美少女忍者、くの一というよりボディガード、ぜんぜん忍んでません。
任務という建前に隠れて、本心を明かさない意地っ張りで、スタイル良くても色気に乏しいです。

春日川夢姫、常識人で、少し乱暴だけど普通に可愛い幼馴染です。
世話好きで、好きと言えない意地っ張り、やっぱり色気はありません。

ヒロイン二人、ボケとツッコミのでこぼこコンビで、ギャク物としてはいい感じです。
キャラがかぶり気味で、ハーレム物を目指すのならちょっと問題かもしれません。

ラブストーリーとしては、あっさりしています。
主人公たちが、互いに強い好意は持っていても、異性として意識している印象が薄いです。
転校初日にぶつかってパンチラなどが、ギャグとして消費されてしまっています。
互いを異性として認識するイベントとして機能していません。
一方は幼馴染で、もう一方は忍者なので、相手の人柄を探り合うようなドキドキ感も弱いです。

主人公の恋の行方を、生暖かく見守るクラスメートたちもいい感じです。
敵役の力の抜け具合もなかなかです。

勢いで突っ走る、少しバイオレンスなラブコメです。
説教やら重いテーマやらないので、軽く読んで楽しめます。

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11月 24, 2004

恋の気配「世界最大のこびと 2」

人間との関わりを断って暮らす小人たちと、人間の兄妹との交流を描くシリーズです。
「世界最大のこびと(2) 世界最小の再会」著:羽田奈緒子/絵:戸部淑(MF文庫J 11月刊)

久那斗の民という小人一族のパウエルたちが、里に帰って1ヶ月ほどの6月半ば。
一弥(いちや)は、高校の体育祭実行委員となって準備に追われています。
彼の周りで、不思議な事件が起こり始めます。

ほんわかシットリ、地味にコメディといったお話しです。
悪と戦うようなストーリーではない優しい世界観で、本質的な悪人は出てきません。
童話的というか、民話的な味付けです。

妹の小百合とパウエルのコンビの活躍が減っためか、小人パワーは弱めでした。
かわりに、微妙なラブコメ要素が加わっています。
一弥に、恋の始まりの予感です。

今回の主役は、一弥です。
キャラが薄いところも、主役向きで、いい感じです。
鈍いうえに、活動性に欠けるので、恋の進展は遅そうです。
というか進展するのでしょうか。
もどかしいです。
とても高校2年生とは思えない、中学生級の恋です。
着々とハーレムを形成しつつあるように見えるのに、本人が気づいていません。
でも、美味しいところは、ちゃっかり持っていきます。

誤植かもしれませんが一弥の「キャー」が少々気になりました。
梅雨の頃に体育祭をする学校も普通にあるのでしょうか、北のほうとかかな。

小学4年生の病弱で、けなげな妹の小百合が、可愛いです。
アテナ、相変わらず報われない空回りです。
友人の菊池、ふがいない兄にかわってテンション高いです。

男らしい少女と、変わり者の(たぶん)美少女の二人組みが、新たに登場します。
熊井麻子、なかなか魅力的な俺様っぷりです。
真船木乃葉、意外と常識的かと思うと、やっぱりどこかズレていてキュートです。

既刊の2作ともストーリー中心ですが、キャラクター中心の話も読んでみたいです。
一弥たちが遊びに行くような話とか、小人たちの日々の暮らしとかです。
小百合・パウエルのコンビの小さな冒険とかも楽しそうです。

リンク集: 戸部淑

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11月 23, 2004

二人だけの修学旅行「気象精霊ぷらくてぃか3」

気象精霊記の主役たちの子供時代を描く短編シリーズです。
「気象精霊ぷらくてぃか3 魔界の卑怯温泉」著:清水文化/絵:七瀬葵(富士見ファンタジア文庫 11月刊)

精霊の子供たちの学園生活です。
命を育む惑星の気象を整える気象精霊を目指して修行しています。

ミリィ、偏った英才教育を受けてきたために、天然ボケをしてしまう優等生です。
ユメミ、自尊心が強すぎるお姫さまで、友情を求めることができません。
将来、親友となる二人を中心に物語りは進んでいきます。

ドラゴンマガジンに連載されている短編の5編に、書下ろしが加わっています。
グループ課題の話と、始めての旅行の話が面白かったです。
グループで調べ物をする様子が、楽しげです。
ミリィと二人だけの旅行のためか、いつもより少しだけ素直なユメミが可愛いです。
文化祭の話も、忙しそうで楽しそうな雰囲気がよかったです。

書下ろしである、気象精霊めもりある
ページ数が多いわりに、とりとめがなく何がしたかったのか分からない話でした。
内容の無さを、読者サービスでごまかしている感じも、印象が悪いです。

ほのぼのして、マッタリした味わいでした。

リンク集: 清水文化七瀬葵

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11月 20, 2004

本当の兄妹以上に「窓辺には夜の歌」

奇怪な夜の世界を、少女を守って冒険するシリーズの2巻目です。
「窓辺には夜の歌」著:田中芳樹/絵:ふくやまけいこ(講談社文庫 11月刊)

冒険を共にした来夢、北本と連絡を取るきっかけもないまま、9週間が過ぎています。
将来を見据えて努力を始めているものの、得たあるモノを使うことなく平凡に暮らしています。
学園祭の準備ににぎわう、大学の構内で、思いがけなく再会を果たします。

まったくの他人ですが、妹物です。
無垢な信頼のキラキラした瞳が、下心を封じています。

SF系のオカルトホラーです。
溢れ出した闇に、日常を侵食されます。
前巻から、ホラー感が激減して、アクション増量です。
裏面世界、前巻では、異世界というより異空間でしたが、今回は少し異世界度が上がっています。

主人公の耕平は、凡庸そうに見えて身体能力の高い、19歳の大学一年生です。
けっして来夢の信頼を裏切らなかった、彼女にとってのヒーローです。
堕ちてしまいそうな微かなグラグラ感もいい感じです。

来夢、ボーイッシュで、たくましい小学6年生の女の子です。
物事に執着を持てなかった耕平にとって、唯一、守るべきものです。
天涯孤独でも、真っ直ぐに育っています。
ちらりと見せる気弱さがキュートです。

一心に信頼し慕いつづける来夢。
かいがいしくフォローする耕平。
血の繋がりはなくても、家族的な愛で強く結びついた二人の関係がカッコイイです。
二人を暖かく見守る祖父的な存在の北本も、いい味をだしています。

※解説は、クリティカルにネタバレなので、初読の人は注意です。

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11月 19, 2004

手をつないで夜を「夏の魔術」

怪異な状況に閉じ込められた、9人の老若男女のサバイバル・ホラーです。
「夏の魔術」著:田中芳樹/絵:ふくやまけいこ(講談社文庫 2003年刊)

宙ぶらりんな自分を何とかしたいと、夏休の終わりに一人旅をしています。
不本意に降ろされた無人駅で、一人の子供になつかれます。

主人公と少女との強い信頼が、あたたかい物語りです。
ストレートな正義感が、爽やかです。
ホラーといっても、不可解さが中心で、怖さはひかえめです。
微妙なSF色があります。
アクション要素も強いです。

主人公の耕平は、19歳の大学一年生です。
裕福な家に生まれても、孤立していて孤独です。
無能ではないものの器用貧乏で、将来進むべきを道を定められずにいます。
平凡と言いながら、妙に身体能力が高かったりします。

来夢(らいむ)、行動力のある12歳の女の子です。
他人に迷惑をかけまいとする姿が、けなげです。
朗らかで、賢いです。
良い子過ぎるところが、あやうい感じです。

「夏の魔術シリーズ」新書版は、全四巻で、一応,完結しています。
シリーズは、一種の「妹もの」です。
最初は、1988年から、徳間ノベルズで三巻まで出版されました。
その後の、講談社ノベルスをへての文庫化です。
各巻は、四季に対応しています。

いわくありげな汽車。
まとまりのない同行者。
怪しい洋館。
先の見えない決断を迫られます。

リンク集: 田中芳樹

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11月 17, 2004

空回りの不安「女神さまに乾杯」

日本と異世界に分かれて暮らす、一臣とリミアの恋の決着編です。
「ぼくの女神さま2 女神さまに乾杯」著:とまとあき、塚本裕美子/絵:幡池裕行(スニーカー文庫 1997年刊)

思いを言葉にせずに別れた二人。
一臣は、大学生となり、シナリオライターの道を歩き出そうとしています。
リミアは、正式な王位継承者として、夫を選ぶよう、せまられています。

主人公は、一臣です。
城にいるリミアとは、あまり会えません。
本心も語られません。
求められているのか、迷惑なのか悩みます。

馬対決です。
不安な気持ちを、勝負にぶつけます。
身体を張ってます。

キザっぽい若い領主さまがライバルです。
でっかい馬に乗ってます。

陽子も再登場で、料理面も少し強化されます。
シンも一臣を応援します。
馬たちが可愛いです。

イラストレーターが変わっていますが、もともと伊東氏と共同で絵を書いていた方です。
一臣の傷など、多少これまでの巻との不整合な点があります。
前巻との間があきすぎたためかもしれません。
ストーリー上の問題はありません。

泥臭く頑張る美青年というのも、いいものです。

シリーズは、きれいに完結していますが、あとがきではあと2巻ほど出す予定だったようです。
もはや続きがでるとは思えませんが、少し気になります。
ディーアック復活とか、陽子の里帰りとかでしょうか。

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11月 16, 2004

リフレッシュされる日常「ぼくの女神さま」

異世界のタカビーお姫さまの、日本ホームステイ記です。
「わたしの勇者さま外伝 ぼくの女神さま」著:とまとあき、塚本裕美子/絵:伊東岳彦(スニーカー文庫 1993年刊)

片思いのまま、チャンスももらえず失恋してしまった一臣。
陽子の欠けた松宮家を心配して出入りしている内に、弟子のようになっています。
イイ人っぷりに泣けてきます。
今度は、お姫さまが降ってきます。

素直でないリミア姫が、だんだん可愛くなります。
凶悪な攻撃力をもつワガママ姫なだけに、いい感じです。
梅雨明けに始まり、夏とともに終わる、少し切ないラブストーリーです。
さらっとした感じです。

一臣の視点を中心に、描かれています。
ガイド役の彼もまた、リミアの目を通して、日常を見直すことになります。
見なれた日々の些細なことが、彩りを取り戻します。

リミア姫、前回、嫌な女&道化のまま終わってしまって、煮詰まっています。
魔法による異世界への転移というムチャにでます。
陽子の女優の母も、素敵な大人の女性として登場します。

陽子がいないので、料理面は、ややパワーダウンですが、買い食いが増えます。
本筋とは無関係ですが、魔女の説明の間違いが少し気になりました。

破壊しておいて、知らん振りなのは、どうだろうと思います。
「としまえん」が可哀相です。
でも、メリーゴーランドはやっぱり良いものです。

シンのときのような差し迫った事情はないので、ほのぼのと過ぎていきます。
こういうマッタリ感は、外伝ならではの醍醐味でしょう。

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11月 15, 2004

料理上手はつぶしが効く「魔法使いのティータイム」

異世界で魔法の修行をする女子高生の、ほのぼの冒険譚です。
「続・わたしの勇者さま 魔法使いのティータイム」著:とまとあき、塚本裕美子/絵:伊東岳彦(スニーカー文庫 1993年刊)

勇者シンを追いかけて、異世界ルーで暮らしている陽子。
薬草の調合には上達しましたが、肝心の魔法のほうはサッパリです。
王様の姪のリミア姫が、他所での魔法の修行を終えて城に帰還してきます。

ストーリーは童話的ですが、描写には生活感が溢れています。
前回は、通過しただけだった王都イオナの日常を堪能できます。
馬に乗っての旅も楽しめます。

陽子は、異世界での生活には馴染んだものの自分の立場に不安を感じています。
暴走するお姫さまに困惑させられます。
もやもやとした三角関係にも悩みます。

リミア姫、存在自体が陽子の劣等感を何かと刺激してくれます。
わがままで高飛車ですが、正義感や責任感もあります。
でも視野が狭くて、いろいろと空回りしています。

前編でちょっとだけ出てきた宮廷魔道士カロアが、いい感じの師匠として再登場します。
城下の人々も気持ちがよく、子供たちは可愛いです。
雑種犬のモルト、大活躍で出番も増えてます。

舞台は、全編ルー側です。
前半では、王都での陽子の暮らしぶりが描かれます。
後半は、リミア姫に連れられてのプチ世直しの旅です。
勇者シンは、ほとんど登場しませんが、常にその存在が意識されています。

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11月 14, 2004

勇者さまは食費が大変「わたしの勇者さま」

庭先に落っこちてきた勇者を、女子高生がゲットする話です。
「わたしの勇者さま(前・後)」著:とまとあき、塚本裕美子/絵:伊東岳彦(スニーカー文庫 1991年刊)

剣と魔法の異世界ルー、姫を取り戻すため悪の魔道士と戦う勇者シン。
追い詰めるものの、逆に罠にかかり、見知らぬ世界へと跳ばされてしまいます。

勇者さま、でかくて筋肉質のため基礎代謝が高いらしく、食べまくりです。
アメ車のような勇者さまです。
とくに前編は、料理を作って食べている合間に、物語りが進んで行きます。
手際良く家庭料理を作っていく陽子が、カッコイイです。
雑種犬のモルトも、可愛いです。

父親は、子供向け特撮番組のシナリオライターです。
鷹揚なのか考えが足りないのか分からない変わり者です。
離婚していて、家事全般を陽子が、受け持っています。

前編は、勇者さま日本滞在記です。

カルチャーギャップにとまどう勇者をコミカルに描きます。
おだやかなラブコメです。
美形の同級生との微妙な三角関係もあります。
多少のトラブルはあっても、ほのぼのと進んで行きます。
やがて魔の手がせまり、平和は破られます。

後編は、帰還編です。

いよいよ勇者もホームグラウンドで本領発揮です。
前編末を受けて、話は急展開をします。
中盤の決戦の地へ向けての旅は、派手さはありませんがとても雰囲気があります。
宿屋が農家風だったり、場末っぽかったり、森で食料を調達したりです。
ヒロイックファンタジーらしい展開で、バトルも多めになっています。

一人称ではありませんが、主人公の陽子の視点を中心に描かれています。
食事や買い物など、生活が丁寧に描かれています。
やたらと人が死んだりしないのも、優しい雰囲気をつくっています。

リンク集: 伊東岳彦

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11月 12, 2004

哀しい愛情「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」

女の子ふたりの、一月だけの幸薄く幼い友情の物語りです。
「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない A Lollypop or A Bullet」著:桜庭一樹/絵:むー(富士見ミステリー文庫 11月刊)

山田なぎさ、中学2年生、貧乏に立ち向かう決意を固めた13歳。
9月の始めに転校してきた変な美少女・海野藻屑につきまとわれることに・・・。

哀しくて、寂しい話です。
悲しいけどやっぱり生きていくという話です。
心がシーンとするようなザワザワするような感じです。
最初はなんだコイツと思った貴族な兄の存在が、途中から救いでした。

イラストから受ける印象のような、ふわふわ感は少なくて、生々しいです。
でも、この柔らかいイラストでよかったです。
いろいろと緩和してくれます。
ただ自己憐憫にひたるだけではない、いい物語りなんですけど、なにかと報われない話なので。

主人公は、クールなリアリストを気取っていても、ぶっきらぼうに世話好きな少女です。
もう一人は、可愛い系なのにペットボトルの水をグビグビ飲んじゃう不思議ちゃんです。
二人は与えられた環境で、不器用に懸命に生きています。
結末がああなので、単純に可愛いと言えないのがつらいです。

映画館に行く話とか、楽しい感じのエピソードもあり、ほのぼの感も皆無ではありません。
ですが、冒頭、いきなり猟奇な記事で始まります。
ハッピーエンドになりようもありません。
1ページ目で、覚悟を固めて読んでということでしょう。

派手さを抑えたサイコサスペンスです。
主人公の一人称で語られます。
ラブコメっぽいエピソードもあるんですが、コメディとはいえません。
落ち込むテーマですが、誠実に描かれているので素直に読めました。

リンク集: 桜庭一樹むー

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11月 09, 2004

食卓の支配者「丘の家のジェーン」

プリンス・エドワード島の美しい風景の中で、新しい自分を見つける少女の物語りです。
「丘の家のジェーン」著:モンゴメリ/訳:村岡花子(新潮文庫 1960年刊)

トロント、スラム化が忍びよる古く陰気なお屋敷街・うららか街。
祖母に抑圧された大きなお屋敷に住む11歳のお嬢さまジェーン。
何をやってもダメな子です。
一通の手紙によって、夏休みをプリンス・エドワード島で過ごすことになります。
人に必要とされることで、少女は、始めて自分の才能が開花していくのを感じます。

魔法も妖精も出てきませんが、エブリディマジックのような味わいです。
ガタピシ自動車でのドライブが素敵です。
少女の成長物語というより一種のサクセスストーリーでしょうか。

導入部が、陰鬱としていますが、大げさな言いまわしで変に笑えたりもします。
でも、暗い展開の90ページは、やはり長いです。
字は小さめで、本文は、330ページほどです。

しかし、プリンス・エドワード島に渡ってからは、コメディらしくなります。
だんだんと物語りのスピードとテンションもアップしていきます。
特に、2度目の夏休みは、モンゴメリらしい田舎パワー爆発のエピソード満載です。
ライオンの話が、楽しいです。

底流には昼メロのような女の戦いというか、ドロドロの愛憎劇が見え隠れしています。
子供が主体のストーリーなので、あからさまではなくマイルドです。
大雑把な文章も、生々しくなるのを防いでる感じです。

登場する男は、全員、微妙に頼りないです。
チモシー老人は、ちょっと例外かな。

都会と田舎の暮らしの対比がくっきりとしています。
都会を否定して終わるような田舎万歳なエンディングでないのもいい感じです。

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11月 05, 2004

非力でしたたか「世界は紙でできている」

神の花パピア・ローゼをめぐる因縁に巻き込まれる女子高生の異世界ファンタジー。
「世界は紙でできている―パピア・ローゼ吟遊詩―」著:ココロ直/絵:小杉繭(コバルト文庫 11月刊)

異世界へとまぎれこんだ現代日本の女子高生トモカ。
黒髪であったために、伝説の破壊者の再来として捕らえられます。
繁栄の象徴パピア・ローゼの復元に執着する若い女性将軍と出会い、
パピア・ローゼをめぐる確執へと巻き込まれていくトモカ。
王国のパピア・ローゼ入手に隠された因縁が次第に明らかとなっていきます。

こじんまりしていても、しっかりしたストーリーで楽しかったです。
「異世界で火薬の知識が」というのはよくありますが、「紙」というのが新鮮でした。
一途で頑なな女性将軍との信頼関係の進展がゆっくりなのもいい感じです。
主役級はもちろん、村長の娘や少年兵などのちょい役も魅力的です。
キャラクターの個性がクッキリしていて読みやすかったです。

主人公は、普通の女子高生でよわよわです。
ビクビクしながらも、思い切った行動にでるのが素敵です。
よわよわなのに、したたかです。

舞台は、大規模な地震が起こり各国が震災に見舞われた大陸です。
パピア・ローゼを所有するアクアリア王国は、例外的に大きな被害を免れています。
紙の呪符による魔法が存在する世界なので、紙の特別視や知識の独占も自然です。

主人公の行動範囲が狭いので壮大さはありませんが、生活感は強めです。
戦闘シーンは少ないですが、アクションは派手目で、無茶な強さが素敵です。
黒幕の正体も、なるほどといった感じで、よかったです。

続編がありそうなエンディングなので、次の巻が楽しみです。

リンク集: 小杉繭

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11月 04, 2004

決断力のあるお子様魔女「レギ伯爵の末娘」

泣く、暴れる、ふんぞり返ると、魔法使い見習いの少女が右往左往するラブコメ中世風ファンタジー。
「レギ伯爵の末娘 ~よかったり悪かったりする魔女~」著:野梨原花南/絵:鈴木次郎(コバルト文庫 11月刊)

叔母さんのもとで魔女の修行をしている少女・ポムグラニット。
お祭りに行きたいとねだると、休暇のかわりに課題を出されます。
課題は、魔女らしいこと(呪いや祝福など)をするということ。
対象を求めて街で噂に聞いたレギ伯爵の屋敷へと押しかけます。

まだ、プロローグといった感じです。
ダラダラ・マッタリです。
登場人物が、魅力的なので、それなりには楽しめました。
童話っぽいけどシリアスなところもある雰囲気です。

魔法などの設定も、キャラクターも、まだ固まっていずに手探りといった印象です。
エピソードも、色々と盛り込まれていますが、ほとんどが中途半端に終わっています。
「下賎な宿」のあたりまでは、それなりにストーリーも走っていますが、その後は、行ったり来たりで進展がありせん。
唯一、「結晶」の話だけ、結末がついていますが、とってつけた感じのエピソードです。
全体を貫くストーリーか、エピソードごとのまとまりが欲しかったです。

アザーが、なぜ家名に泥を塗りたいのかが不明な点も、いまひとつストーリーがピリッとしない理由かもしれません。

主役も脇役も個性的です。
頭の回転も速く行動力もあるけど、お子様で思慮が浅い主人公のポムグラニット。
度胸と根性があって、泣いてからが強いキャラです。
しっかりしていそうで、どこか頼りない中性的なお姫さまのマダー。
ゴージャスな美形キャラなのに、少女たちに軽くあしらわれてしまうアザー。
マイペースで奥深いのか軽薄なのかわからない師匠。

もっと、しっくりとストーリーと馴染んでくれば、すごく面白くなるのではと期待してしまいます。

リンク集: 鈴木次郎

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11月 02, 2004

保健室の元暗殺者「ザ・サード(7)」

パイフウ&火乃香、ついにハデスと全面対決といった外伝的な巻です。
「ザ・サード VII 死すべき神々の荒野(上)」著:星野亮/絵:後藤なお(富士見ファンタジア文庫 10年刊)

火乃香との出会いによって、居場所を見つけていたパイフウ。
突然、誰にも告げずに姿を消します。
困惑する火乃香と、ミリィ。
火乃香は、後を追って砂漠を渡ります。

パイフウと、火乃香が主人公の外伝的お話しです。
売りであるカッコイイ戦闘シーンは何度もありますが、まだ様子見といった感じです。
今回の火乃香は、年相応に子供っぽかった感じがします。
砂漠の旅(デューン・ラン)が中心です。
強大な敵との対決もいいのですが、砂漠を旅する話は、このシリーズらしくて好きです。

これまでの因縁に決着をつけるといったストーリーです。
外伝も含めてシリーズを読んでいないと厳しいでしょう。

シリーズの主人公の火乃香は、何でも切っちゃう、刀の使い手の少女です。
砂漠の旅のガイドを生業として、どんな困難も相棒の戦車と刀一本で切り抜けます。
舞台は、大規模な戦争による文明滅亡後の、砂漠化した世界です。
それでも人々は、たくましく生きています。
復興された文明は、ザ・サードとよばれる特殊な人類によってコントロールされています。
悲惨な世界なのに、カラッとした明るさと、ほのぼのとした優しさがあります。

前回の「プロメテウス」で、火乃香、すごいことになっていました。
戦闘時に、いまひとつピリッとしなかったのはその影響でしょか。
不安を打ち消そうとして、無理にテンションを上げようとしている感じでした。
体調になにか変調でもあるとか。

外伝で何度か出てきた暗殺者(または集団?)「ハデス」との総力戦です。
ザ・サードも動き出しています。
上巻ということで、次巻への引きで終わっています。

リンク集: 後藤なお

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10月 31, 2004

爺ばかパワー炸裂「スレイヤーズすぺしゃる(23)」

故郷を遠く離れ、食べ歩きの放浪を続ける暴力少女魔道士のコメディ短編シリーズです。
「スレイヤーズすぺしゃる(23)ブレイクオブディスティニー」著:神坂一 /絵:あらいずみ るい(富士見ファンタジア文庫 10年刊)

あいかわらず楽しかったです。
軽く笑って、後に残らないタイプのお話しです。

剣と魔法のというか、RPG系のファンタジーのパロディです。
本編は、ずいぶん昔に終了しています。
短編集は、本編以前の話しなので、本編を読んでいなくても大丈夫です。

主人公のリナは、反則気味に強い魔力と、商人の魂を持つ美少女魔道士です。
魔法だけでなく剣の腕前など才能に恵まれていますが、胸がないことがコンプレックスです。

レギュラーキャラは、ナーガくらいです。
シリーズの途中から読み始めても、たぶん大丈夫だと思います。
適当に数話、立ち読みしてみると良いかもしれません。
ナーガは、打たれ強いけど間抜けなトラブルメーカーで、リナに懐いています。

今回はどの編にも、ちょい役ですが無邪気な普通の子供が、登場しています。
ひねったキャラが多いだけに逆に新鮮な感じがしました。
マイペースなマリリンが可愛いかったです。

リナがドラゴン語を話せるという設定は、今までに出てきたでしょうか。
会話がある時は、ドラゴンが人間の言葉を話していたような。

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10月 30, 2004

南国どじっ娘、再び「新・はっぴぃセブン(8)」

色々なタイプの美少女が登場するアクション・コメディ、今回は海外へと旅行です。
「新・はっぴぃセブン ~vol.8 サザンクロスに願いをこめて~」著:川崎ヒロユキ/絵:COM(スーパーダッシュ文庫 10年刊)

サヤン編の後編、主人公たちは性格反転現象を解くためにパリトゥへ。
南の島に秘められた哀しい恋の物語りと出会います。

ジャングル探検、楽しそうでした。
南国らしく色彩豊かです。
修行も進み、サヤンの気象精霊力もパワーアップしてます。

パリトゥはバリ島風の南の島で、それほど観光化はしていません。
それでもわりと文明化している感じで、南国観光も満喫しています。

前半は、駆け足で紙芝居っぽい印象でした。
ササッと読めるのは良いのですが、もっとマッタリ・ダラダラでもよかった気がします。
後半のバトルシーンは、充実しています。

このシリーズは、いわゆるキャラ物のラブコメです。
主人公が禁欲的なので、恋愛面は、ほのぼの止まりです。
どちらかと言えば、笑いと涙の人情物が中心です。

後書きを読むと、今後、まとめに入っていく感じがしました。

リンク集: COM

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10月 28, 2004

デザートな感じ「スクラップド・プリンセス サプリメント3」

SFテイストの剣と魔法のファンタジー、スクラップド・プリンセス本編の後日談です。
「スクラップド・プリンセス サプリメント3 聖地に流れる円舞曲」著:榊一郎/絵:安曇雪伸(富士見ファンタジア文庫 10年刊)

世界の開放とともに魔法が失われたため、各国の均衡が崩れようとしていた・・・。
本編最終巻の、秩序守護者達との決着とエピローグとをつなぐエピソードです。
ラクエルが、外の世界から訪れたDナイトと共に、魔法の復活に挑みます。

コメディ中心の展開で、気楽に楽しめました。
すてプリの、のーてんきな面だけを取り出した感じです。
ラクエルの恋の行方(?)を、陰から見守るシャノンとパシフィカといったストーリーです。
勤労親父壱号、シブイです。
冒頭であかされる封棄世界の位置が、意外でした。

登場人物は、パシフィカたちを中心に絞り込まれています。
レオたちが出ないのでアニメから入った人には、多少物足りないかもしれません。

シリーズ本編の最後のほうはシビアな展開が続いてやや重めでした。
最後に明るいお話しを読めるのはいい感じです。
清々しい気持ちで区切りがつけられます。
といっても、後、短編集と書き下ろしの2冊が出るようですが。

リンク集: 榊一郎安曇雪伸

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10月 27, 2004

会計監査は誰のため「女子大生会計士の事件簿 DX.1」

企業とお金にまつわるミステリー風味のショートショート集です。
「女子大生会計士の事件簿 DX.1 ベンチャーの王子様」著:山田真哉(角川文庫 10月刊)

マゾっぽい新米会計士補29歳男が、
年下の傍若無人な上司の女の子に弄ばれつつ、
彼女の活躍を手助けする物語りです。
・・・微妙に違うかもしれません。

文章は、あっさりしています。
充実感はありませんが、サクッと読めます。

経営の隠れたトラブルの根を会計の面から洗い出し、解決すといったストーリーです。
企業物とかお金とか好きなので、楽しめました。
会計の知識については初心者向けの内容なので気楽に読めます。
舞台に、小さめの会社が多いのも親しみが持てます。

ライトミステリータッチですが、あくまでも雰囲気だけです。
推理やサスペンスを期待すると、ガッカリするかもしれません。
少し構成をいじれば、謎解きも楽しめるようになる気がしてもったいないです。

主人公、ヒロインに頼りきっているというか甘えてます。
入所一年目とはいえ、情けないです。
いろいろドジを踏みますが、語りが彼の一人称なので、ギャグになりにくいです。
ヒロインは姉御肌で、頼られて嬉しそうです。
女子大生なのに実務4年目の公認会計士という設定ですが、女子大生らしき気配はありません。

構成は、ショートショート7編と、それまでの事件を二人が振りかえる後書き的特別編です。
表題作だけ、少し長めです。
イラストはありません。
新書版に、5話と6話が追加されています。
巻末の資料は、減っているようです。

リンク集: 山田真哉久織ちまき

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10月 26, 2004

子供時代との別れ「西の善き魔女1」

信じてきた暮らしの全てを突き崩されても、前を向いて進んでいこうとする少女の物語りです。
「西の善き魔女I セラフィールドの少女」著:荻原規子(中公文庫 10月刊)

北国の早春、質素であっても平穏に荒れ野で暮らしている十五歳の村娘・フィリエル。
おめかしをして、始めて領主の館の舞踏会へと出かけます。
パーティを満喫していた彼女は、思いがけないトラブルに見舞われます。
素朴で穏やかだと信じていた周囲の世界。
小さな亀裂は次第に広がり、残酷で容赦のない隠されていた姿を露にします。

ミステリータッチの中盤の展開が素晴らしかったです。
乙女チックな導入部にもかかわらずシリアスな世界観です。

C★NOVELS版と違い、イラストはありません。
大人向けにはプラスかもしれませんが、少し寂しいです。

キャラの表現が、薄いというかストレートです。
腹芸のプロであるはずの貴族たちでさえ、考えをそのまま言葉にしています。
そのぶん、分かりやすくはあります。
ストーリー重視といった面もあるのかもしれません。
ライトノベルでは普通なので気にはなりませんが、中公文庫の読者層にはどうなんでしょう。

お人好しで、朴念仁の王子さま。
ペシミスティックなのに純情な少年。
可憐に見えてエキセントリックなお姫さま。
キャラクター自体は、そろっているので楽しめました。

後半、主人公がやや受け身です。
今はまだ、何の力もない小娘なので当然かもしれませんが、もどかしいです。
旅立ちの章といった感じなので、ここから成長していくということでしょう。

単純だったフィリエルの世界は、混沌とし、大量の謎が残されます。
全8巻(本編5,外伝3)で、2ヶ月ごとに刊行されるようです。

リンク集: 荻原規子

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10月 24, 2004

生意気ヒヨコ「ぴよぴよキングダム」

ヒヨコにとり憑かれた少年と少女のコメディタッチのラブストーリーです。
「ぴよぴよキングダム」著:木村航/絵:竹岡美穂(MF文庫J 10月刊)

無難に地味に生きていこうとしていた主人公。
朝起きたら、頭の上にヒヨコが住みついていて・・・。
恋と歌と贈り物の日々が始まります。

起伏のある展開で楽しめました。
バカっぽい設定なのに、妙に生活感があります。
説教くさくなってないのもいいです。

勢いのあるストレートなエンターテイメントなのに、どこか繊細です。
イラストも、そんな雰囲気にぴったりです。

前半は森山拓の、後半は磐座あかりの一人称で語られます。
SFっぽいのりです。
バトルシーンもあって盛り上げてくれます。

ピックル、可愛いやつです。
決死の恋愛なのが鳥っぽいです。
苦労人で根性のあるヒロイン、素敵です。
朗らかだけど本心を見せないチュルリラ姫も、お姫さまらしいお姫さまです。
大家さん、楽しいキャラです。
仁村優、地味にいい感じです。
ストーリー中心の展開ですが、キャラクタの個性も魅力的です。

サブキャラのエピソードが少なくなるのは仕方がないのですが、もったいない気もします。
続編を読んでみたいような、きれいに終わっているのでこのままがいいようなそんな感じです。

リンク集: 竹岡美穂

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10月 23, 2004

ターニングポイント?「つづくオン・マイ・オウン」

ワンマンアーミーな少年が、美少女を護って、人型兵器を駆る、パラレル現代の物語りです。
「フルメタル・パニック! つづくオン・マイ・オウン」著:賀東招二/絵:四季童子(富士見ファンタジア文庫 10月刊)
陣代高校も三学期となり生徒会役員の改選が行われます。
生徒会長を退く林水は、宗介に忠告を残します。

崩壊する日常、繰り広げられる市街戦・・・。
全編、バトル&アクションといった巻です。
ついにレナード・テスタロッサが動き出します。
絶望的な状況を、宗介が駆け抜けます。
今回は、戦闘ではなく戦争です。

このシリーズの舞台となる世界は、途中から歴史が異なっている現代です。
アーム・スレイブと呼ばれる人型の兵器が、広く普及しています。
シリアスな本編と、ドタバタ・コメディの短編集とで構成されています。

アマルガムが、あれほどの兵力を保有していたのが意外でした。
自分では表には出ない、死の商人か、犯罪ネットワークのようなものと思っていました。
世界征服でもたくらんでいるのでしょうか?

直ぐに最終回というわけではないようですが、学校編は終わりのようです。
短編集はどうなるのでしょう?

いちばんテンパっているのは、かなめでしょうか。
最後まであがき続ける宗介が清々しいです。

リンク集: 賀東招二

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10月 22, 2004

戦うお祭り「吉永さん家のガーゴイル5」

日常に不思議な人や物が混在する、家族の絆がテーマのコメディ・シリーズです。
「吉永さん家のガーゴイル5」著:田口仙年堂/絵:日向悠二(ファミ通文庫 10月刊)

物語りの中では春ということで、南口商店街では春祭り・さくら祭りが一週間ほど開かれます。
今年は、商売上のライバル・北口商店街がセールをぶつけて来ます。
いつものメンバーも加わり、しだいにお祭りはヒートアップしていきます。

パパさんが熱いです。
吉永家の最強キャラ・ママさんも、大暴れです。
楽しくって、少し哀しく、あったかい物語りです。

今回は、お祭りらしく、ほぼオールキャストといった感じです。
新たなバカキャラも加わります。
微妙に小者ですが、このくらいで丁度よかったです。

本質的な悪人は登場しないので、ほのぼの読めます。
物語りの中では、季節が一巡りです。
絵のシンクロ率も高く、一体となって雰囲気をつくっています。

百色、すっかりご町内にとけ込んでます。
東宮は、しっかりしていそうで、相変わらず迂闊です。
ケルプのほうが役に立ってます。
デュラハンが華麗な駐車テクニックを披露します。
オシリス、言葉を交わすのは和己とだけですが、やはり特別な想いがあるのかな。
傲慢で世間知らずだった彼女も、いい感じに成長してきているようです。

ご神木の桜が綺麗です。
南口商店街の、二つの剛の者の集団は、今後も登場するのでしょうか。

リンク集: 田口仙年堂 日向悠二
ファミ通文庫の公式サイトに、登場人物紹介ショート・ショートが掲載されています

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10月 21, 2004

おいしそうな本たち

読書にお茶とおやつは、付き物ということで、
本好きPeopleのTB企画「食欲の秋? おいしそうな食べ物が出てくる本を教えて!」に参加します。
食べ物が印象的だった本を思いつくままにピックアップしてみます。

魔法使いのティータイム」著:とまとあき・塚本裕美子/絵:伊東岳彦
異世界での日常の調理風景がいい感じです。
果物とかの食材も美味しそうです。
異世界で、魔法使いの弟子となった現代日本の少女が主人公です。
魔法がなかなか上達しません。
でも料理が身を助けます。
異世界から勇者が現代日本にやってくる「わたしの勇者さま」の続編です。

丘の家のジェーン」著:モンゴメリ
プリンス・エドワード島に滞在中は、主人公が家事を切り盛りするので、
料理中心の展開になります。
朝食ができるのを待つ間、ドーナッツを食べながら庭を散歩するシーンが好きです。

にゃんこ亭のレシピ」著:椹野道流/絵:山田ユギ
丼山盛りの南瓜の煮付け・・・、なんか良いです。
レシピ付きです。
新鮮で質の良い食材というのは、やっぱり食欲をそそります。

「フォーチュン・クエスト」著:深沢美潮/絵:迎夏生
主人公のパステルが食事と会計を担当しているので、料理シーンがよく出てきます。
パステルの作るお弁当や、食堂のメニューなどが、ときどき挿絵で解説されていたりします。

ランサム・サーガ」著:アーサー・ランサム
人生で大切なのは、きちんと食事をとることだといった感じで、
お茶や食事のシーンが要所要所に挿入されています。

「イリアの空 UFOの夏 その3」著:秋山瑞人/絵:駒都えーじ
第1話の「無銭飲食列伝」。
ヒロイン二人の、壮絶な大食いバトル、大迫力です。

青い剣」著:ロビン・マッキンリイ
デザートとして出てきたバリバリ音をたてる甘いものを食べるシーンとか、
狩猟猫ナルノンが、主人公に分けてもらうお粥とか、
ラップラン試練会の後、大鍋の料理をむしゃむしゃ食べるシーンなど、
印象的で、食欲をそそられるだけでなく、そのときの主人公の心情を表す描かれ方がされています。

「プリンセスメーカー ゆめみる妖精」著:細江ひろみ/絵:四位広猫
屋台のココアとかに引かれます。
ライアンの作った「シチューのようなもの」もいい感じです。
ゲームのノベライズですが、ゲームを知らなくても楽しめます。
あったかくていい物語りです。

ロケットガール シリーズ」著:野尻抱介/絵:山内則康・むっちりむうにい
宇宙飛行士である主人公たちは、食事が制限されているので、食べ物が重要な意味を持っています。
ハーガウとかイチジクの実とか、美味しそうです。

・・・きりがないのでこのくらいで。

こうしてリストアップしてみると、シンプルで日常的なものに、食欲を刺激されているみたいです。

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10月 19, 2004

大きな卵「ディアスの天使」

少女が銀河を救う大河SFロマン、最終巻にふさわしい、壮大なフィナーレです。
「銀河聖船記3 ディアスの天使」著:岡本賢一/絵:鈴木雅久(ソノラマ文庫 1995年刊)

雨骨石の謎、超越者、最後の審判、人類の覚醒といったサイキック・ウォーズなストーリーです。
いくぶん神話めいたり、宗教がかったりした雰囲気です。
急激に崩壊へと転げ落ちていきます。

リナ、さすがは英雄バルトの孫といった胆力とカリスマです。
前巻の事もあって、アドラは、キレかかっています。
バイオハーフの「ツグミ」、生意気な感じが可愛いです。
「ネズミ」、色々と、おいしい役どころです。
レオンも、自分の運命に向き合います。

後半は、横スクロール・シューティング・ゲーム好きならニヤリとする展開です。
ついにディアスがその力を発揮します。

登場人物の個人的レベルでは、いくつかの悲劇的結末を迎えます。
そういった中にも希望を感じさせる終わり方です。

銀河聖船記は、宇宙物ならではの、巨大さを堪能できるシリーズです。
殺伐となりやすい世界設定も、リナの、きれい事と言われようと無益な争いを避ける姿勢のおかげで、希望のある明るい雰囲気になっています。

リンク集: 岡本賢一

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10月 18, 2004

悩める電脳「ディアスの戦士」

少女がネコとネズミを伴って、帝国の暴走をとめようと奔走する大河SFロマンの2巻目です。
「銀河聖船記2 ディアスの戦士」著:岡本賢一/絵:鈴木雅久(ソノラマ文庫 1995年刊)

全ての戦いの常識を覆す超亜空間転送機。
その秘密を探るべく、リナたちは、ディアスを離れ小人数で、蘇製された地球・セカンテラへと向かいます

いよいよ帝国の暗部が浮かび上がってきます。
アドラ、ハードボイルドしています。
直接登場はしませんがリナの両親が影の主役です。

前回の敵役だったレオンは、今回、独自の行動をみせます。
レオンたちの思惑が、リナたちに有利に働いたり、不利に働いたりする展開が面白です。

複合AIベルドネス、泣かせます。
いい人工頭脳です。
いかした老兵が加わります。
お留守番の艦長補佐も楽しいです。

この巻自体のストーリーは、ちゃんと決着がつけられていますが、最後のシーンは、次の巻への引きで終わっています。

リンク集: 岡本賢一

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10月 17, 2004

少女艦長「ディアスの少女」

猫とネズミが、少女を助けて巨大戦艦を取り戻そうとするスペースオペラです。
「銀河聖船記1 ディアスの少女」著:岡本賢一/絵:鈴木雅久(ソノラマ文庫 1994年刊)

間近に巨艦ディアスが浮かぶ人工惑星C11。
元々は、200年前の銀河大戦を終結に導いたディアスの保存・整備のためにつくられた人工惑星でしたが、いまではスラム化が進んでいます。
住人は、自由の象徴であるディアスに引かれて集まった、合成種族(バイオハーフ)と呼ばれる人造の半人半獣の人々です。
ある日突然、賞金稼ぎの猫種の青年アドラの部屋の屋根を突き破って少女の入ったカプセルが落ちてきます。
面倒なことには関わらずにおこうとするアドラですが、住んでいるC11の危機を知ってしまってさあ大変といったストーリーです。

老人たちが元気です。
アドラ、シニカルぶったお人好しです。
13歳の少女がけなげです。
鼠サイズの「ネズミ」もいい味出しています。

敵役も、いい感じに性格の屈折した皇太子、実直な女性副官、陰険で小役人な現場指揮官と、ツボを押さえています。

ディアス、超大型の反粒子砲を備えた大艦巨砲主義の素敵な船です。
熟練した艦員ごと眠らせて保存されているというSFならではのスケールです。

ジェットコースタームービーといったストーリーで、アクシデントとアクションのてんこ盛りです。
群像劇風に描かれています。

全3巻のシリーズです。
続き物ですが、各巻ごとに微妙にカラーが違います。
関連作品に、世界観と一部キャラクターを共有する銀河冒険記シリーズがあります。

リンク集: 岡本賢一

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10月 16, 2004

恋に惑う少年「此花 死神伝説の真相」

恋と謎解きに心を悩ませる少年が主人公のライトミステリーです。
「此花KONOHANA:TrueReport ~死神伝説の真相~」著:野島洋佑/絵:moo,福田道生(電撃文庫 2001年刊)

新聞部設立を目指す美亜子たちは、突然、活動の自粛を言いわたされます。
さらなる実績を作ろうと、死神伝説誕生の謎の解明に乗り出しますが、やがて秘められた過去の事件が・・・。

ゲーム「此花4 ~闇を祓う祈り~」のトゥルーエンドがとりあえず見れました(のろすぎ)。
これを機会に、再読してみました。
本当は、他の本を探していてたまたま発掘しただけです。

嫉妬深い恵を見ることが出来ます。
ゲームより多少暗めです。
一人称ではありませんが、ほぼ、恵の視点で描かれています。

アドベンチャーゲーム此花シリーズは、ラブコメ・メインのライトミステリーです。
1~3をまとめたお徳パックと、最近発売された4とが出ています。
全体に、明るくカラッとした雰囲気ですが、事件は意外とハードだったりします。

ストーリー自体は、ベタですがしっかりしています。
トリックなども、どこかで読んだり見たりしたようなものですが、それは言わないお約束ということで・・・。

この本は、ゲームの1と2の間のお話しです。
口絵に、1の簡単な粗筋があります(ネタバレはほとんどありません)。
これだけでも読めないことはないのですが、やはりゲームをやっていたほうが楽しめるでしょう。

ゲームの方では、インターネットでの調べものといえば、真由美先生ですが、この本では図書館の司書の中年男性です。
もっと肉付けしていけば、いい味のキャラになりそうですが、ゲームへの登場はなさそうで残念です。
ゲームからの登場人物は、恵、美亜子の他に、野々村先生と教頭先生、そして尚人です。

此花4について:
大見優子、前半では、ヒロインの一人に昇格しています。
亘も再登場で、レギュラー化決定でしょうか。
壬和子は、登場しないようです。
川澄さんの歌がなくなっているようなのが残念です。
セーブ方式が変わっていますが、以前のほうが分かりやすかったです。
ストーリーは二部構成になっています。
とりあえず推理シーンまでを見てから、一度戻って推理に必要なシーンの選択肢を探るといった感じが少し面白かったです。

関連記事:此花 リアルがあるとは世の中油断できない

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10月 14, 2004

不運体質の少女騎士「聖ベリアーズ騎士団!」

庶民出身の新米女性騎士が、王女様に振り回されるコメディ調のファンタジーです。
「聖ベリアーズ騎士団!」著:霜島ケイ/絵:美剣綾子(スーパーファンタジー文庫 1996年刊)

主人公のシャルは、騎士養成学校を卒業したばかりの武術に優れた少女です。
喧嘩っ早いけど真っ直ぐで、常識的なのにトラブルを呼び寄せてしまいます。
ボーイッシュでどちらかと言えば無口なキャラですが、心の中では、周りの人にツッコミまくりで楽しいです。

剣と火薬は登場しますが、銃や魔法は無しの世界観です。
シャルの一人称で語られます。

有力貴族の不興をかったために、周囲から落ちこぼれといわれる、たった8人の騎士団に配属され、着任そうそう、隣国から戻ってくる王女様を迎えるための護衛の隊列の端っこに加わることになります。
権力闘争に巻き込まれ翻弄される新任女性騎士のサクセスストーリーです、たぶん・・・。

やる気のなさそうな団長。
優れた技術を持ちながら性格に問題のある団員たち。
主人公以外は、王女さまも含めて、一癖も二癖もある人物ばかりです。
主人公、敵よりも味方に困らされます。

二転三転する展開の早いストーリーと、王道的なキャラ配置が、いいバランスです。

リンク集: 霜島ケイ

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10月 12, 2004

ジャンキーな雰囲気「食卓にビールを2」

日常に非日常が混入する、女子高生が主役のSFコメディ短編集の2巻目です。
「食卓にビールを2」著:小林めぐみ/絵:剣康之(富士見ミステリー文庫 10月刊)

目次から、ショートショート2本と長編1本かと思いましたが、「伝説のスネークマスター編」も、ほぼショートショート短編集でした。

サクッと読めて、後に残りません。
スナック感覚で楽しめました。
明るくて楽しくて、かすかに不気味です。

退屈してる主婦で高校生で小説家だという設定上の無理が、変な化学反応を起こしている感じです。
前巻では、主婦編と高校生編とに分離していたのですが、今回は、一つの話の中に混在しています。
そのため、主人公、一見まともに見えて実はどこかのネジが外れているといったキャラに見えます。
自分は正常と思いこんでいる危ない人というか、なにか悪いクスリでもやってて現実感を喪失しているような感じです。

科学っぽい用語が出てきますが、コメディなので、あくまで味付け程度に流すのが吉でしょう。

私主観で語られるストーリーの、どこが現実なのか空想なのか分からないような奇妙な雰囲気が、味になってます。
その点、最後のほうに出てくる夫主観の部分は、蛇足な感じです。

リンク集: 小林めぐみ剣康之

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10月 11, 2004

修行と恋「裏切りの玄武院」

13歳の見習巫女、トモコが活躍するドタバタ・ホラー・コメディの第2巻です。
「仮免巫女トモコ2 裏切りの玄武院」原案:南原順/著:工藤治/絵:近永早苗(ログアウト冒険文庫 1995年刊)

トモコたちは、人間と結婚しようとしている妖怪がいるとの知らせを聞いて、東北の小さな農村・安曇村へと、調査に向かいます。

中学生少女3人組みが垣間見る大人の恋愛といったストーリーです。
恋愛部分はシリアスなので、ラブコメといった感じはあまりしません。

今作も最初から、バカ全開です。
ホラーな味付けです。
怖くはありません。

3人の友情も深まります。
前作では不発の多かったトモコの霊術も、大活躍です
五十嵐ゆかり、押しかけ弟子となって前作以上に活躍します。
偶然と言い切る大月美弥子が、カッコイイです。

村の老婆など脇役もいい味出しています。

リンク集: 工藤治

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10月 10, 2004

明るいホラー「仮免巫女トモコ」

愛情を求めることが不器用な少女たちのスラップスティック・ホラーコメディです。
「仮免巫女トモコ」原案:南原順/著:工藤治/絵:近永早苗(ログアウト冒険文庫 1995年刊)

アクセル全開のバカ小説です。
幼いときから修行に明け暮れてきた少女が、友達をゲットします。
あまり怖くはないですが、ホラーな雰囲気も味わえます。

妖怪に魅入られた女子中学校が舞台です。
怪異を祓う陰陽道寺院の一人娘で、13歳の巫女見習、トモコが主人公です。

人々を呪詛、悪霊から守るという使命に燃えています。
明るく素直な彼女ですが、思いこみが激しく人の話を聞かずに暴走します。

本質的な悪人は登場しません。
一見、傍若無人に見えるトモコの行動も、好意を拒絶されることへの恐れの表れだと思えば、いとおしいです。

言いまわしの一部に多少気になる点もありますが、サクッと読めます。

主人公に見込まれるタカビーなお嬢様・美弥子もいい感じです。

リンク集: 工藤治

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10月 08, 2004

理系なお姫さま「英雄と王冠」

規格外で役立たずなお姫さまのサクセス・ストーリーなハイ・ファンタジーです。
「ダマール王国物語(2) 英雄と王冠」著:ロビン・マッキンリイ/訳:渡辺 南都子(ハヤカワ文庫FT 1987年刊)

主人公は、王の娘に生まれながら、母親の血筋が謎であるために周囲から疎まれ孤立しています。
王族であれば、誰もが持っている「賜物」と呼ばれる魔法の力も、年頃になっても発現せず軽んじられています。

彼女は、立場に甘えず、「賜物」がなくても王族の責務を果たせることを示そうと、一人で道を模索し、黙々と努力を積み重ねていきます。

すずしげな味わいの正統派ファンタジーです。

傷を負った馬との交流と、秘薬復元の試行錯誤の過程がほほえましいです。
少数ながらも、暖かく見守る人々の存在も、いい感じです。

竜との対決の結果も、衝撃的で、単なる英雄譚となっていないのも素晴らしいです。
英雄って何だろうと考えさせられます。

字が小さく、原文のせいか翻訳が悪いのか、長い段落も多くやや読みにくいです。

王冠奪還のエピソード、神話的な感じで悪くはないのですが、少し唐突です。

ルーサとのエピソードは、生身の女性であることを示したかったのかもしれませんが、安手の昼メロといった感じがしました。
トーが、憐れすぎます。
この部分だけイーリンがやたらと自己憐憫に浸っているのも違和感があります。

最後の決戦シーンは、前半の調子に戻ってそれなりに締めくくられていますが、うやむやにされてしまった感もあります。

会話より、描写で進んでいくストーリーや、不器用だけどひたむきな主人公の泥臭い活躍など独特の味わいが楽しいです。

前作の「青い剣」は、イーリン姫が伝説となった数百年後のダマール王国が舞台です。
19世紀末か20世紀初頭の植民地時代といった雰囲気です。
イギリスを思わせる本国から、砂漠の植民都市へとやってきた背の高い少女が主人公です。
狩猟猫や砂漠の民の風俗など魅力的です。
馬をもらってからのストーリーはスピード感があります。
ただ、導入部が、無意味に長いのと、ストックホルム症候群?といった設定が引っかかります。
さらわれてラブラブというのは、女性から見てOKなのでしょうか。

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10月 06, 2004

辺境星系でクラブ活動「ミリー・ザ・ボンバー」

巨大な全寮制の学園が舞台のSF学園コメディです。
「ミリー・ザ・ボンバー シリーズ(全3巻)」著:都築由浩/絵:そうま竜也(青心社文庫 1996,2001年刊)

行動派で趣味に生きるミリーが相棒のセリナを巻き込み、自作の変な発明品で大暴れします。
少し古めのSFといったストーリーです。
特殊効果の銃や変形する宇宙戦闘機などのガジェットもいっぱいです。
ミステリー風の味付けがされていますが推理物ではありません。

全体に、ラブコメ要素は薄いですが、巻を追うごとに少し増えていきます。

最近では、すっかりエロ・レーベルとなった青心社文庫ですが、この本にはHシーンはありません。

主役は、アシスト役のセリナで、彼女の一人称で語られます。
妙なアイテムを作るのも事件を解決するのも、シリーズ名の通りミリーです。
普通であればミリーが主役でしょう。
外伝とかでなら、こういう配役もありそうですが。

セリナの視点で描かれているために、楽しげにはしゃぎまわっているミリーを、ほのぼのと眺めたり、騒ぎにちょこっと参加してみたりといた味わいで、いい感じに文系のクラブ活動といった雰囲気なのです。

イラストも楽しく、雰囲気によく合っています。

「ミリー・ザ・ボンバー1 発進!! 宇宙かける爆弾娘」
生徒の行方不明事件を解決しようと奔走する話。

「ミリー・ザ・ボンバー2 暴走!! 弾丸レース危機いっぱい」
陰謀を暴くために、小惑星帯を縦断する小型宇宙機ラリー・レースに、参加する話。

「ミリー・ザ・ボンバー3 絶叫!! ぱにっくイン宇宙水族館」
宇宙に浮かぶ巨大水族館で事件に巻き込まれるパニック物

リンク集: 都築由浩

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10月 03, 2004

ドラゴンと生きる「ドラゴンライダー」

異種族間の戦争を描く、練られた世界観のエピック・ファンタジーです。
「モンスターメーカー ドラゴンライダー(上・下)」著:鈴木銀一郎/絵:九月姫(富士見ファンタジア文庫 1991,1992年刊)

恋愛やコメディ要素は低く、オーク族の悲しい運命も語られているのですが、不思議と重い感じはしません。むしろ、軽快で爽やかな読み心地です。

一つの戦役を中心とした歴史群像的に描かれています。
戦争の発生を社会のありようという視点から描いてあるのが興味深いです。

歴史の中に忘れ去られようとしているドラゴンライダーという生き方を、自らの意思で受け継ぐ少女の物語りでもあります。

ストーリーは、山奥の閉鎖的な村で育った少女・アイラが、密かな夢であったドラゴンライダーとなり、広い世界を旅して種族間の大戦争に関わり、帰還してドラゴンライダーの系譜を継ぐという流れがベースとなっています。

上巻では、アイラ、魔術師、歴史学者、反乱王の物語りが各章ごとに語られます。
下巻では、猫のような種族の貴族の娘と博打好きの剣士が加わり、世界全体を巻き込む戦乱が描かれます。

世界はコンパクトで、基本設定は単純明快です。
シャーズ族の生活など、魅力的な設定もいっぱいです。
「モンスターメーカー」は、カードゲームから始まり、ボードゲーム・コミック・ゲーム機のRPGなどへと発展したシリーズです。
それらと世界観は共有していても、どれかのノベライズではありません。

キャラクター中心というより、ストーリー中心で描かれています。
題名にも関わらず、ドラゴンライダー中心の部分は量的には少ないです。
上巻では、一章のみですし、下巻の中盤は、魔術師中心に話が進みます。
力強く愛らしいドラゴンの活躍をもっと見たかったです。
その点が少し不満ですが、第一章は、それのみでも一冊分の価値があると感じるほど好きな話です。

文章は、無駄なく簡潔です。
アイラが山を降り、王国を旅して世界の中心の島に渡るまでは、たった9ページほどですが、外の世界に対して戸惑いながらも次第に世慣れていくさまが、過不足なく描かれています。

戦闘シーンは少ないのですが、単に盛り上げるためのイベントではなく、やむにやまれぬものとして描いてあって好感が持てます。

銀河企画から、イラストを変えて再版されているようです。

リンク集: 鈴木銀一郎九月姫

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10月 02, 2004

もうすぐ完結?「百鬼夜翔 霧が閉じる黄昏」

人間と人間社会に隠れ住む妖怪たちを描く連作小説シリーズの13巻目です。
「シェアード・ワールド・ノベルズ 百鬼夜翔 霧が閉じる黄昏」著:友野詳 + グループSNE/絵:あるまじろう(角川スニーカー文庫 10月刊)

鬱々とした細切れのエピソードが長々と続いて退屈でした。

「百鬼夜翔シリーズ」は、「妖魔夜行シリーズ」の続編シリーズです。
今シリーズも、一般社会を巻き込む最終戦争で終わりのようです。
しかも、日本限定とスケールダウンしています。
それとも、このあと混乱が世界全体に波及するという最終決戦の2段構えなのでしょうか。
どちらにしても、もう少し別の終わり方を工夫して欲しかったです。
前回の最終決戦で大量に生じてしまった被害者たちと不安定化した人と妖怪の関係のゆくえが、今回のシリーズのテーマだと思っていたのですが違ったのでしょうか。
さらに同じパターンで被害者を増やしてどうするつもりなのでしょう。

半分程度の話を、水増ししたような感じで、緊迫感がそがれました。
今回は、複数の作家が書いたエピソードを、分解して編集したとのことなので、遠慮があって無駄を削れなかったのでしょうか。

ひかりの遭遇した事件、前半の記述と後半の本人の語りが噛み合ってません。
金属パイプは変でしょう。
霧で意識なり記憶なりを操作されているのだとすれば、お手軽な悪魔です。ひかりの魂の価値、軽すぎます。

知ってて当然のごとく語られる「樹海の件」にかなり戸惑いました。
あとがきによると、リプレイ集のエピソードのようです。
小説は、小説を読んでいれば分かるようにしておいて欲しかったです。

次が下巻とのことです。どうやって扉を開くのか注目しています。

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9月 29, 2004

電波系サブヒロイン「ホーンテッド!」

幽霊少女と自虐少女と逃げ腰ナルシスト男のラブコメディです。
「ホーンテッド!」著:平坂読/絵:片瀬優(MF文庫J 9月刊)

買う予定ではなかったのですが、新人の作品で、一推し的な扱いだったのと、イラストに引かれて買ってしまいました。

主人公、自分のことを「墓穴掘り人形」とか呼んでしまうナルシストです。
「自分語り」に熱心です。
いつも失敗したときの予防線を張っている感じがいやでした。
自分の行動の卑小さに自覚がなく、クールを気取っているのが、うっとうしかったです。

せっぱつまった場面で、トリックを得々と語って悦に入り、せっかく作ったチャンスを無駄にしてしまうナルシスティックな間抜けっぷりです。
生き残るために全力を尽くすと言うなら、黙って突撃すべき場面でしょう。
せめて誰かツッコンでくれればギャグになるのですが・・・。

50ページほどで読むの止めようかと思いましたが、自虐少女が出てきたあたりから、会話中心の展開に移行して、中盤は、そこそこ楽しめました。
後半、自分語りが再発したのが残念です。

全体に、語りが冗長で整理すれば、半分ほどにまとめられそうです。

後半の脱出劇は、へんに理屈っぽい展開なのに、護符の設定がいいかげんであるなどアンバランスでご都合主義です。

幽霊少女、素直で良い子すぎです。
三角関係が、いまひとつ曖昧になって盛り上がりに欠けます。
幽霊である必然も感じられませんでした。

生と死が主要なテーマのようですが、実感をともなわず観念的です。
友人も家族も出てきません。
生活感に乏しいです。

自虐少女の、暴走っぷりは素晴らしいです。
いい感じの電波系ヒロインです。
幽霊が普通に存在する世界観なので、単純に電波系といえるかは分かりませんが。
パワフルで、メイン・ヒロインの幽霊少女がかすんでしまうほどです。

後ろ向きな主人公の一人称なので、うっとうしい感じがつきまといました。
客観視点にするとか、幽霊少女のツッコミでギャグにするとかがあれば、もっと楽しめたかもしれません。

リンク集: 片瀬優

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9月 27, 2004

賞味期限付き勇者「イコノクラスト! 1」

巨大ロボット物の流れをくんだ異世界・召喚ファンタジーです。
「イコノクラスト!(1)FIRST CAMPAIGN【初陣】」著:榊一郎/絵:OKAMA(MF文庫J 9月刊)

“「つまりゲームの中にさえ……英雄は居られなくなった訳か」”

「普通の少年が、異世界に召喚されて大活躍・・・?」といったお話しです。
今回は、プロローグな内容ですが、サブタイトル通り、初回戦闘もあります。

神の呪いに追い詰められて殺伐とした世界です。
魔術成分多めのスチームパンクといった味付けです。
特異な世界観ですが、よく整理されていて分かりやすかったです。

主人公は、英雄の存在不能を理解しながら、それでも英雄にあこがれる少年です。
生意気で可愛い妹的なキャラや、異世界の姫巫女たちがヒロインです。
姫巫女、可憐だったり武闘派だったりと多彩です。

権力者たちが、裏で策謀をめぐらせています。
美少女たちも訳有りで、裏表だってあります。
遠くから見つめる謎の男も、登場します。

色んな巨大ロボット物からエッセンスを取りこんでいます。
次回予告付きです。
元ネタが分かりやすくなっているのは、あえてでしょう。

「救世主の使用期限」ですか・・・。
主人公、これといったスキルはないので、お払い箱になったらツブシがきかなさそうです。
どのくらいの時間的な余裕があるのでしょう。
花梨のためにも頑張って欲しいものです。

異世界人とは、基本的に言葉が通じないという、大胆な設定です。
花梨の方は、短期間で日常会話くらいはマスターするのかな。

ネロ、ヤバすぎです。
あの発言って、お肉にするってことでしょうか・・・。

切羽詰った世界なので、今後も、コメディ要素は低そうです。
多くの美少女が登場するので、多少のラブコメ的展開はありそうですが。

リンク集: 榊一郎OKAMA

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9月 26, 2004

軽い味わい「放課後ログイン」

気弱な少年の異世界チャネリングと成長の物語り。
「放課後ログイン」著:神代創/絵:みかきみかこ(MF文庫J 9月刊)

“ヘッドセットを装着して、ボクはもう一度、スイッチを入れた。”

こじんまりとまとまっています。
すごく感動したりとかはなかったですが、さくっと読めて楽しめました。
典型的なキャラクターたちですが、過不足なくて、いい感じです。

異世界が、とっても小さいです。
コメディ調ですが、けっこう血なまぐさかったりもします。
主人公一人称ということもあり、悪役の描写が少なかったのが、ややもの足りなかったです。

展開は、早くて軽快です。
異世界に対して、ほとんど干渉できない、もどかしい感じが、アドベンチャーゲームっぽかったです。

リンク集: 神代創みかきみかこ

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9月 25, 2004

高校生探偵?「電波的な彼女」

電波少女に見込まれた不良少年が主人公の物語りです。
「電波的な彼女」著:片山憲太郎/絵:山本ヤマト(スーパーダッシュ文庫 9月刊)

前半はラブコメ、後半は素人探偵物、全体を通してはサイコサスペンス風味でした。

登場人物たちがいい感じです。
不良少年らしいバトルシーンもよかったです。

ヒロイン、期待通りの電波少女でした。
いい子過ぎるというか、妄想度低めというか。
やや主人公を振り回すにはパワー不足にも感じました。

母親の設定や台詞と、主人公の人間離れした頑丈さから、あるかなと思っていたファンタジーな展開はありませんでした。

犯人は、最初からバレバレなので本格的な推理小説ではありません。

探偵物としてみると導入部が長すぎて、事件が取って付けたように感じました。
ラブコメは、事件後、急激に姿を消してしまい、盛り上がりかけたところで打ち切られた感じです。

どちらかへ重点をおくか、二部構成にするかしてあればスッキリしたでしょう。

探偵物にするのなら、できるだけ冒頭近くに事件の描写が欲しいです。
ラブコメ中心なら、事件は、ペットがらみなど、もっと軽いものでしょうか。
二部構成なら、本の真ん中にラブコメ部分のオチをがひつようでしょう。

妹、いいキャラクターです。
登場も印象的ですし、姉妹の組み合わせもぴったりです。
でも、ラブコメなのか、探偵物なのかの中途半端感の原因の一つになっています。
探偵物側のストーリーにまったく絡んでいないので、登場する必然性はありません。
ラブコメとしては、キャラが立っているだけに、後半、ほったらかしなのが不満です。

つづきがあるとすれば、探偵物なのでしょうか。
せめて前半くらいのラブコメ度を維持して欲しいです。

リンク集: 山本ヤマト

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9月 23, 2004

やっと完結「天高く、雲は流れ 15」

飄々として無敵な主人公が、息子を連れて旅をするファンタジーの最終巻です。
「天高く、雲は流れ(15)」著:冴木忍/絵:森山大輔(富士見ファンタジア文庫)

“都は濃い闇に覆われていたが、夜空の一角がぼんやりと明るかった。その方向から察するに、おそらく港で焚かれている松明だろう。”

きれいにまとまっています。
世界が小さい感じが、ずっと気になっていたんですが、なるほどという説明がついていました。
人が死に過ぎな気がします。
美しく雄大なビジュアルのフィナーレです。
寂しく静かな終わりでした。

シリーズを振り返ってみると、部分部分に魅力的なエピソードが多かったです。
全体としてみるとバタバタしたというか、どういった話なのか印象が薄いというか・・・。
せっかく助けた街や人々が、あとから壊れたり死んだりすることも多くて、徒労感のようなものも感じました。
こういう結末であるのなら、もっと短く済んだのでは。

悪役が、最後になって急にあいまいになってしまったのが残念です。
善悪が分けられない人間ドラマもありですけど、それならフェイロンの圧倒的な超人ぶりはどうかと思います。
こういう超越者は、ベタな勧善懲悪のヒーロー物でこそ許されるキャラです。

「<卵王子>カイルロッドの苦難」のときも感じたのですが、どうしてこう世界終末と生き残った人々的な終わり方なんでしょう。
最初のほうは、凄くいい感じだったのですが、途中から急にダークな感じになってしまいました。

このシリーズ、最大の謎は、フェイロンの奥さんでした。

新シリーズは、「風の歌星の道」のようなほのぼの路線だといいんですが。

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9月 21, 2004

十五歳の逃亡者「推定少女」

中学生・女子が主役らしい、都市伝説と和風ホラーな味付けのサスペンスです。
「推定少女」著:桜庭一樹/絵:高野音彦(ファミ通文庫 9月刊)

“白い高級外車のボンネットによじ上った白雪が、長くて細い足を組んで、夜空を見上げた。ぼくもよじ上った。”

少し哀しく切ない味わいです。

混沌とした現実と妄想の曖昧な境界の物語りです。
一人称が“ぼく”の中学3年生の少女の視線で語られます。
ストーリー中心ではなく、小さな出来事を積み重ねていくことで、キャラクターを描くお話です。

少し重ための話ですが、誠実な印象です。

キャラクターは魅力的です。
主役の少女二人組みと千晴だけでなく、電脳戦士もいい味だしてます。
ちょい役の格安量販店のオヤジとか、ガンショップの人々とかも楽しいです。

昔に置いてきた自分に出会った感じです。
漠然とした無力感と、正体のわからない切迫感・・・そんな気持ちを思い出しました。
ノスタルジックではあっても懐かしくはないかな。

そういった時期の真っ只中の人にとっては、この本はどうなんでしょう。
わざわざ小説でまで読みたくない。それとも、自分だけではないと安心できるのでしょうか。

前半のスピード感のある展開に、引き込まれました。
もっとハッピーなエンディングが好みです。
これはこれで、この物語らしいエピローグでした。

カナ同様、そういった自分がいたことは、忘れたくはないです。

リンク集: 桜庭一樹高野音彦

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9月 18, 2004

家族でなくても家族「サンプル家族」

もえの淡い恋と暗躍する手島一家さんのドタバタ・ファンタジーです。
「サンプル家族 乙女ゴコロとエイリアン」著:名取なずな/絵:OKAMA(スーパーダッシュ文庫 2001年刊)

“五人と一匹に力いっぱい見送られ、もえは嬉しくてしかたないといった様子でぴよんと跳ねた。”

平凡で、少し変な人々のお話です。
ちょっとラブコメ、かすかにサイコサスペンス風味です。

手島一家さん、ラブリーです。
チワワ、なにかと苦労します。

もえは、新築の家に一人で住んでいる、親はいても天涯孤独な少女です。
家族を求める心が切ないです。

梅雨の終わりに始まる初夏の物語りです。
奥底に死の気配が見え隠れしています。

ストーリーはテンポの良くコミカルに進んでいきます。
向日葵が印象的です。

リンク集: 名取なずなOKAMA

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9月 16, 2004

たぶんラブコメ「食前絶後!!」

お弁当・バトルアクション・コメディです。
「食前絶後!!(くうぜんぜつご)」著:ろくごまるに/絵:九月姫(富士見ファンタジア文庫 1994年刊)

主人公は、放課後の教室で幼馴染の少女から告白されます。

自意識過剰な語り口が、思春期のこそばゆい感じを思い起こさせます。
感覚を刺激することで、超人的な力を引き出すという魔術の設定が楽しいです。

主人公とヒロインの関係が中心のラブ・コメディだと思うのですが、そんな感じはあまりしません。
二人とも、理知的なタイプのせいでしょうか。
ヒロインの視点で語られるパートがないこともあり、とくに彼女の心の動きがわかりにくいです。

素直に他人に頼ることが出来ないヒロインも、それはそれでいい感じです。
思春期となり自覚し始めたばかりのプライドを持て余してる感じがします。

作者のデビュー作で、説明的な台詞も多く、上手な小説とはいえません。
食べ物が重要アイテムなのに、いまひとつ料理の印象が薄いのも残念です。

未完成な感じに、引かれます。
主人公と、ヒロインの対等な関係も好ましいです。

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9月 14, 2004

超能力コメディ「へっぽこSP なごみ!」

へっぽこ超能力者の集う警視庁特殊能力捜査課の刑事たちの活躍を描いた短編集。
「へっぽこSP なごみ!」著:直遊紀/絵:かわく(電撃文庫 2001年刊)

いつもダルダルな主人公は、無断欠勤してしまおうかと考えながら、ウザウザだと出勤しています。

何事にも積極的になれない主人公が、自分をすこし好きになるまでのお話です。
作者の優しい視点が、いい感じです。
ほのぼのとしたテイストです。

テンション低めの超能力者「なごみ」を中心にストーリーは進んでいきます。
役に立ちそうでもあり、役に立たなさそうでもある、超能力の設定が絶妙です。
事件に芸能界がらみのものが多いのは、作者が脚本家でもあるからでしょうか。

中篇が3つ、ショートショートが2つ、短編が1つといった構成です。
中篇の内の2つと短編が、なごみが主人公の話です。
流行遅れの流行少女、コギャル刑事のカヨが主人公の中篇が1つ、哀愁ただよう三ツ村課長が主役のショートショートが2つです。
各話は、それぞれの主人公の一人称で語られます。

そこはかとなくレトロな絵柄のイラストも物語りのゆったりした雰囲気によく合っています。
口絵の4(or3)コマまんがは、本編を読んでからだとニヤリときます。

課長、いい味出してます。
わたしは、まだ大丈夫ですが、将来を考えると切なくなります。

第三話のラストは、グッときます。
静かに哀しい結末です。

第四話のカヨの、課の仲間を大切に思う心がいい感じです。

最後の短編がいちばん好きです。
ありがちと言えば、ありがちなストーリーかもしれません。
ここまで読んできたからこそ、味わい深いです。

結依子やアリサが主役の話も読んでみたいです。
この本に収録されていないコミックもあったようです。
新しい巻でて欲しいです。

リンク集: かわく

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9月 12, 2004

ゆるやかな空気「にゃんこ亭のレシピ」

“村に呼ばれた”ゴータの冬から春の物語り。
「にゃんこ亭のレシピ」著:椹野道流/絵:山田ユギ(講談社X文庫ホワイトハート 9月刊)

冬の寒い日、一人暮しの部屋に仕事から帰った主人公は、一通の手紙を受け取ります。

不思議が不思議でない村、銀杏村が舞台です。
にゃんこ亭を取り巻く人々の、素敵な関係が描かれています。

猫も料理人モノも好きです。
題名を見たときから、かなり気になっていました。
でも、発売日には、見送りました。
ボーイズラブではないかと、警戒したのです。

電撃文庫の発売日に、あらためて店頭で手にとってみました。
表紙を見てみます。
・・・微妙。
絵柄が、それっぽい・・・。
妙に色っぽい野郎が二人ほど。
男二人だけなら決定的ですが、中央には小さな女の子が・・・。
微妙です。

なかを見てみます。
各ページのヘッダとページ番号が二色刷り、オシャレ過ぎます。
主人公の名前が、カタカナな点も不安を掻き立てます。
各章末にレシピがついているのは、ターゲットが女性ということでしょうか。

パラパラとみたかぎり、一章にはそういったシーンはなさそうです。
かなり悩んだすえに買ってしまいました。
やばいシーンが出てきた時点で封印と言うことで・・・。

一章・・・。
泣けました。
優しい気持ちです。
独立した短編として読めました。
とりあえず満足です。

ここまでに登場するのは主人公であるゴータ以外は、ほとんどお年寄りです。
相方がいないので、ボーイズラブになりようがありません。
和尚は、微妙ですが、豹変しない限り大丈夫でしょう。
サツオは、ないでしょう・・・ありなのでしょうか。

問題は、この先です。
章題の「色男は春風とともに」というのが、危険な感じです・・・。
ともかく読みます。

で、結果ですが、多少、そういった要素はあったものの許容範囲内でした。
約一名が、そのての台詞を吐くだけなので、ギャグの一種として笑えました。
二人のコンビネーションもよかったです。
こんごも、友情であることを強く願います。

お店の運営についても、仕入れとか、準備とか、丁寧に描かれています。
こういうのが好きなので大満足です。

読み終わって、もう一度、表紙を見てみると、物語りのカラーがよく現われていることがわかりました。

一行の文字数は、すこし少なめです。
ページ数に対してお話が薄くなっているとは感じませんでした。

猫に関しては、重要ではあっても短いエピソードがあるのみでした。
別のかわいい動物(?)は出てきます。

表紙真ん中の女の子の登場は、かなり最後のほうです。
今後の活躍を期待してます。

男でも読めるように、ボーイズラブ要素は、読者の2次創作にまかせる程度にとどめてもらえるとありがたいです。
今後も読みつづけたいので・・・。

コギの参加で、お話はもっと不思議よりになっていくのでしょうか。
人間ドラマが中心なのかな。
つづきが楽しみです。

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9月 10, 2004

少し派手め「キーリVI はじまりの白日の庭(下)」

切なくノスタルジックな荒廃世界ファンタジーです。
「キーリVI はじまりの白日の庭(下)」著:壁井ユカコ/絵:田上俊介(電撃文庫 9月刊)

帰ってきたハーヴェイは、キーリが夕方に出かけたきり帰ってこないと聞かされます。

もともとアクション要素の強くなるクライマックスシーンが、下巻に入っているので今回はアクション多めです。
不器用に食事の用意をする子供たちが、愛おしかったです。

237ページの小説本体の他に、「電撃hp」に掲載された46ページのコミックが収録されています。
2巻と3巻の間のエピソードです。
小説の中でも乱暴に扱われている兵長ですが、落っことされる絵を見ると、バラバラにならないなかとよけいにハラハラします。

中盤、ホラーアクションといった展開があります。
怖いんだか可愛いんだか分からない微妙な怖さです。

考えてみればこのシリーズ、幽霊、ドカドカ出てくるのだからホラーなのでしょうか。
あまり、ホラーといった感じを受けたことはありません。
幽霊、優しかったりしますし・・・。
怖いのは生きた人間のほうです。

この巻で、すべてが解決したわけではないので、ここは、今後、重要な場所となっていくのでしょうか。

いろいろありすぎて、ベアトリクス、忘れられているような・・・。
ベアフットは、今回もやっぱり切ない役回りです。

キーリが積極的になって、二人の関係も少し進んだ感じです。
過去との出会いは、ハーヴェイとっても転機となるのでしょうか。

リンク集: 壁井ユカコ

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9月 09, 2004

ダンジョンなスクールライフ「ファイナル・セーラー・クエスト完全版」

お気楽で、お間抜けな女子高生が主人公のRPGコメディ短編集です。
「ファイナル・セーラー・クエスト完全版」著:火浦功/絵:スギサキユキル(角川スニーカ文庫 2002年)

瀬戸内の小さな町から引っ越してきて入学式に出られなかった主人公は、初登校となる学校へと急いでいます。

突拍子もない設定が満載のお話ですが、作りはオーソドックスなコメディです。
特に感動したりするようなものではないのですが、ときどき読み返してしまいます。

舞台は世田谷区神宮寺の人たちの職場や学校があるダンジョンです。
題名からは、ファイナルファンタジーとドラゴンクエストを連想させますが、パロディの土台となっているのはウイザードリィです。
挿絵が「竹本泉」だったログアウト冒険文庫版(1995年)に、二つのお話と、短い漫画の原作原稿が追加されています。

最初の話である「セーラー服と試練場」は、少し珍しい感じがします。
一人称ではないのですが、基本的にドジッ子である主人公の視点で描かれています。
ハチャメチャな主人公の場合、よく少し引いた周囲の人物の視点で描かれます。
主役視点でもキッチリ描かれているのが、面白いコメディシリーズの基本パターンかもしれませんが。

ログアウト冒険文庫版では題名となっていた「ひと夏の経験値(1994年火浦功伝説に掲載)」には、オンラインRPGを思わせる設定があります。
ウルティマ オンラインのサービス開始は1997年、Meridian59やDiabloでも1996年です。
作者の先見の明でしょうか。
単なる偶然かな。

登場人物たちの掛け合いが楽しくて、笑ってしまいます。
主人公の、どんなときでも普通の人レベル1といった性格も好ましいです。

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9月 03, 2004

怖さひかえめ「聖霊狩り 呪われた都市」

しっかり者でうっかり者な女の子と、腐女子の美少女が活躍するコメディ・ホラー。
「聖霊狩り 呪われた都市」著:瀬川貴次/絵:星野和夏子(コバルト文庫 9月刊)

廃部寸前の漫画研究会の二年生コンビは、いつものように昼休みを部室ですごしています。

こんかいは、古都・鎌倉までの小旅行です。
日本の古い歴史がスパイスとなっているシリーズです。

「聖霊狩り」シリーズ第2期の2話目ということになるのでしょうか。
本当は、「闇に歌えば」シリーズから続く、柊一と誠志郎の二人が主人公の物語りなのだとおもいます。
「闇に歌えば」シリーズ読んでいません。
いまはなきスーパーファンタジー文庫からでた「闇がざわめく」から読み始めました。
わたし的には、早紀子と萌の二人が主人公です。

早紀子が主役の「闇がざわめく」には、ブラック・ガーディアンズというシリーズ名がつけられています。
本来、別系統のシリーズの1作目として書かれたのでしょう。
二人は、「聖霊狩り」シリーズ最初の頃は、ゲストキャラクター的なあつかいでした。

安内での事件にも決着がつき、二人の出番も少なくなるのかと寂しく思っていました。
むしろ、重要度があがったようです。
今回は、完全に主役です。

早紀子は、期待にたがわず、うっかり妙なものに手を出してしまいます。
萌の妄想は、さらにパワーアップしている様子です。

ラブコメ中心の展開でした。
やはり、萌ににらまれている裕樹が、もっとも不利なのでしょうか。

物語りの中では、すでに11月前半あたりかな。
これからの秋の始まりの季節にぴったりのお話でした。
うちの周りでも、夜中こおろぎが激しく鳴いています。

誠志郎の出番は、少なかったです。
前期では、最強キャラの一人だった美也は、いろいろとピンチのようです。

次回は、このままの続きでしょうか。
いったん帰ってまた来るのかな?
先が気になります。

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9月 01, 2004

炎の怒り「ウルティマ妖魔変」

面白いのにコンパクトなアクション伝奇。
「ウルティマ妖魔変(全3巻)」著:西谷史/絵:末弥純(角川文庫/スニーカ文庫 1988-1990年)

八角形八階建ての特異な形状のビルの七階にあるSEルームで、主人公・拓磨は、一人、デスクでリアルタイムのデータに目を通しています。

当時、たくさん出版されたSFホラーアクション伝奇の一つです。
バブルまっさかりの頃で、このジャンルの本は、むやみにパワーにあふれていました。
突然、主要キャラが死んだと思ったら、脈絡もなく復活したり、途中で別の話が割り込んだりと、ストーリー展開はかなりむちゃくちゃなのに、勢いがあってなぜか読みつづけてしまうといった感じでした。

面白かったものは、ずるずる続いて、いつまでたっても終わらずに未完のままか、登場人物の大虐殺で強引に終わったりしてました。
この本は、全3巻と短くまとまっているのに、このジャンルのいろんな要素が濃縮されていて、当時の雰囲気を感じるにはお手ごろです。

地球と異界が交わることで起きる、暴力の嵐といったストーリーです。
物語りは、2つの平行世界で、同時に進行していきます。
ひとりひとりの登場人物に、人間の良い面と悪い面とが混在しています。

ほとんどの登場人物が、自分の欲望を追求することに躊躇しません。
目的のために他人を利用するのは基本です。
だからといって悪人というわけでもありません。
見返りなしで、他人を命がけで助けたりします。

タイトルにあるウルティマは、今でも有名だとは思いますが、コンピューターRPGの祖先の一つとなったゲームです。
どのへんがウルティマかというと、異世界側の設定の一部にウルティマIVの設定を借りています。
敵キャラは、ウルティマI~IIIからも登場します。
ウルティマへのオマージュなのですが、良い意味で、ウルティマらしさに拘ってはいません。
ウルティマ知らなくても問題なく読めます。

音楽が、重要な意味を持っていたりします。
前半は、巨大芸能プロダクションが主要な舞台となっています。

ときどき、こういった泥臭くてパワーのあるものを、むしょうに読みたくなります。
最近のライトノベルのは、どれも洗練されてきていて、わけのわからない勢いだけで読ませるようなものは少なくなったように感じています。

余談ですが、「ファンタジー王国 1(カドカワノベルズ 1991年)」というアンソロジーに、後日談となる「電脳塔の恋人たち」が収録されています。
ちょっとしんみりするいい感じの短編です。

リンク集: 西谷史

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8月 31, 2004

拳がうなる「賢者の国の魔法戦士」

最強剣士を目指すガタイのいい魔法使いが活躍するファンタジー。
「魔法戦士リウイ ファーラムの剣 賢者の国の魔法戦士」著:水野良/絵:横田守(富士見ファンタジア文庫 8月刊)

オランの王城へと向かう一行は、地元の若い騎士にからまれます。

オーソドックスな剣と魔法のお話ですが、いつもながら面白かったです。
冒険者の王国オランに到着ということで、冒険者らしく古代遺跡で宝捜しです。

「剣の国の魔法戦士」から始まる「~の魔法戦士」シリーズの4巻目ですが、何か題名が長いと思ったら、“ファーラムの剣”が増えています。
この巻から最終章である第3期が始まるとのことです。
「魔法戦士リウイ(0)~(9)」は、このシリーズのプレストーリーです。
人物間の微妙な関係を知るには、読んでおくほうがいいのかもしれません。

人物の設定が巧みで、物語りの運びが手堅く読みやすいです。
熟練した匠の技です。
そのぶん新鮮味はありませんが。

脇役でもちゃんと欲求を持っていて、それが引き起こす葛藤が面白いです。
登場人物同士の絡みをまんべんなく描きながらすっきりとまとまっています。

ラブコメ面は、控えめでした。
アイラのポジションが上がっています。
今後は、ミレルとの2トップということでしょうか?

主人公、なんか少し弱くなっているというか、経験値が下がっているような。
ティカは、魅力的なキャラクターだと思うのですが、やはり影が薄いです。
別働隊なのがネックです。

最後に手に入れた大荷物は、どうなるのでしょう。
ティカたちが運ぶのかな。
まさか、自走式とか・・・。

今回、ややページ数は少なかったですが、次は厚くなるとのことなので期待しています。
どちらかといえば、厚い本が好きなので。

リンク集: 水野良

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8月 29, 2004

ブックカフェで読みたい本

うさぎの本棚」さんの「こっそりTB企画『カフェで読みたい本は何ですか?』」が、面白そうなので、少し考えてみました。

カフェで読むとなるとやっぱり短編でしょうか。
『カフェで読みたい(置いて欲しい)本』なら、リピーターが期待できる、シリーズ物で、ある程度の量があるものがいいと思いますし・・・。

「スレイヤ-ズすぺしゃる」とかかな・・・。
そのへんの読者なら、マンガ喫茶を選びそうですね。

昔は、間口の広い短編と言えば、星新一でしたが、今だとどうでしょう。

短編と言うわけではないけど、「キーリ(壁井ユカコ)」は、各章の独立性が高いから向いているのでは。
感動シットリ系なので午後の時間を静かに過ごすのに向いているし・・・。
でも、自宅で集中して読みたいような気もします。

少女小説のレーベルなので男の客層をカバーしきれませんが、コバルト文庫は、長編でも少しずつ読めるような気がします。
雑誌掲載から文庫化という流れがあるからかな。
同じような流れがあっても、富士見ファンタジア文庫だとそんな印象はないんですよね。

カフェで読む本、意外と難しいですね。
昔は、喫茶店で本を読んでいる人が、よくいたような気がしますが。

個人的には、カフェで小説は読まない思います。
人前で読む本と言えば、技術系の本やビジネス書くらいです。
物語りを読むときは、ぐふぐふ笑ったり、だばだば泣いたり変な人になっていますので・・・。
もともとゆるい涙腺が年齢とともにさらに緩んでいて、感動ものは特に危険です。

カフェでお茶を飲む値段って、地域によっても違うとは思いますが、文庫本一冊とそんなに変わりませんよね。
読みたいものは買ってしまいそうです。
かといって、ハードカバーは、カフェで読むには重たすぎるような気がしますし・・・。

技術書やビジネス書中心のブックカフェとか・・・なんか、採算会いそうにもありませんね。
その手の本って、やたらと値段が高いわりに寿命が短いものが多いですから。

やっばり、絵本や画集のようなものが無難なのかな。

絵本カフェなんていうのは、まったりと時間を過ごすにはよさそうです。
普通では、手に入りにくい、外国の物なんかを置けば、オシャレ度もアップとか。
男は、入りにくそうですが・・・。

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8月 28, 2004

丁稚でスパイ「あそびにいくヨ!(4)」

世界各地を跳びまわるアクションノベルといった展開です。
「あそびにいくヨ!(4)やめてとめてのうちゅうせん」著:神野オキナ/絵:放電映像(MF文庫J 8月刊)

艦長が主人公のところに訪れている間も、木星軌道上のキャーティアの母艦に対する宇宙のゴミを送りつける嫌がらせが続いています。

友好を求めてやってきた宇宙人と、その世紀のイベントにエキサイトする人々のお祭り騒ぎを描くシリーズの第4巻です。
シビアなところもあるストーリーを、猫耳のほのぼの感がうまく緩和しています。

スピード感のある展開で、いっきに読みました。

反・猫耳宇宙人勢力が大攻勢にでます。
主人公たちは、襲われた宇宙船を救おうと奔走します。

いつもはやや影の薄い主人公が活躍します。
造型師としての能力もいかんなく発揮されます。

2・3巻では、女の子の自尊心に関する扱いがぞんざいで気になっていました。
2巻のきわどい水着のエピソードとかです。
今回は、そういったところもなくて安心しました。

悪乗り自体は大好きです。
モラルにとらわれない恋愛もOKです。
でも、行き過ぎた読者サービス的シーンって、現実に引き戻される気がします。
哀しくなって楽しめなくなります。

丁稚でスパイというと、PCエンジンの「定吉七番(セブン)」を思い出します。
検索してみたら、原作(東郷隆)の電子書籍がありました。

ジェンス、だんだんいい味が出てきてます。
このままでは、粛清されてしまいそうですが・・・。
マットレイの台詞も気になります。

恋のバトルにも一定の進展があります。
恋愛面では、アオイを中心とした展開でした。
真奈美は、このまま戦線離脱なのでしょうか。

イラストと小説の組み合わせが、効果的な本です。
作者の趣味全開のハイテンションで、いい感じです。

リンク集: 神野オキナ 放電映像

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8月 26, 2004

思い出でもドタバタ「吉永さん家のガーゴイル4」

いつもの御色町を離れての感傷旅行(昭和初期のプチ・トリビアもあり)です。
「吉永さん家のガーゴイル4」著:田口仙年堂/絵:日向悠二 (ファミ通文庫 8月刊)

不思議な骨董屋「兎轉舎」に立ち寄った和己は、店主のお姉さんが3日も眠りつづけていることを知らされます。

ハートウォームなご近所ファンタジック・コメディの第4巻です。
気配りの兄と、野生児な妹、そして、生真面目なガーゴイルが主人公のシリーズです。
安定して面白いです。

今回の舞台は、昭和初期の東北(?)の地方都市です。
といっても、吉永家の兄妹には、新鮮な驚きに満ちた旅となります。

妹の双葉は、前巻の出来事を引きずっているのか、ややナーバスです。
雅臣たちの事にも、とても過激で一生懸命です。

夢を追う若者たちの青春恋愛ドラマでもあります。
いつもより、主要人物の年齢が上がったためか、幾分ハードな展開がありました。
愛情に口下手な人々の純粋で不器用な愛情が、波乱を呼びます。

本編とは別に、巻頭口絵におまけのマンガが付いてきてお徳です。
梨々の性格変わってるような・・・いや、元気になったのですね。
いいことです。

作者の文学的な趣味の一端に触れることも出来ました。

10月に出る予定の次の巻は、おバカな話のようで、これも楽しみです。

「兎轉舎」という名前にこめられた、お姉さんの願いがせつなかったです。

リンク集: 田口仙年堂 日向悠二

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8月 24, 2004

のん気な迷子「世界最大のこびと」

明るく楽しく、少しだけ哀しい、小人と人間の兄妹のエブリディマジック。
「世界最大のこびと」著:羽田奈緒子/絵:戸部淑(MF文庫J 8月刊)

近ごろ様子のおかしい妹を心配していた少年は、妹の部屋から話し声が聞こえてくるのに気づきます。

楽しかったです。

小人の女の子のバカっぷり、素晴らしいです。
小人は、こうでなくてはなりません。
食いしん坊なのも、プリティです。

妹、可愛いです。
病弱なのも基本でしょう。
でも、あまり、妹モノという感じは受けませんでした。

主人公の兄としての属性値が低すぎます。
妹を、猫っ可愛がりするでもなく、苛めてみるでもなく、避けているわけでさえもない。
妹に対する関心が、薄すぎます。
普通過ぎです。

ミトクの存在感が薄いために、ザイスの動機が、最後までよく分かりませんでした。

泣けるイベントは、けっこうあるのに、泣きそびれてしまいました。
そういった流れになると、なぜかササッとすませられてしまって、はぐらかされた感じです。

コカート、出番が少ないわりに印象的な鳥です。
里美さんも、いい感じの大人の女性です。

荒削りだけど、好きな味わいのお話でした。

リンク集: 戸部淑

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8月 23, 2004

癒しと希望「君の居た昨日、僕の見る明日1」

明日を見失った少年と、明日をさがす少女のボーイミーツガール・・・たぶん。
「"君の居た昨日、僕の見る明日1"―STARTING BELL―」著:榊一郎/絵:狐印(富士見ファンタジア文庫)

ここでないどこかへ行きたいと願った少年は、木造校舎の幻影に引きこまれます。

優しく傷つきやすい人たちの物語りです。
ふんわりとした世界観でした。
富士見ファンタジア文庫では、珍しい癒し系の話です。

目新しい世界観でみせるというより、キャラクターの魅力中心といった印象です。
どの登場人物もいい感じした。
イラストも人物設定とよく合っています。

ストーリーの流れはゆっくりめです。
シリーズの最初の巻と言うことで、キャラクターと舞台の紹介と言った面も強かったです。
榊一郎の新作と言うことで派手な展開を期待していた人には不満が残るかもしれません。

あとがきに短編連載も視野に入れたと書かれています。
「妖魔夜行シリーズ」などのように短編連作と長編の混ざるような展開になるのでしょうか。
それとも、長編と平行して、短編シリーズが展開されるのでしょうか。

今後、加わってくるだろう新しい仲間にも期待しています。

リンク集: 榊一郎 狐印

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8月 22, 2004

淡い印象「てくてくとぼく」

閉鎖的な社会で生きるマイノリティーの少年のノスタルジック・ファンタジー。
「てくてくとぼく 旅立ちの歌」著:枯野瑛/絵:GOW(富士見ファンタジア文庫)

白い砂海の広がる世界で、水を作り出す塔に寄り添いながら細々と暮らす人々。
機械技術の発展に否定的な、安定しているが停滞している社会。
異邦人の機械技師の少年は、この街に住み始めて3年、それなりの生活を築き上げています。

イラストは、物語りのやわらかな雰囲気にあっています。
ストーリーは、面白くないわけではないのですが、強く印象に残るシーンがあればと思いました。

色々とイベントは起こるので退屈はしないのですが、これといった盛り上がりのない平坦な感じです。
かるい感じでした。

登場人物のほとんどが、ストーリーによってたいした影響を受けていないからでしょう。
物語りの出来事で、人生を揺さぶられ色々迷うのは、リーゼくらいでしょう。
他の人物は、悩んでいるように見えて、ストーリーとは関係なく、既に答えを持っています。

あとがきを読むと続刊が出るようです。
リーゼが答えを出した時点で、この物語りはそれなりに完結している気がするのですが。

ボーイミーツガールとなるのか、主人公と「てくてく」の旅の話となるのかで、次ぎの巻を買うか考えようと思います。

リンク集: 枯野瑛 GOW

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8月 19, 2004

燃えよコスプレ「コスプレ温泉」

女の友情が気持ちの良いサクセス・コメディです。
「コスプレ温泉」著:吉岡平/絵:間宮彩智(ソノラマ文庫 2003年)

とつぜん銀行をリストラされた普通のOL・岬は、「こよりん」によってオタクな世界へと導かれます。

微かにラブコメですが、中心は女同士の義理人情です。
実質、レイヤー誕生編と温泉編の二つに分かれています。

前半の舞台は、東京近辺です。
友情と仁義、そして闘争が描かれています。

信念を持つ男前な女性たち。
かっこいいです。

コスプレといえば、手作りだと思っていたのですが、すでに産業化されつつあるのですね。
東京近辺には、すでに強固なコミュニティがあるのかな。

コスプレをする人とカメラ小僧との微妙な関係が描かれています。
カメラ小僧に対してかなりきついですが、あとがきからさっするに、作者本人がカメラ小僧なのでしょうか。

後半、登場人物は引き継がれますが、舞台は大きく変わり新しい物語りが始まります。
近頃、ニセ温泉のニュースがよくきこえてきます。
高度成長期と現在とでは、客が温泉に対して求めるものは変化しています。
経営側がそれに対応せずに利益をあげようとすることが問題なのでしょう。
いろいろと考えさせられます。

友を集め、目標に向かって、おのおの自分に出来ることを精いっぱいにやる。
主人公たちの姿が、すがすがしいです。

リンク集: 間宮彩智

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8月 18, 2004

ミシンで語れ「★Rude Girl」

甘ったるい文章にハードなストーリーのラブコメディです。
「★Rude Girl」著:小沼まり子/絵:唯月一(コバルト文庫 2001年)

失恋のショックから、一人暮しのアパートの部屋に引きこもってしまった予備校生の少女。
衝動的に買いこんだミシンに、のめり込んでいきます。

とことん落ち込むことで、本当の好きを見つける彼女が、すこし眩しいです。
何事も、ほどほどで立ち止ってしまう人生なので・・・。

気弱なくせに、追い詰められると暴走する依存症気味の主人公。
服を作ることで、自分を取り巻く世界との関係を取り戻していきます。
読み終わって、幸せな気持ちになります。

ファッションデザイナーの卵たちの物語でもあります。
原宿なんて行ったこともないので、インディーズブランドの話は、架空のものかと思っていたのですが、ネットで検索してみると結構、さかんな活動があるみたいですね。

そこそこではただの依存症でも、とことん極めればプロになる。
羨ましく思えます。

リンク集: 唯月一

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8月 16, 2004

夢を持ちつづけること「星虫」

リアルタイム感のある視覚的なSFファンタジー。
「星虫」著:岩本隆雄/絵:鈴木雅久(ソノラマ文庫 2000年)

夢を追いかけることに疲れはじめた少女は、夜の孤独なトレーニングの途中に立ち寄る公園で、星空から降ってくる不思議な光りと出会います。

突然、世界に現われた星虫という未知の存在が引き起こす波紋を、主人公の視点から追いかけてゆきます。
描かれているのは主人公の周辺で起きる一週間の出来事ながら、世界規模の騒動を感じさせます。
情報化の進んだ現代ならではのリアル感でしょう。

この本は、1990年に新潮社から出版されたものに加筆修正されたものです。
ここに描かれている地球と人間の関係は、いまなお新鮮です。

微妙にラブコメでもあります。

このタイプのお話では、無視されがちな家族がきちんと描かれています。
兄が、いい味出してます。

大胆な視野の変化が楽しいです。
美しいクライマックスが待ってます。

夢を持つこと、一生懸命がんばることが素直に素敵に思える物語りです。


ペルセウス座流星群の季節と言うことで、「夏休みは、銀河」が無事出版されることを星に願い、再読しました。

追記:2004年08月20日 22時31分35秒
「ソノラマ文庫News Online」をのぞいてみたところ、8月の新刊に、「夏休みは、銀河」が載っていません。
またもや延期でしょうか。
まさか、「まみはま鼬(いたち)騒動」の二の舞・・・。

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8月 14, 2004

不思議な町でホームステイ「霧のむこうのふしぎな町」

日本の昔話と西洋の童話が溶け合った独特の世界観のお話です。
「霧のむこうのふしぎな町」著:柏葉幸子/絵:竹川功三郎(青い鳥文庫 1980年)

ピエロの柄の傘と赤いカバンをかかえて、ほこりっぽい無人駅に降り立った少女は、いくら待っても誰も迎えにこなくて途方にくれます。

霧の谷で、リナが体験する、不思議な夏休みの物語りです。
親元を離れ、一人、知らない場所ですごすことの押し潰されそうな不安。
風変わりな住人たちとの優しいふれあい。
しだいに、リナは、自分の居場所と自信を得ていきます。

普段の人間関係から解き放たれ、新しい自分を発見するという一人旅の喜びが存分に描かれています。

夢落ちなどということはないので安心して読めます。
文字が大きく、ページ数も195ページほどと読みやすい長さですが、内容の濃い物語りです。

わたしが、最初に読んだのは、ずいぶんと昔のことですが、いまだに夏になると読み返したくなります。

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8月 12, 2004

男の生きザマ「ロボット妹」

脳みそかゆくなる、素晴らしく頭悪い小説です。
「ロボット妹 改め 人類皆兄妹! ~目醒めよ愛の妹力~」著:佐藤ケイ/絵:さがのあおい(電撃文庫)

今や絶滅種である熱血バンカラ高校生の岩鉄巌男が、地球を守るため、真の男を極めるために奮闘します。

いわゆる「妹物」のギャグパロディです。
イラストはかわいいですが「萌え」を期待する人は買わないほうが吉だと思います。
大ダメージをこうむる危険があります。

作者、最初からとばしています。
言い訳しない直球勝負なところも好感が持てます。

こういったバカ小説が嫌いでなければ、読んでみて損はないでしょう。
笑えます。そして、泣けます(いろんな意味で)。

リンク集: さがのあおい

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8月 11, 2004

まったりしている「食卓にビールを」

女子高生で、主婦で、作家である主人公の「SF」な日常を描いた、短編集です。
「食卓にビールを」著:小林めぐみ/絵:剣康之(富士見ミステリー文庫)

ほぼ、家庭生活編と学校生活編が交互に描かれています。
というより、学校編が書き下ろしで挿入されています。

一発ネタのアイデア勝負のお話なので、再読は難しいでしょう。
各話は、社会風刺性の低い星新一作品と言った感じで、淡々とすすむストーリーも人を選ぶと思います。
面白くないわけではないので、まったりとした時間を過ごすのには向いているかもしれません。

のめりこみにくいお話でした。
結婚していることや、作家であるという設定は、インパクトを狙ったのだろうけど、物語りに絡んではいないためまったくの無意味となっています。
むしろ邪魔だったのでは?とさえ思います。

「退屈」こそ主人公の原動力でしょうが、その「退屈」の説得力が失われています。
学校編を加えるのであれば、同居人は、旦那ではなく、兄とかにしておいたほうが良かったと思います。
もしくは、おもいきって女子高生という設定を削り、主婦という設定をもっと前面に出すとかしてあれば、もっと物語りに入り込みやすかったと思います。

リンク集: 小林めぐみ 剣康之

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8月 08, 2004

臆病な愛「七つの人形の恋物語」

「七つの人形の恋物語」著:ポール・ギャリコ/訳:矢川澄子(角川文庫 1978)
二編の愛の物語りが収録されています。

「白雁(スノーグース) (1941年)」
第二次世界大戦の闇が迫りくる暗い時代を背景に、エセックス(英国)の河口の沼沢地を舞台として、身体にハンディを抱えた孤独な男と、幼い少女と、渡り鳥のたちの交流を描いた短編です。
詩的で絵画的な美しく哀しい物語りです。

「七つの人形の恋物語(1954年)」
ムーシュ(蝿)というあだなの少女の物語りです。

女優にあこがれて田舎からパリに出てきたものの、転落の末に、女の魅力がないとストリップ小屋からさえ放り出された少女。
自殺しようとセーヌ川へと向かう途中、闇の中から不思議な人形に呼び止められます。

戦争帰りの粗暴で冷酷な男と、幻想と現実のあやうい境界に立っている少女とのコメディ・タッチのメロドラマで、微妙にサイコな物語りです。

たった3人の旅芸人一座のサクセス・ストーリーでもあります。
おんぼろシトロエンでパリからニースへと旅をします。
全体にただようボヘミアン的な明るさと、やさしい結末で、ホノボノします。

楽しい昼と、残忍な夜とが交錯しなが物語りは進んでいきます。
暴力男と不幸体質の女のグズグズの関係といってしまえば、それまでですが、泣ける物語りです。

この本の難点を挙げれば、「表紙の絵がエロい」という点でしょうか。
金子國義によるオシャレな絵ではあるのですが・・・。
当時まだ純情だったわたしは、ポール・ギャリコの代表作の一つである「スノーグース」が併録されていなければ、購入しなかったでしょう。
収録されている二編ともエッチな話ではないのになんでこの表紙なのか謎です。
衝撃的なシーンもあるので、子供除けだったのでしょうか。

追記 2004年08月09日 18時31分31秒
今、amazon.co.jpで、現在、購入可能と思われる王国社版の表紙を見て、ちょっとした衝撃を受けました。
なんでしょうこれ・・・。
こんな表紙の本、絶対買いません、だって呪われそうじゃないですか。
この物語りは、ちょっとだけサイコ風味ですが、ホラーじゃありません。
もっと、美しいお話なのです。
これに比べれば、たとえ物語との関連が見えないとしても角川文庫版の表紙のほうが1万倍はましです。
角川文庫での復刊を望みます。

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8月 04, 2004

星の世界に続く道「私と月につきあって」

近未来宇宙冒険フィクション「ロケットガール」シリーズの3巻目です。
「私と月につきあって」著:野尻抱介/絵:むっちりむうにい(富士見ファンタジア文庫 1999年)

ゆかりたちソロモン宇宙協会は、日仏共同ミッションで月を目指します。
といっても、弱小団体の哀しさ、ソロモン宇宙協会は、下請け仕事に甘んじています。
ゆかりたちの仕事は、衛星軌道上での有人月飛行モジュール発進のお手伝いの予定なのです。
それでも、ただではすまないのがロケットガールです。

前作で、軽く触れられていたフランスの宇宙飛行士が登場します。
一挙に五人のリセエンヌが加わって、美少女度は、三倍弱となりますが、オヤジ度は低下しています。

今回は、前二作と多少、色合いが変わり探検記といった感じになっています。
特に後半は、二転三転する展開で、ハラハラドキドキの連続です。

作者によると、一話完結なのでどの本から読み始めてもよいということです。

現在、このシリーズで発表されているのは、三作だけです。
他には、雑誌に発表された短編が、三本ほどあるようです。
現在、同じ作者の「クレギオン・シリーズ(富士見ファンタジア文庫)」が、ハヤカワ文庫から復刊されていますので、この短編も文庫化してくれないかなあと思っています。

作者のホームページによると、「ロケットガール」アニメ企画のパイロットフィルムが作られていたようです。
恋愛要素が皆無のシリーズなので、民放などでは難しいでしょうが、NHKあたりがやってくれないかなあと思っています。
そうすれば、新作が読めるかもとか夢見てたりして・・・。

リンク集: 野尻抱介

このブログの関連記事:
ロケットガール
天使は結果オーライ

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8月 02, 2004

やっぱり帆船「ツバメ号とアマゾン号」

“口笛を吹いて、風をよばなくちゃ” というわけで。
「ツバメ号とアマゾン号(上・下)」著:アーサー・ランサム/訳:岩田欣三・神宮輝夫(岩波少年文庫 1958)

舞台はイギリスで、夏休みに丘陵地帯の湖(湖水地方)を訪れた子供たちの体験が、自然に描かれています。
アーサー・ランサム自身による挿絵もいい感じです。
原作は、1930年に発表されたようですが、いまだに新鮮さを失っていません。
12冊のシリーズの最初の巻です。
(ハードカバーだと上・下ではなく一つの巻です)

焚き火で淹れるお茶
湖の小島
茶色い帆の小さな帆船
屋形船に住む謎の男
子供たちだけの冒険
そして、もう一つの船
といったお話です。

初めて読んだ小学生の頃は、ティティたちの活躍にドキドキしましたが、大人になった今ではホノボノします。

このお話には、たくさんの食事のシーンが登場します。
ジンジャービア、パーキンズ、バス菓子パン、肉のパイ、レモネード、チョコレートビスケット・・・。
知っているものも知らないものも、物語に出てくる食べ物ってどうしてこんなに魅力的なんでしょう。
そのなかでも、わたしの心をとらえたのが「ペミカン」です。
「どぎゃんとだろか? ペミカン、食べたかぁ」とむしょうに思ったものです。
人に聞いたり調べたりしても分からない謎の食べ物であったことも、理由の一つでしょう。

もっとも、色々と知恵のついた今では、探検家などが携帯した保存食であって、かなずしも美味しいものではなかったらしいとか、漠然と知ってはいるのですが・・・。
それでも、「ペミカン」は、わたしにとって、幻想の食べ物です。

それでは、“ドロール(おやすみなさい)”

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7月 30, 2004

那須田こそ影の主役「天使は結果オーライ」

プロジェクトX的、架空宇宙開発コメディ「ロケットガール」シリーズの2巻目です。
「天使は結果オーライ」著:野尻抱介/絵:むっちりむうにい(富士見ファンタジア文庫 1996年)

今回も、美少女がロケットに乗って頑張ります。
いよいよ、衛星軌道上が主な舞台となります。
宇宙好きなら、一度は、行ってみたい場所ですね。

また今回から、理系の文学少女、三浦茜が加わります。
たくさんの美少女キャラが登場するこのシリーズですが、恋愛要素はほぼ皆無です。
(努力、友情、勝利と言った感じです。)

かわりに、いかしたオヤジが、たくさん登場します。
今回、特にオヤジ率は高めになっています。
というか、主役の三人娘と女医のさつきを除けば、ほとんどオヤジです。
オヤジ好きな方にも、お勧めかも・・・見かけはアレですが。

前作から、間があいたためか、この巻からイラストが「むっちりむうにい」さんに変わっています。
(年表記では1年違いですが、本書は12月刊なので、前作とは2年弱の間があります)
後書きには、独立した作品として仕切りなおしたと書かれています。
本書だけでも十分、楽しめると思いますが、前作「ロケットガール」を読んでおいたほうがより楽しめるでしょう。

このシリーズは「プラネテス」「ふたつのスピカ」など、最近微妙に流行っている気がしないでもない近未来宇宙開発モノの先駆けとなった作品です・・・たぶん。

リンク集: 野尻抱介

関連項目:
夏はやっぱりロケット「ロケットガール」

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7月 28, 2004

どこまで増える?「新・はっぴぃセブン(7)」

多彩なタイプの女の子キャラクターを楽しむ「新・はっぴぃセブン」の 7巻です。
「新・はっぴぃセブン ~vol.7 リセットできない夏だから~」著:川崎ヒロユキ/絵:COM(スーパーダッシュ文庫 04/07)

今回は、南の島からドジッ娘の襲来です。
安定してきていた主人公たちの関係に波瀾が起きます。

このシリーズは、ありがちな男の子向けのラブコメです。
登場する女の子は、みんな主人公のことが好きというやつです。
女の子戦隊モノでもあります。
あんまり怖くはない魔物と闘います。
かわいいイラストと、後を引かない軽いノリが売りです。
シリーズの長期化とともに女の子が増えすぎて、モーニング娘のごとく誰が誰だか把握が難しくなってきています。

こう書くとダメそうに聞こえますが、個人的にはこのシリーズを楽しんでいます。
いや世間的にはダメダメかもしれませんが・・・。

このての小説の評価は、ライトノベルの(オタク的にも?)底辺に位置していると思われますが、いつも一つくらいは、このての話を押さえていないとなんだか物足りないのです。
わたしの人生には必要です。
同時に、いくつもはいらないのですが・・・。

以前は、「セイバーマリオネット」などの、あかほりさとる作品でしたが、今は、もっぱらこれです。
最近、買っている「あそびにいくヨ!(神野オキナ)」もこのての系統ですね。

・・・一つじゃないですね、読んでるの。

「新」とついているところからも分かるように、現在2期目になります。
前期が、全6(7?)巻だったので、今期ももうそろそろ終わるのかな思っていたのですが、ここに来ての新キャラ投入ということは、まだまだ続くと言うことでしょうか?
それとも、結末への準備なのかな?

いや、いつまで続いたとしても、文句はないのですが。

リンク集: COM

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7月 25, 2004

いきなり「あとがき」? R.O.D 第十巻

読了後の、正直な感想は、「エピローグはなかったことに出来ないものだろうか?」でした。
「R.O.D 第十巻」著:倉田英之/絵:羽音たらく(スーパーダッシュ文庫)
文学元少女の眼鏡のエージェントが大活躍するシリーズの十巻目です。

本編は大詰めを迎えているわけですが。
ここに来て、また通巻の外伝?学園物?
「創竜伝(田中芳樹)」を思い出します。
微妙に暗雲ただよってます。

今回は、のっけから変です。
作者は、「あとがき」ではないと主張している「プロローグ」ですが、「あとがき」以外のなにものでもないと思います。
なんかのパロディー? 楽屋落ち?
作者は、何か新しい文体でも模索しているのでしょうか。
なんかの文学賞でも狙っているとか?
いやむしろ古いのかな、大昔の少年少女小説とか。

作者はアメリカで悪い薬にでも手を出したのか、「ローレン」と何か関係が?と最初は戸惑いが大きかった文体ですが、それでも「菫川ねねね」が登場するあたりになると慣れてきました。
そして、第二章に入るころには,普通に楽しめるようになっていました。
慣れてしまえば、結構面白く読めました。
ただし、本当の「あとがき」の後のエピローグが全てをだいなしにしてしまうまではです。

目次にだって載っていないし、読まなくて良いのかもしれません、「エピローグ」。
読まないほうが幸せです、たぶん。
少なくともわたしは、読みたくありませんでした。

何かメディアミックス的な事情があるのでしょうか、作者的には筋が通っているのでしょうか。
アニメのシリーズは、どれも観ていないわたしが悪いのか?
楽しみにしているシリーズなので、作者が何かのダークサイドに堕ちたのではないことを祈ります。

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7月 21, 2004

ファンのための一冊「まかでみ・らでぃかる(1)」

現代に隠れ住む魔術師たちの物語り「まじしゃんず・あかでみぃ」の外伝集です。
「まかでみ・らでぃかる1 誘われちゃったんですけど。」著:榊一郎/絵:BLADE(ファミ通文庫 04/07)

「まじしゃんず・あかでみぃ」は、シリーズ開始時期に平行して書かれていた「スクラップド・プリンセス(富士見ファンタジア文庫)」の後半がハードな展開となった反動なのか、萌えがテーマのようです。
萌え要素満載でも、榊一郎さんらしいパワフルで少しホロリとさせる物語りです。

全て3巻以前のお話ということでファルチェは登場しません。
各話にBLADEさんの4コマ漫画がついてます。

最初の話は、本編以前の羽瀬川拓人のお話。短編らしい短編です。
二話は、榮太郎、大暴走の一編。
三話は、乙女心が悲劇を呼ぶ一編。タナロットの意外な弱点も明らかになります。

(1)ということは本編と平行して続いていくのかな?
本編とは別に、短編を展開するシリーズ構成は、神坂一さんの「スレーヤーズ」あたりからでしょうか。
でも、この本から入るのはどうなんでしょう。
最初の話を除き、本編の人間関係を理解していることを前提にしているようなので、少なくとも本編の第1巻は読んでからがいいと思います。

榊一郎さんのサイト:榊一郎公式サイト「うごうご榊くん」
BLADEさんのサイト:ZEALOTIC BLADE2
・トップページに緊急の救助要請が載っています。
・本当のトップページへは、一番下のバナーから行けます。


こっからは、余談ですので、本をまだ読んでない人は、読まないほうがいいかも、ネタばれというわけではないのですが。

本編が好きなら楽しめると思うので外伝集としてはOKですが、純粋に短編集としてみたら微妙な感じです。
アイデアは面白いんだけど、最初の話以外は、短編としての切れがないというか。
榊さんは、短編より長編向きなんだと思いました。
というわけで、本編の続き希望です。

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7月 20, 2004

夏だ温泉だ「あるある!夢境学園(5)」

普通からはみ出して行き場を失った者たちの吹き溜まり夢境学園が舞台のシリーズの5巻目です。
「あるある!夢境学園(5) 某大国からの刺客(上)」著:新木伸/絵:かねこしんや(ファミ通文庫 04/07)

このシリーズは、あまりにありがちで恥ずかしすぎるため、作家なら避けて通るようなベタベタな設定をあえてかき集めたという、挑戦的なのか軽はずみなのか判らない物語りです。
様々なジャンルのお約束を無理やりぶちこんで一つにまとめたために、ありがちとは言えないストーリーとなっています。
あえて分類するならラブコメとなるのでしょうか。
おふざけ満載のコメディでありながら、どこか優しいお話です。

今回は、某大国から暗殺者が来日します(ありがちです)。
前半は、前回までの経緯によって新たに仲間が加わった学園の日常が描かれ、いよいよ夏休みに突入した後半、レギュラーの面々は、部の合宿で海へと向かいます(ありがちです)。

前回がハードだったためか、今回は軽めの話で、とくに後半は、夏の暑さに、煩悩全開、脳みそ融けています。

今回登場の奈津さんはレギュラー化するのか、今回登場しなかった常磐十太夫先生は次巻には登場するのか、気になります。

リンク集: 新木伸かねこしんや

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7月 17, 2004

夏はやっぱりロケット「ロケットガール」

「ロケットガール」著:野尻抱介/絵:山内則康(富士見ファンタジア文庫 1995年)

文明に取り残された南海の島・アクシオ島に、ロケット・オタク達の楽園があった。
しかし、その楽園にも崩壊の時が訪れようとしている。
夏休みを利用して、島を訪れた女子高生・森田ゆかりは、ある目的を胸に秘めていた。
彼女は、簡単なバイトという言葉に誘われて、野望にとり憑かれた所長・那須田の策謀へと巻き込まれていく。
タリホ族の呪い。
妖艶な女医。
怪しい化学者。
謎の美少女との出会い。
運命の再会。
爆音と閃光。
そして、精霊。
しっかり者でちゃっかり者の女子高生・ゆかりは、耐爆扉の向こうに何を見るのか。
彼女は、果たして無事、生還できるのか。

と煽って書いてみましたが、この作品は、架空の宇宙開発をめぐる人間ドラマを描いたもので、科学的な設定に裏打ちされたどこか現実味のある物語りです。
プロジャクトXとかが好きな人にもお勧めです。
といっても作風は、アニメ的なライトノベルで、キャラクターやドタバタを気楽に楽しめる一冊です。

前半は、南国らしい穏やか雰囲気のなか進んでいきますが、展開は早いので充実しています。
そして後半は、怒涛のクライマックスへと突入していきます。

南の島のけだるい空気とロケットの爽快感を味わえる夏向きの一冊です。

最近、元気のない日本のロケット開発ですが、この本を久しぶりに再読してみて、国産ロケットの開発をあらためて応援したくなりました。
一度でも打ち上げに失敗すると、マスコミは脊髄反射的に「日本の宇宙開発、大きく後退」とか「信頼性は失われた」とか書きたてますが、一度や二度の失敗がなんです。チャレンジに失敗はつきものです。失敗しないということはチャレンジもしていないということです。
危険なばかりで見返りの少ない増殖炉に何兆円も無駄金使うくらいなら、バンバン、ロケットを打ち上げさせてやりゃいいんです。数をこなさないから日本のロケットは割高だなんて言われちゃうんです。

リンク集: 野尻抱介

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7月 10, 2004

キーリ(5) は、口絵のトップから読もう

荒廃した埃っぽいスチームパンク的な世界を舞台にした、せつなく優しい物語の5巻目です。
「キーリ(5) はじまりの白日の庭(上)」著:壁井ユカコ/絵:田上俊介(電撃文庫 04/07)

このシリーズは、短編連作的なつくりなので少しずつ読むのにも適していると思います。

口絵に各章のちょっとした紹介があるのは、いつもどおりですが、今回は、1ページ目に第一章の冒頭があったのを読み終わるまで気づきませんでした。

主人公の少女と青年の二人がくっついたり離れたりしながら旅をする話なんですが、あんまりラブストーリーといった感じがしないのはなぜでしょう。
どこか、レイ・ブラッドベリの「火星年代記」を思わせる味わいがあります。

今回は、お久しぶりの彼が再登場。シリーズの転換点なのでしょうか?
上下巻ということで、かなり後を引くところで終わっていますが、下巻は、9月には出るようなので我慢です。

リンク集: 壁井ユカコ

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7月 06, 2004

「楽園の魔女たち」完結

「楽園の魔女たち 楽園の食卓(後編)」著:樹川さとみ/絵:むっちりむうにい(コバルト文庫 04/07)
長らく楽しませてもらったシリーズもこれで完結です。
前半はハードで暗めの展開が続きますが、後半はいつもの軽快なノリが戻ってくるので安心です。
引きずってきた3人の問題だけでなくシリーズ中に取り残されていたこまごまとした問題にも決着がつけられています。
ハッピーエンドって、素晴らしい。

シリーズ全体に対する雑感なども書いてみます。
「寄宿舎物」「足を洗ったネズミ小僧」「海洋冒険物」「スパイ大作戦」など、いわゆる剣と魔法の世界観からは遠く離れたジャンルの設定を取り込んだと思われる話が多くあって、飽きさせない展開と独特の雰囲気をつくっていた気がします。
作者さんは、いろんなパターンに挑戦されていたんでしょうか。
それとも、「魔法は廃れ過去の物となりつつあり、火薬を使う銃器が台頭してきている」という設定のせいでそう感じただけかな。

シリーズ当初、厄介な問題を抱え居場所を失っていた4人ですが、終わってみればあるべき場所に落ち着いていて気持ちの良い終わり方です。
とくに、マリアの問題は、シリーズが終わってもあいまいなままだろうと思っていたので、数巻前にこの問題に決着がつけられたときには作者の勇気と登場人物に対する愛を感じました。
どの話でも、登場人物を丁寧に扱ってあって信頼の出来る作家さんの一人です。

贅沢を言えば、リーザレインがメインの話も読んでみたかった気がします。
外伝とかないのかな?
あと、ちょっと気になったのは、サラのお兄ちゃん達は、あの結末に納得しているのかという点です。

最後に、せんえつながら個人的ベスト5なんぞを。
「七日間だけの恋人」
 地味だと思っていたファリスの魅力に気付かされました。
「この夜が明けるまで」
 メリーポピンズ的スリラー。
「課外授業のその後で」
 寄宿舎・男子校・女教師なお話。
「大泥棒になる方法」
 旅先で出会った父娘との人情ばなし。支部長さんはひたすら不幸です。
「月と太陽のパラソル」
 楽しい海賊団。いろんな意味でマリア最強伝説。

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7月 03, 2004

ティータイムに「めぐる聖夜と愛の家」

思いがけず莫大な遺産を受け継ぎ、お屋敷の女主人となった少女の「細腕繁盛記」的物語3作目です。
「なかないでストレイシープ めぐる聖夜と愛の家」著:竹岡葉月/絵:菊池久美子(コバルト文庫 04/07)

シリーズの舞台が、第一次大戦後のイギリスの荘園ということで、紅茶を飲みながら読んでみました。
といっても、ティーパックというのが悲しいところです。

ちょっとミステリー風味のこのシリーズ、今回は、いつもの豪壮なお屋敷をはなれ、小さな村にある荒れ果てた館が舞台です。
クリスマスの季節らしく家族と愛のお話です・・・って、今は、夏ですね。

今回で、シリーズは完結のようで、静かなハッピーエンドといった感じです。

竹岡葉月さんのサイト:ネジカプラント
 ・引越ししたばかりらしくて、まだとくにコンテンツはないようです。
 ・お引越しのイラストが素敵なので:ネジカプラント跡地
イラストの菊池久美子さんのホームページ":*菊日和*

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6月 25, 2004

「さよなら、ぺとぺとさん」は、「ぺとぺとさん」を読んでから

少し哀しくて優しい物語り「ぺとぺとさん」の続編です。、
「さよなら、ぺとぺとさん」著:木村航/絵:YUG(ファミ通文庫 04/06)
田舎の夏休みといったノスタルジックな雰囲気の舞台で、少年と少女(ぺとぺとさん)の恋愛の結末が描かれます。

吸血鬼の話は、性に悩む純情な青年の物語だという説を聞いたことがあるけど、ぺとぺとさんは、性の目覚めに戸惑う少女の物語だと感じた。
いや、主人公は、中学生の男の子なんですけどね。

吸血鬼=純情青年説というのは、思春期にアリがちな「なんさま、エッチしたかとー」という煩悩爆発な気持ちと、「女の子を汚して、支配しようなんてなんて、なんて酷かことば考えとっとか」という若者らしい正義感の狭間で苦悩する青年を、「エッチ -> 吸血」に置き換えて表現したものが、吸血鬼の物語だという読み方で、「ぺとぺとさん」は、それの反対側にある女の子の葛藤を「ぺとる」という能力でもって表現していると感じた。

前作ほどのエネルギーを感じれなかったけど、前作同様のやさしい雰囲気は好感触なので安心して読めると思う。

けっこう真正面から思春期を描いているのに、女の子の裸率が高いことや、オタクネタで、読者層を狭めるのではないかと思うともったいないきがする。

前作を読んでいることを前提に書かれているので、読んでみようという人は、まず前作を読んでからが良いと思うけど、最近の出版事情では、今年の2月刊とはいえ手に入れにくいのではと、ちょっと心配。

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