哀しい愛情「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」
女の子ふたりの、一月だけの幸薄く幼い友情の物語りです。
「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない A Lollypop or A Bullet」著:桜庭一樹/絵:むー(富士見ミステリー文庫 11月刊)
山田なぎさ、中学2年生、貧乏に立ち向かう決意を固めた13歳。
9月の始めに転校してきた変な美少女・海野藻屑につきまとわれることに・・・。
哀しくて、寂しい話です。
悲しいけどやっぱり生きていくという話です。
心がシーンとするようなザワザワするような感じです。
最初はなんだコイツと思った貴族な兄の存在が、途中から救いでした。
イラストから受ける印象のような、ふわふわ感は少なくて、生々しいです。
でも、この柔らかいイラストでよかったです。
いろいろと緩和してくれます。
ただ自己憐憫にひたるだけではない、いい物語りなんですけど、なにかと報われない話なので。
主人公は、クールなリアリストを気取っていても、ぶっきらぼうに世話好きな少女です。
もう一人は、可愛い系なのにペットボトルの水をグビグビ飲んじゃう不思議ちゃんです。
二人は与えられた環境で、不器用に懸命に生きています。
結末がああなので、単純に可愛いと言えないのがつらいです。
映画館に行く話とか、楽しい感じのエピソードもあり、ほのぼの感も皆無ではありません。
ですが、冒頭、いきなり猟奇な記事で始まります。
ハッピーエンドになりようもありません。
1ページ目で、覚悟を固めて読んでということでしょう。
派手さを抑えたサイコサスペンスです。
主人公の一人称で語られます。
ラブコメっぽいエピソードもあるんですが、コメディとはいえません。
落ち込むテーマですが、誠実に描かれているので素直に読めました。
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