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11月 30, 2004

正義の会計士「女子大生会計士の事件簿 DX.2」

会計の視点で出来事を語る、珍しいタイプのショートショートの2巻目です。
「女子大生会計士の事件簿DX.2 騒がしい探偵や怪盗たち」著:山田真哉/絵:久織ちまき(角川文庫 11月刊)

教えて君である新米会計士補の一人称で語られるショートショート、7編です。
下僕状態の会計士補・一麻が、年下で先輩の女子大生会計士・萌実に甘えます。

内容的には、経済物の初心者向けです。
ミステリー風味で、コメディ風味ですが、どちも薄味です。
挿絵はありません。
お金の話が好きなので、それなりに楽しめました。

前回は、企業の不正を暴くといった話が中心でした。
今回は、会計的なトラブルに困っている人(経営者含む)を助ける話が多くなっています。
助ける対象が明確なので、親しみやすかったです。

主人公の柿本一麻、嬉しそうに萌実のパシリをしてます。
藤原萌実、休暇旅行も仕事仲間と一緒で、あいかわらずのナンチャッテ女子大生振りです。

シーン入り口での情景描写が、はしょり気味です。
雰囲気がつかみにくく、情感は平坦な感じです。
主人公の一人称なのに、妙に客観的な書き方がされています。
物語りのテンションは低めです。

前回同様、新書版に比べ、2編が追加されて、巻末資料は少なくなっています。
追加されているのは、資金管理の話と、棚卸立会・売上原価の話です。

後を引かない軽いショートショートなので、空き時間などに読むにはちょうど良い感じです。

リンク集: 山田真哉久織ちまき

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11月 28, 2004

文化祭のスケッチ?「あそびにいくヨ! 5」

猫耳宇宙人が参加する文化祭の大騒ぎが描かれた「中休み」な巻です。
「あそびにいくヨ!(5)仔猫たちのがくえんさい」著:神野オキナ/絵:放電映像(MF文庫J 11月刊)

猫耳宇宙人・エリスも生徒として通う高校は、文化祭の準備に大忙しです。
告知パレードでのエリスの言葉が、ニュースで流れて大騒ぎに。

マッタリしたのも嫌いではありません。
キャラクター中心なら、ご都合主義もありだと思っています。
でもこれは、マッタリ以前にスカスカです。
ストーリーもキャラクターも描かれていない背景画だけが延々と続く感じです。
文化祭の楽しい雰囲気は描かれているので、読めなくはないのですが、散漫過ぎて印象が薄いです。
他の話から引っ張ってきたらしいキャラクターも、どうかと思います。

同様にインターバルな話だった3巻には、アントニア&メイドという中心がありました。
今回は、主役が描かれるべき場所が、空白のままポッカリあいています。
エピソードらしきものは、最初の大使館巡りと、プチ誘拐事件くらいでしょうか。
あとは、取り止めもなくシーンが思いつくままにピックアップされている感じです。
外交官入門、真奈美のゆれる心、上映会といったストリートになりそうな芽はあります。
そのへんを膨らませてあれば、もっと楽しかった気がします。

たいして面白くもない紐水着の話を引っ張るのは止めて欲しいです。
ビデオに撮って喜んでいる騎央には、ガッカリです。
(無責任にあおっている周りの者たちも嫌な感じです)
自分の感情だけではしゃいでいて、相手への気遣いが感じられません。
既に5巻にもなってこれでは、鈍いというより、無関心なのではと感じます。
ヒロインたちにクラスメイトか近所の人程度の感情しか抱いていないのではないでしょうか。

あいかわらずイラストは、素晴らしいです。
文章が下手というわけではないので、ドタバタと賑やかな情景は楽しめます。
エリスとアオイが、落ち込んだ主人公を慰める場面など、いいシーンも多々あります。
もう少し、時間をかけて欲しかったです。

リンク集: 神野オキナ放電映像

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11月 27, 2004

雪山、湯煙、神隠し「まじしゃんず・あかでみい 5」

冬休み、スキー旅行と、いつものメンバーで初めての遠出です。
「まじしゃんず・あかでみいⅤ 雪原沸騰!?」著:榊一郎/絵:BLADE(ファミ通文庫 11月刊)

初詣に出かけた拓人たち。
初売りの福引で高級スキーリゾートのプレオープン招待券が当たります。
でもそこは、雪娘によって人が消える噂のある場所で・・・。

二重人格の眼鏡っ子・鈴穂が、今回の中心です。
ドタバタしみじみハッピーエンドといった感じでした。
敵組織の登場で、バトルも派手めです。

キャラクターがコミカルにデフォルメされたドタバタ・ラブコメディのシリーズです。
現代社会の影に密かに存在する魔法使いと人ならざる者たちが、主人公です。
いわゆる男の子向けのハーレム物で、お約束が満載です。

戦後の混乱期、今では廃村となった孤立した村で起きた哀しい事件。
決着をつけるため、内弁慶な鈴穂が、一歩を踏み出します。

敵組織となる秘密結社〈連盟〉が登場します。
新しい女の子キャラクターも登場です。
プチネウスたちも、増殖してお仕事に頑張ってます。

先輩、あいかわらず無駄に強力で、趣味全開です。
バカっぽいのに頼れる所も、いい感じです。
でも、カメラ設置は、やりすぎでしょう。
拓人は、鈴穂たちを傷つける行為を笑って見逃すキャラじゃないでしょうし。

お約束を詰め込んで、萌えを追求するシリーズも、中盤のようです。
今後、ほのぼのお気楽な話は、「まかでみ・らでぃかる」へ。
本編は、シリアス寄りになっていくようです。
「スレイヤーズ」のようにまず本編を終了させて、短編集でわいわいやるのでしょうか。

双葉、結局どうしたのでしょう。
いや、心配なのは弟の葉月のほうでしょうか。

リンク集: 榊一郎BLADE

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11月 25, 2004

忍んでない忍者「乱破GOGOGO!」

ハイテンション・ギャグ殺伐としたドタバタ忍者ラブコメディです。
「乱破GOGOGO! 僕と彼女と彼女の忍法帖」著:八街歩/絵:てくてく(富士見ファンタジア文庫 11月刊)

幼馴染と半同居状態の主人公・六尽総太郎。
彼を、日本の支配者にするという忍者の少女が押しかけてきます。

ありがちな設定やストーリーですが、気楽に笑って消費できます。
オチもついて、スッキリ終わっています。
甘さひかえめなので、ラブコメ感もサラっとしてます。
過激なドツキ漫才系のコメディです。

忍者物を期待すると拍子抜けかもしれません。
普段と戦闘時の二面性とかがありませし、掟に縛られる悲哀とかの要素も薄いです。
アクションゲームの忍者キャラな感じです。

主人公の総太郎、いい感じに、軽薄なダメっぷりです。
女の子のためなら命懸けな、頭の悪さもステキです。

月詠静刃、おおぼけ美少女忍者、くの一というよりボディガード、ぜんぜん忍んでません。
任務という建前に隠れて、本心を明かさない意地っ張りで、スタイル良くても色気に乏しいです。

春日川夢姫、常識人で、少し乱暴だけど普通に可愛い幼馴染です。
世話好きで、好きと言えない意地っ張り、やっぱり色気はありません。

ヒロイン二人、ボケとツッコミのでこぼこコンビで、ギャク物としてはいい感じです。
キャラがかぶり気味で、ハーレム物を目指すのならちょっと問題かもしれません。

ラブストーリーとしては、あっさりしています。
主人公たちが、互いに強い好意は持っていても、異性として意識している印象が薄いです。
転校初日にぶつかってパンチラなどが、ギャグとして消費されてしまっています。
互いを異性として認識するイベントとして機能していません。
一方は幼馴染で、もう一方は忍者なので、相手の人柄を探り合うようなドキドキ感も弱いです。

主人公の恋の行方を、生暖かく見守るクラスメートたちもいい感じです。
敵役の力の抜け具合もなかなかです。

勢いで突っ走る、少しバイオレンスなラブコメです。
説教やら重いテーマやらないので、軽く読んで楽しめます。

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11月 24, 2004

恋の気配「世界最大のこびと 2」

人間との関わりを断って暮らす小人たちと、人間の兄妹との交流を描くシリーズです。
「世界最大のこびと(2) 世界最小の再会」著:羽田奈緒子/絵:戸部淑(MF文庫J 11月刊)

久那斗の民という小人一族のパウエルたちが、里に帰って1ヶ月ほどの6月半ば。
一弥(いちや)は、高校の体育祭実行委員となって準備に追われています。
彼の周りで、不思議な事件が起こり始めます。

ほんわかシットリ、地味にコメディといったお話しです。
悪と戦うようなストーリーではない優しい世界観で、本質的な悪人は出てきません。
童話的というか、民話的な味付けです。

妹の小百合とパウエルのコンビの活躍が減っためか、小人パワーは弱めでした。
かわりに、微妙なラブコメ要素が加わっています。
一弥に、恋の始まりの予感です。

今回の主役は、一弥です。
キャラが薄いところも、主役向きで、いい感じです。
鈍いうえに、活動性に欠けるので、恋の進展は遅そうです。
というか進展するのでしょうか。
もどかしいです。
とても高校2年生とは思えない、中学生級の恋です。
着々とハーレムを形成しつつあるように見えるのに、本人が気づいていません。
でも、美味しいところは、ちゃっかり持っていきます。

誤植かもしれませんが一弥の「キャー」が少々気になりました。
梅雨の頃に体育祭をする学校も普通にあるのでしょうか、北のほうとかかな。

小学4年生の病弱で、けなげな妹の小百合が、可愛いです。
アテナ、相変わらず報われない空回りです。
友人の菊池、ふがいない兄にかわってテンション高いです。

男らしい少女と、変わり者の(たぶん)美少女の二人組みが、新たに登場します。
熊井麻子、なかなか魅力的な俺様っぷりです。
真船木乃葉、意外と常識的かと思うと、やっぱりどこかズレていてキュートです。

既刊の2作ともストーリー中心ですが、キャラクター中心の話も読んでみたいです。
一弥たちが遊びに行くような話とか、小人たちの日々の暮らしとかです。
小百合・パウエルのコンビの小さな冒険とかも楽しそうです。

リンク集: 戸部淑

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11月 23, 2004

二人だけの修学旅行「気象精霊ぷらくてぃか3」

気象精霊記の主役たちの子供時代を描く短編シリーズです。
「気象精霊ぷらくてぃか3 魔界の卑怯温泉」著:清水文化/絵:七瀬葵(富士見ファンタジア文庫 11月刊)

精霊の子供たちの学園生活です。
命を育む惑星の気象を整える気象精霊を目指して修行しています。

ミリィ、偏った英才教育を受けてきたために、天然ボケをしてしまう優等生です。
ユメミ、自尊心が強すぎるお姫さまで、友情を求めることができません。
将来、親友となる二人を中心に物語りは進んでいきます。

ドラゴンマガジンに連載されている短編の5編に、書下ろしが加わっています。
グループ課題の話と、始めての旅行の話が面白かったです。
グループで調べ物をする様子が、楽しげです。
ミリィと二人だけの旅行のためか、いつもより少しだけ素直なユメミが可愛いです。
文化祭の話も、忙しそうで楽しそうな雰囲気がよかったです。

書下ろしである、気象精霊めもりある
ページ数が多いわりに、とりとめがなく何がしたかったのか分からない話でした。
内容の無さを、読者サービスでごまかしている感じも、印象が悪いです。

ほのぼのして、マッタリした味わいでした。

リンク集: 清水文化七瀬葵

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11月 20, 2004

本当の兄妹以上に「窓辺には夜の歌」

奇怪な夜の世界を、少女を守って冒険するシリーズの2巻目です。
「窓辺には夜の歌」著:田中芳樹/絵:ふくやまけいこ(講談社文庫 11月刊)

冒険を共にした来夢、北本と連絡を取るきっかけもないまま、9週間が過ぎています。
将来を見据えて努力を始めているものの、得たあるモノを使うことなく平凡に暮らしています。
学園祭の準備ににぎわう、大学の構内で、思いがけなく再会を果たします。

まったくの他人ですが、妹物です。
無垢な信頼のキラキラした瞳が、下心を封じています。

SF系のオカルトホラーです。
溢れ出した闇に、日常を侵食されます。
前巻から、ホラー感が激減して、アクション増量です。
裏面世界、前巻では、異世界というより異空間でしたが、今回は少し異世界度が上がっています。

主人公の耕平は、凡庸そうに見えて身体能力の高い、19歳の大学一年生です。
けっして来夢の信頼を裏切らなかった、彼女にとってのヒーローです。
堕ちてしまいそうな微かなグラグラ感もいい感じです。

来夢、ボーイッシュで、たくましい小学6年生の女の子です。
物事に執着を持てなかった耕平にとって、唯一、守るべきものです。
天涯孤独でも、真っ直ぐに育っています。
ちらりと見せる気弱さがキュートです。

一心に信頼し慕いつづける来夢。
かいがいしくフォローする耕平。
血の繋がりはなくても、家族的な愛で強く結びついた二人の関係がカッコイイです。
二人を暖かく見守る祖父的な存在の北本も、いい味をだしています。

※解説は、クリティカルにネタバレなので、初読の人は注意です。

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11月 19, 2004

手をつないで夜を「夏の魔術」

怪異な状況に閉じ込められた、9人の老若男女のサバイバル・ホラーです。
「夏の魔術」著:田中芳樹/絵:ふくやまけいこ(講談社文庫 2003年刊)

宙ぶらりんな自分を何とかしたいと、夏休の終わりに一人旅をしています。
不本意に降ろされた無人駅で、一人の子供になつかれます。

主人公と少女との強い信頼が、あたたかい物語りです。
ストレートな正義感が、爽やかです。
ホラーといっても、不可解さが中心で、怖さはひかえめです。
微妙なSF色があります。
アクション要素も強いです。

主人公の耕平は、19歳の大学一年生です。
裕福な家に生まれても、孤立していて孤独です。
無能ではないものの器用貧乏で、将来進むべきを道を定められずにいます。
平凡と言いながら、妙に身体能力が高かったりします。

来夢(らいむ)、行動力のある12歳の女の子です。
他人に迷惑をかけまいとする姿が、けなげです。
朗らかで、賢いです。
良い子過ぎるところが、あやうい感じです。

「夏の魔術シリーズ」新書版は、全四巻で、一応,完結しています。
シリーズは、一種の「妹もの」です。
最初は、1988年から、徳間ノベルズで三巻まで出版されました。
その後の、講談社ノベルスをへての文庫化です。
各巻は、四季に対応しています。

いわくありげな汽車。
まとまりのない同行者。
怪しい洋館。
先の見えない決断を迫られます。

リンク集: 田中芳樹

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11月 17, 2004

空回りの不安「女神さまに乾杯」

日本と異世界に分かれて暮らす、一臣とリミアの恋の決着編です。
「ぼくの女神さま2 女神さまに乾杯」著:とまとあき、塚本裕美子/絵:幡池裕行(スニーカー文庫 1997年刊)

思いを言葉にせずに別れた二人。
一臣は、大学生となり、シナリオライターの道を歩き出そうとしています。
リミアは、正式な王位継承者として、夫を選ぶよう、せまられています。

主人公は、一臣です。
城にいるリミアとは、あまり会えません。
本心も語られません。
求められているのか、迷惑なのか悩みます。

馬対決です。
不安な気持ちを、勝負にぶつけます。
身体を張ってます。

キザっぽい若い領主さまがライバルです。
でっかい馬に乗ってます。

陽子も再登場で、料理面も少し強化されます。
シンも一臣を応援します。
馬たちが可愛いです。

イラストレーターが変わっていますが、もともと伊東氏と共同で絵を書いていた方です。
一臣の傷など、多少これまでの巻との不整合な点があります。
前巻との間があきすぎたためかもしれません。
ストーリー上の問題はありません。

泥臭く頑張る美青年というのも、いいものです。

シリーズは、きれいに完結していますが、あとがきではあと2巻ほど出す予定だったようです。
もはや続きがでるとは思えませんが、少し気になります。
ディーアック復活とか、陽子の里帰りとかでしょうか。

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11月 16, 2004

リフレッシュされる日常「ぼくの女神さま」

異世界のタカビーお姫さまの、日本ホームステイ記です。
「わたしの勇者さま外伝 ぼくの女神さま」著:とまとあき、塚本裕美子/絵:伊東岳彦(スニーカー文庫 1993年刊)

片思いのまま、チャンスももらえず失恋してしまった一臣。
陽子の欠けた松宮家を心配して出入りしている内に、弟子のようになっています。
イイ人っぷりに泣けてきます。
今度は、お姫さまが降ってきます。

素直でないリミア姫が、だんだん可愛くなります。
凶悪な攻撃力をもつワガママ姫なだけに、いい感じです。
梅雨明けに始まり、夏とともに終わる、少し切ないラブストーリーです。
さらっとした感じです。

一臣の視点を中心に、描かれています。
ガイド役の彼もまた、リミアの目を通して、日常を見直すことになります。
見なれた日々の些細なことが、彩りを取り戻します。

リミア姫、前回、嫌な女&道化のまま終わってしまって、煮詰まっています。
魔法による異世界への転移というムチャにでます。
陽子の女優の母も、素敵な大人の女性として登場します。

陽子がいないので、料理面は、ややパワーダウンですが、買い食いが増えます。
本筋とは無関係ですが、魔女の説明の間違いが少し気になりました。

破壊しておいて、知らん振りなのは、どうだろうと思います。
「としまえん」が可哀相です。
でも、メリーゴーランドはやっぱり良いものです。

シンのときのような差し迫った事情はないので、ほのぼのと過ぎていきます。
こういうマッタリ感は、外伝ならではの醍醐味でしょう。

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11月 15, 2004

料理上手はつぶしが効く「魔法使いのティータイム」

異世界で魔法の修行をする女子高生の、ほのぼの冒険譚です。
「続・わたしの勇者さま 魔法使いのティータイム」著:とまとあき、塚本裕美子/絵:伊東岳彦(スニーカー文庫 1993年刊)

勇者シンを追いかけて、異世界ルーで暮らしている陽子。
薬草の調合には上達しましたが、肝心の魔法のほうはサッパリです。
王様の姪のリミア姫が、他所での魔法の修行を終えて城に帰還してきます。

ストーリーは童話的ですが、描写には生活感が溢れています。
前回は、通過しただけだった王都イオナの日常を堪能できます。
馬に乗っての旅も楽しめます。

陽子は、異世界での生活には馴染んだものの自分の立場に不安を感じています。
暴走するお姫さまに困惑させられます。
もやもやとした三角関係にも悩みます。

リミア姫、存在自体が陽子の劣等感を何かと刺激してくれます。
わがままで高飛車ですが、正義感や責任感もあります。
でも視野が狭くて、いろいろと空回りしています。

前編でちょっとだけ出てきた宮廷魔道士カロアが、いい感じの師匠として再登場します。
城下の人々も気持ちがよく、子供たちは可愛いです。
雑種犬のモルト、大活躍で出番も増えてます。

舞台は、全編ルー側です。
前半では、王都での陽子の暮らしぶりが描かれます。
後半は、リミア姫に連れられてのプチ世直しの旅です。
勇者シンは、ほとんど登場しませんが、常にその存在が意識されています。

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11月 14, 2004

勇者さまは食費が大変「わたしの勇者さま」

庭先に落っこちてきた勇者を、女子高生がゲットする話です。
「わたしの勇者さま(前・後)」著:とまとあき、塚本裕美子/絵:伊東岳彦(スニーカー文庫 1991年刊)

剣と魔法の異世界ルー、姫を取り戻すため悪の魔道士と戦う勇者シン。
追い詰めるものの、逆に罠にかかり、見知らぬ世界へと跳ばされてしまいます。

勇者さま、でかくて筋肉質のため基礎代謝が高いらしく、食べまくりです。
アメ車のような勇者さまです。
とくに前編は、料理を作って食べている合間に、物語りが進んで行きます。
手際良く家庭料理を作っていく陽子が、カッコイイです。
雑種犬のモルトも、可愛いです。

父親は、子供向け特撮番組のシナリオライターです。
鷹揚なのか考えが足りないのか分からない変わり者です。
離婚していて、家事全般を陽子が、受け持っています。

前編は、勇者さま日本滞在記です。

カルチャーギャップにとまどう勇者をコミカルに描きます。
おだやかなラブコメです。
美形の同級生との微妙な三角関係もあります。
多少のトラブルはあっても、ほのぼのと進んで行きます。
やがて魔の手がせまり、平和は破られます。

後編は、帰還編です。

いよいよ勇者もホームグラウンドで本領発揮です。
前編末を受けて、話は急展開をします。
中盤の決戦の地へ向けての旅は、派手さはありませんがとても雰囲気があります。
宿屋が農家風だったり、場末っぽかったり、森で食料を調達したりです。
ヒロイックファンタジーらしい展開で、バトルも多めになっています。

一人称ではありませんが、主人公の陽子の視点を中心に描かれています。
食事や買い物など、生活が丁寧に描かれています。
やたらと人が死んだりしないのも、優しい雰囲気をつくっています。

リンク集: 伊東岳彦

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11月 12, 2004

哀しい愛情「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」

女の子ふたりの、一月だけの幸薄く幼い友情の物語りです。
「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない A Lollypop or A Bullet」著:桜庭一樹/絵:むー(富士見ミステリー文庫 11月刊)

山田なぎさ、中学2年生、貧乏に立ち向かう決意を固めた13歳。
9月の始めに転校してきた変な美少女・海野藻屑につきまとわれることに・・・。

哀しくて、寂しい話です。
悲しいけどやっぱり生きていくという話です。
心がシーンとするようなザワザワするような感じです。
最初はなんだコイツと思った貴族な兄の存在が、途中から救いでした。

イラストから受ける印象のような、ふわふわ感は少なくて、生々しいです。
でも、この柔らかいイラストでよかったです。
いろいろと緩和してくれます。
ただ自己憐憫にひたるだけではない、いい物語りなんですけど、なにかと報われない話なので。

主人公は、クールなリアリストを気取っていても、ぶっきらぼうに世話好きな少女です。
もう一人は、可愛い系なのにペットボトルの水をグビグビ飲んじゃう不思議ちゃんです。
二人は与えられた環境で、不器用に懸命に生きています。
結末がああなので、単純に可愛いと言えないのがつらいです。

映画館に行く話とか、楽しい感じのエピソードもあり、ほのぼの感も皆無ではありません。
ですが、冒頭、いきなり猟奇な記事で始まります。
ハッピーエンドになりようもありません。
1ページ目で、覚悟を固めて読んでということでしょう。

派手さを抑えたサイコサスペンスです。
主人公の一人称で語られます。
ラブコメっぽいエピソードもあるんですが、コメディとはいえません。
落ち込むテーマですが、誠実に描かれているので素直に読めました。

リンク集: 桜庭一樹むー

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11月 09, 2004

食卓の支配者「丘の家のジェーン」

プリンス・エドワード島の美しい風景の中で、新しい自分を見つける少女の物語りです。
「丘の家のジェーン」著:モンゴメリ/訳:村岡花子(新潮文庫 1960年刊)

トロント、スラム化が忍びよる古く陰気なお屋敷街・うららか街。
祖母に抑圧された大きなお屋敷に住む11歳のお嬢さまジェーン。
何をやってもダメな子です。
一通の手紙によって、夏休みをプリンス・エドワード島で過ごすことになります。
人に必要とされることで、少女は、始めて自分の才能が開花していくのを感じます。

魔法も妖精も出てきませんが、エブリディマジックのような味わいです。
ガタピシ自動車でのドライブが素敵です。
少女の成長物語というより一種のサクセスストーリーでしょうか。

導入部が、陰鬱としていますが、大げさな言いまわしで変に笑えたりもします。
でも、暗い展開の90ページは、やはり長いです。
字は小さめで、本文は、330ページほどです。

しかし、プリンス・エドワード島に渡ってからは、コメディらしくなります。
だんだんと物語りのスピードとテンションもアップしていきます。
特に、2度目の夏休みは、モンゴメリらしい田舎パワー爆発のエピソード満載です。
ライオンの話が、楽しいです。

底流には昼メロのような女の戦いというか、ドロドロの愛憎劇が見え隠れしています。
子供が主体のストーリーなので、あからさまではなくマイルドです。
大雑把な文章も、生々しくなるのを防いでる感じです。

登場する男は、全員、微妙に頼りないです。
チモシー老人は、ちょっと例外かな。

都会と田舎の暮らしの対比がくっきりとしています。
都会を否定して終わるような田舎万歳なエンディングでないのもいい感じです。

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11月 07, 2004

アフィリエイト標準装備

@niftyBOOKSのアフィリエイトがココログに標準装備になったということで、つけてみました。
マイリストの編集ページの検索窓で、書籍コード(ISBN番号)を調べ、
あとは、それをコピー&ペーストというお手軽さはいいんですけど、
記事のほうに張りつけられるようになると嬉しいです。

実は、ずいぶん前から、アフィリエイト・ネットワークにも登録だけはしていたのです。
他の書籍系のブログを見ると、記事に本の表紙絵が貼り付けてあったりします。
それが、ちょっと羨ましかったりしたもんですから・・・。

で、表紙絵を表示するには著作権の問題をクリアする必要があるわけですけど、
それには、アフィリエイトを利用するのが簡単と、どこかのサイトで読んだのです。
根がミーハーなものですから、それではと、勢いで登録してみたのですが、
よく考えると、記事ごとに絵をつけたら重くなるんじゃないかとか、
お金儲けをしていると嫌われたらイヤだなとか考えてしまって、
結局、ほったらかしにしきてたわけです。

正直言いまして、小銭を稼ぐのは結構好きです。
買い物するとくれるスタンプとかも、ちまちま集めるようなヤツです。
絵があったほうが見栄えがするかもとかも、やっぱり思うわけで・・・。

この時期に、ココログがアフィリエイトを始めたのも何かの運命だとか、
サイドバーに、小さめの絵だからいいかなとか、
自分に言い訳しつつ付けてみました。

マイリストの編集ページの各項目の記入欄は、絵が表示される以外、
これまでの本リストと同じです。
特にリンクのようなものがあるわけでもないんですね。

「買うかもしんない」いうマイリストは、以前から本のリストで作ってきました。
このままでも、問題ないのかな。

絵(サムネイル)の表示のオン・オフは、リストごとの「設定」で可能なようですが、
アフィリエイトのオン・オフはないようです。
直接、書名とかを書き込めば、アフィリエイトなしということでしょか。

@niftyBOOKSは、今のところ中身は、bk1のようですが、
トラックバックは反映されないようです。
独自にトラックバックを受け付けるようにしてくれるとありがたいです。

プラスに、レベルアップできるくらいポイントが稼げると嬉しいなとか思っていますが、
紹介しているのが文庫本なので、ちょっと無理そうです。

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11月 05, 2004

非力でしたたか「世界は紙でできている」

神の花パピア・ローゼをめぐる因縁に巻き込まれる女子高生の異世界ファンタジー。
「世界は紙でできている―パピア・ローゼ吟遊詩―」著:ココロ直/絵:小杉繭(コバルト文庫 11月刊)

異世界へとまぎれこんだ現代日本の女子高生トモカ。
黒髪であったために、伝説の破壊者の再来として捕らえられます。
繁栄の象徴パピア・ローゼの復元に執着する若い女性将軍と出会い、
パピア・ローゼをめぐる確執へと巻き込まれていくトモカ。
王国のパピア・ローゼ入手に隠された因縁が次第に明らかとなっていきます。

こじんまりしていても、しっかりしたストーリーで楽しかったです。
「異世界で火薬の知識が」というのはよくありますが、「紙」というのが新鮮でした。
一途で頑なな女性将軍との信頼関係の進展がゆっくりなのもいい感じです。
主役級はもちろん、村長の娘や少年兵などのちょい役も魅力的です。
キャラクターの個性がクッキリしていて読みやすかったです。

主人公は、普通の女子高生でよわよわです。
ビクビクしながらも、思い切った行動にでるのが素敵です。
よわよわなのに、したたかです。

舞台は、大規模な地震が起こり各国が震災に見舞われた大陸です。
パピア・ローゼを所有するアクアリア王国は、例外的に大きな被害を免れています。
紙の呪符による魔法が存在する世界なので、紙の特別視や知識の独占も自然です。

主人公の行動範囲が狭いので壮大さはありませんが、生活感は強めです。
戦闘シーンは少ないですが、アクションは派手目で、無茶な強さが素敵です。
黒幕の正体も、なるほどといった感じで、よかったです。

続編がありそうなエンディングなので、次の巻が楽しみです。

リンク集: 小杉繭

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11月 04, 2004

決断力のあるお子様魔女「レギ伯爵の末娘」

泣く、暴れる、ふんぞり返ると、魔法使い見習いの少女が右往左往するラブコメ中世風ファンタジー。
「レギ伯爵の末娘 ~よかったり悪かったりする魔女~」著:野梨原花南/絵:鈴木次郎(コバルト文庫 11月刊)

叔母さんのもとで魔女の修行をしている少女・ポムグラニット。
お祭りに行きたいとねだると、休暇のかわりに課題を出されます。
課題は、魔女らしいこと(呪いや祝福など)をするということ。
対象を求めて街で噂に聞いたレギ伯爵の屋敷へと押しかけます。

まだ、プロローグといった感じです。
ダラダラ・マッタリです。
登場人物が、魅力的なので、それなりには楽しめました。
童話っぽいけどシリアスなところもある雰囲気です。

魔法などの設定も、キャラクターも、まだ固まっていずに手探りといった印象です。
エピソードも、色々と盛り込まれていますが、ほとんどが中途半端に終わっています。
「下賎な宿」のあたりまでは、それなりにストーリーも走っていますが、その後は、行ったり来たりで進展がありせん。
唯一、「結晶」の話だけ、結末がついていますが、とってつけた感じのエピソードです。
全体を貫くストーリーか、エピソードごとのまとまりが欲しかったです。

アザーが、なぜ家名に泥を塗りたいのかが不明な点も、いまひとつストーリーがピリッとしない理由かもしれません。

主役も脇役も個性的です。
頭の回転も速く行動力もあるけど、お子様で思慮が浅い主人公のポムグラニット。
度胸と根性があって、泣いてからが強いキャラです。
しっかりしていそうで、どこか頼りない中性的なお姫さまのマダー。
ゴージャスな美形キャラなのに、少女たちに軽くあしらわれてしまうアザー。
マイペースで奥深いのか軽薄なのかわからない師匠。

もっと、しっくりとストーリーと馴染んでくれば、すごく面白くなるのではと期待してしまいます。

リンク集: 鈴木次郎

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11月 02, 2004

保健室の元暗殺者「ザ・サード(7)」

パイフウ&火乃香、ついにハデスと全面対決といった外伝的な巻です。
「ザ・サード VII 死すべき神々の荒野(上)」著:星野亮/絵:後藤なお(富士見ファンタジア文庫 10年刊)

火乃香との出会いによって、居場所を見つけていたパイフウ。
突然、誰にも告げずに姿を消します。
困惑する火乃香と、ミリィ。
火乃香は、後を追って砂漠を渡ります。

パイフウと、火乃香が主人公の外伝的お話しです。
売りであるカッコイイ戦闘シーンは何度もありますが、まだ様子見といった感じです。
今回の火乃香は、年相応に子供っぽかった感じがします。
砂漠の旅(デューン・ラン)が中心です。
強大な敵との対決もいいのですが、砂漠を旅する話は、このシリーズらしくて好きです。

これまでの因縁に決着をつけるといったストーリーです。
外伝も含めてシリーズを読んでいないと厳しいでしょう。

シリーズの主人公の火乃香は、何でも切っちゃう、刀の使い手の少女です。
砂漠の旅のガイドを生業として、どんな困難も相棒の戦車と刀一本で切り抜けます。
舞台は、大規模な戦争による文明滅亡後の、砂漠化した世界です。
それでも人々は、たくましく生きています。
復興された文明は、ザ・サードとよばれる特殊な人類によってコントロールされています。
悲惨な世界なのに、カラッとした明るさと、ほのぼのとした優しさがあります。

前回の「プロメテウス」で、火乃香、すごいことになっていました。
戦闘時に、いまひとつピリッとしなかったのはその影響でしょか。
不安を打ち消そうとして、無理にテンションを上げようとしている感じでした。
体調になにか変調でもあるとか。

外伝で何度か出てきた暗殺者(または集団?)「ハデス」との総力戦です。
ザ・サードも動き出しています。
上巻ということで、次巻への引きで終わっています。

リンク集: 後藤なお

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