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10月 08, 2004

理系なお姫さま「英雄と王冠」

規格外で役立たずなお姫さまのサクセス・ストーリーなハイ・ファンタジーです。
「ダマール王国物語(2) 英雄と王冠」著:ロビン・マッキンリイ/訳:渡辺 南都子(ハヤカワ文庫FT 1987年刊)

主人公は、王の娘に生まれながら、母親の血筋が謎であるために周囲から疎まれ孤立しています。
王族であれば、誰もが持っている「賜物」と呼ばれる魔法の力も、年頃になっても発現せず軽んじられています。

彼女は、立場に甘えず、「賜物」がなくても王族の責務を果たせることを示そうと、一人で道を模索し、黙々と努力を積み重ねていきます。

すずしげな味わいの正統派ファンタジーです。

傷を負った馬との交流と、秘薬復元の試行錯誤の過程がほほえましいです。
少数ながらも、暖かく見守る人々の存在も、いい感じです。

竜との対決の結果も、衝撃的で、単なる英雄譚となっていないのも素晴らしいです。
英雄って何だろうと考えさせられます。

字が小さく、原文のせいか翻訳が悪いのか、長い段落も多くやや読みにくいです。

王冠奪還のエピソード、神話的な感じで悪くはないのですが、少し唐突です。

ルーサとのエピソードは、生身の女性であることを示したかったのかもしれませんが、安手の昼メロといった感じがしました。
トーが、憐れすぎます。
この部分だけイーリンがやたらと自己憐憫に浸っているのも違和感があります。

最後の決戦シーンは、前半の調子に戻ってそれなりに締めくくられていますが、うやむやにされてしまった感もあります。

会話より、描写で進んでいくストーリーや、不器用だけどひたむきな主人公の泥臭い活躍など独特の味わいが楽しいです。

前作の「青い剣」は、イーリン姫が伝説となった数百年後のダマール王国が舞台です。
19世紀末か20世紀初頭の植民地時代といった雰囲気です。
イギリスを思わせる本国から、砂漠の植民都市へとやってきた背の高い少女が主人公です。
狩猟猫や砂漠の民の風俗など魅力的です。
馬をもらってからのストーリーはスピード感があります。
ただ、導入部が、無意味に長いのと、ストックホルム症候群?といった設定が引っかかります。
さらわれてラブラブというのは、女性から見てOKなのでしょうか。

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コメント

はじめまして、たぬきと申します。
あまりに懐かしい書名に、おもわずコメントをつけてしまいました。

「青い剣」は、高校生の頃ハマってましたね。
何度読んだか分からないくらいに好きでした。
読み手の女の子にとっては文字通り白馬の王子さまであり、退屈な日常からの別離であり。
とにかく退屈していた高校生にとっては「羨ましい」話だった訳です。
さらわれて…というシチュエーションはあまり重要ではなかったかな、当時は(笑)。

投稿: たぬき | 10月 09, 2004 03:20 午後

貴重な、女性からのご意見ありがとうございます。
ちょっと安心しました。
って、わたしが安心するようなことでもありませんね・・・。

物語では、主人公、最初から行く気まんまんですし、
王様も、さらっちゃって悩んでますからね。
嫌な感じは、しないんですよね。

でも、最近、誘拐のニュースが多くて少し気になってしまいました。

サイトを読ませていただきました。
のらうさぎ」の話にウケました。
いや、場合によっては深刻な話かもしれませんが。

投稿: Junsuke | 10月 10, 2004 09:06 午前

サイトにいらしてくださったようで、ありがとうございます♪
うすっぺらいBlogですが、ウケていただいたみたいで、嬉しいです。
ウサギがそこいらを跳ね跳んでるような、ローカルな土地なんですわ(笑)

また、寄せていただきますぅ。

投稿: たぬき | 10月 11, 2004 11:32 午前

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