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10月 03, 2004

ドラゴンと生きる「ドラゴンライダー」

異種族間の戦争を描く、練られた世界観のエピック・ファンタジーです。
「モンスターメーカー ドラゴンライダー(上・下)」著:鈴木銀一郎/絵:九月姫(富士見ファンタジア文庫 1991,1992年刊)

恋愛やコメディ要素は低く、オーク族の悲しい運命も語られているのですが、不思議と重い感じはしません。むしろ、軽快で爽やかな読み心地です。

一つの戦役を中心とした歴史群像的に描かれています。
戦争の発生を社会のありようという視点から描いてあるのが興味深いです。

歴史の中に忘れ去られようとしているドラゴンライダーという生き方を、自らの意思で受け継ぐ少女の物語りでもあります。

ストーリーは、山奥の閉鎖的な村で育った少女・アイラが、密かな夢であったドラゴンライダーとなり、広い世界を旅して種族間の大戦争に関わり、帰還してドラゴンライダーの系譜を継ぐという流れがベースとなっています。

上巻では、アイラ、魔術師、歴史学者、反乱王の物語りが各章ごとに語られます。
下巻では、猫のような種族の貴族の娘と博打好きの剣士が加わり、世界全体を巻き込む戦乱が描かれます。

世界はコンパクトで、基本設定は単純明快です。
シャーズ族の生活など、魅力的な設定もいっぱいです。
「モンスターメーカー」は、カードゲームから始まり、ボードゲーム・コミック・ゲーム機のRPGなどへと発展したシリーズです。
それらと世界観は共有していても、どれかのノベライズではありません。

キャラクター中心というより、ストーリー中心で描かれています。
題名にも関わらず、ドラゴンライダー中心の部分は量的には少ないです。
上巻では、一章のみですし、下巻の中盤は、魔術師中心に話が進みます。
力強く愛らしいドラゴンの活躍をもっと見たかったです。
その点が少し不満ですが、第一章は、それのみでも一冊分の価値があると感じるほど好きな話です。

文章は、無駄なく簡潔です。
アイラが山を降り、王国を旅して世界の中心の島に渡るまでは、たった9ページほどですが、外の世界に対して戸惑いながらも次第に世慣れていくさまが、過不足なく描かれています。

戦闘シーンは少ないのですが、単に盛り上げるためのイベントではなく、やむにやまれぬものとして描いてあって好感が持てます。

銀河企画から、イラストを変えて再版されているようです。

リンク集: 鈴木銀一郎九月姫

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