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10月 31, 2004

爺ばかパワー炸裂「スレイヤーズすぺしゃる(23)」

故郷を遠く離れ、食べ歩きの放浪を続ける暴力少女魔道士のコメディ短編シリーズです。
「スレイヤーズすぺしゃる(23)ブレイクオブディスティニー」著:神坂一 /絵:あらいずみ るい(富士見ファンタジア文庫 10年刊)

あいかわらず楽しかったです。
軽く笑って、後に残らないタイプのお話しです。

剣と魔法のというか、RPG系のファンタジーのパロディです。
本編は、ずいぶん昔に終了しています。
短編集は、本編以前の話しなので、本編を読んでいなくても大丈夫です。

主人公のリナは、反則気味に強い魔力と、商人の魂を持つ美少女魔道士です。
魔法だけでなく剣の腕前など才能に恵まれていますが、胸がないことがコンプレックスです。

レギュラーキャラは、ナーガくらいです。
シリーズの途中から読み始めても、たぶん大丈夫だと思います。
適当に数話、立ち読みしてみると良いかもしれません。
ナーガは、打たれ強いけど間抜けなトラブルメーカーで、リナに懐いています。

今回はどの編にも、ちょい役ですが無邪気な普通の子供が、登場しています。
ひねったキャラが多いだけに逆に新鮮な感じがしました。
マイペースなマリリンが可愛いかったです。

リナがドラゴン語を話せるという設定は、今までに出てきたでしょうか。
会話がある時は、ドラゴンが人間の言葉を話していたような。

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10月 30, 2004

南国どじっ娘、再び「新・はっぴぃセブン(8)」

色々なタイプの美少女が登場するアクション・コメディ、今回は海外へと旅行です。
「新・はっぴぃセブン ~vol.8 サザンクロスに願いをこめて~」著:川崎ヒロユキ/絵:COM(スーパーダッシュ文庫 10年刊)

サヤン編の後編、主人公たちは性格反転現象を解くためにパリトゥへ。
南の島に秘められた哀しい恋の物語りと出会います。

ジャングル探検、楽しそうでした。
南国らしく色彩豊かです。
修行も進み、サヤンの気象精霊力もパワーアップしてます。

パリトゥはバリ島風の南の島で、それほど観光化はしていません。
それでもわりと文明化している感じで、南国観光も満喫しています。

前半は、駆け足で紙芝居っぽい印象でした。
ササッと読めるのは良いのですが、もっとマッタリ・ダラダラでもよかった気がします。
後半のバトルシーンは、充実しています。

このシリーズは、いわゆるキャラ物のラブコメです。
主人公が禁欲的なので、恋愛面は、ほのぼの止まりです。
どちらかと言えば、笑いと涙の人情物が中心です。

後書きを読むと、今後、まとめに入っていく感じがしました。

リンク集: COM

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10月 28, 2004

デザートな感じ「スクラップド・プリンセス サプリメント3」

SFテイストの剣と魔法のファンタジー、スクラップド・プリンセス本編の後日談です。
「スクラップド・プリンセス サプリメント3 聖地に流れる円舞曲」著:榊一郎/絵:安曇雪伸(富士見ファンタジア文庫 10年刊)

世界の開放とともに魔法が失われたため、各国の均衡が崩れようとしていた・・・。
本編最終巻の、秩序守護者達との決着とエピローグとをつなぐエピソードです。
ラクエルが、外の世界から訪れたDナイトと共に、魔法の復活に挑みます。

コメディ中心の展開で、気楽に楽しめました。
すてプリの、のーてんきな面だけを取り出した感じです。
ラクエルの恋の行方(?)を、陰から見守るシャノンとパシフィカといったストーリーです。
勤労親父壱号、シブイです。
冒頭であかされる封棄世界の位置が、意外でした。

登場人物は、パシフィカたちを中心に絞り込まれています。
レオたちが出ないのでアニメから入った人には、多少物足りないかもしれません。

シリーズ本編の最後のほうはシビアな展開が続いてやや重めでした。
最後に明るいお話しを読めるのはいい感じです。
清々しい気持ちで区切りがつけられます。
といっても、後、短編集と書き下ろしの2冊が出るようですが。

リンク集: 榊一郎安曇雪伸

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10月 27, 2004

会計監査は誰のため「女子大生会計士の事件簿 DX.1」

企業とお金にまつわるミステリー風味のショートショート集です。
「女子大生会計士の事件簿 DX.1 ベンチャーの王子様」著:山田真哉(角川文庫 10月刊)

マゾっぽい新米会計士補29歳男が、
年下の傍若無人な上司の女の子に弄ばれつつ、
彼女の活躍を手助けする物語りです。
・・・微妙に違うかもしれません。

文章は、あっさりしています。
充実感はありませんが、サクッと読めます。

経営の隠れたトラブルの根を会計の面から洗い出し、解決すといったストーリーです。
企業物とかお金とか好きなので、楽しめました。
会計の知識については初心者向けの内容なので気楽に読めます。
舞台に、小さめの会社が多いのも親しみが持てます。

ライトミステリータッチですが、あくまでも雰囲気だけです。
推理やサスペンスを期待すると、ガッカリするかもしれません。
少し構成をいじれば、謎解きも楽しめるようになる気がしてもったいないです。

主人公、ヒロインに頼りきっているというか甘えてます。
入所一年目とはいえ、情けないです。
いろいろドジを踏みますが、語りが彼の一人称なので、ギャグになりにくいです。
ヒロインは姉御肌で、頼られて嬉しそうです。
女子大生なのに実務4年目の公認会計士という設定ですが、女子大生らしき気配はありません。

構成は、ショートショート7編と、それまでの事件を二人が振りかえる後書き的特別編です。
表題作だけ、少し長めです。
イラストはありません。
新書版に、5話と6話が追加されています。
巻末の資料は、減っているようです。

リンク集: 山田真哉久織ちまき

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10月 26, 2004

子供時代との別れ「西の善き魔女1」

信じてきた暮らしの全てを突き崩されても、前を向いて進んでいこうとする少女の物語りです。
「西の善き魔女I セラフィールドの少女」著:荻原規子(中公文庫 10月刊)

北国の早春、質素であっても平穏に荒れ野で暮らしている十五歳の村娘・フィリエル。
おめかしをして、始めて領主の館の舞踏会へと出かけます。
パーティを満喫していた彼女は、思いがけないトラブルに見舞われます。
素朴で穏やかだと信じていた周囲の世界。
小さな亀裂は次第に広がり、残酷で容赦のない隠されていた姿を露にします。

ミステリータッチの中盤の展開が素晴らしかったです。
乙女チックな導入部にもかかわらずシリアスな世界観です。

C★NOVELS版と違い、イラストはありません。
大人向けにはプラスかもしれませんが、少し寂しいです。

キャラの表現が、薄いというかストレートです。
腹芸のプロであるはずの貴族たちでさえ、考えをそのまま言葉にしています。
そのぶん、分かりやすくはあります。
ストーリー重視といった面もあるのかもしれません。
ライトノベルでは普通なので気にはなりませんが、中公文庫の読者層にはどうなんでしょう。

お人好しで、朴念仁の王子さま。
ペシミスティックなのに純情な少年。
可憐に見えてエキセントリックなお姫さま。
キャラクター自体は、そろっているので楽しめました。

後半、主人公がやや受け身です。
今はまだ、何の力もない小娘なので当然かもしれませんが、もどかしいです。
旅立ちの章といった感じなので、ここから成長していくということでしょう。

単純だったフィリエルの世界は、混沌とし、大量の謎が残されます。
全8巻(本編5,外伝3)で、2ヶ月ごとに刊行されるようです。

リンク集: 荻原規子

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10月 24, 2004

生意気ヒヨコ「ぴよぴよキングダム」

ヒヨコにとり憑かれた少年と少女のコメディタッチのラブストーリーです。
「ぴよぴよキングダム」著:木村航/絵:竹岡美穂(MF文庫J 10月刊)

無難に地味に生きていこうとしていた主人公。
朝起きたら、頭の上にヒヨコが住みついていて・・・。
恋と歌と贈り物の日々が始まります。

起伏のある展開で楽しめました。
バカっぽい設定なのに、妙に生活感があります。
説教くさくなってないのもいいです。

勢いのあるストレートなエンターテイメントなのに、どこか繊細です。
イラストも、そんな雰囲気にぴったりです。

前半は森山拓の、後半は磐座あかりの一人称で語られます。
SFっぽいのりです。
バトルシーンもあって盛り上げてくれます。

ピックル、可愛いやつです。
決死の恋愛なのが鳥っぽいです。
苦労人で根性のあるヒロイン、素敵です。
朗らかだけど本心を見せないチュルリラ姫も、お姫さまらしいお姫さまです。
大家さん、楽しいキャラです。
仁村優、地味にいい感じです。
ストーリー中心の展開ですが、キャラクタの個性も魅力的です。

サブキャラのエピソードが少なくなるのは仕方がないのですが、もったいない気もします。
続編を読んでみたいような、きれいに終わっているのでこのままがいいようなそんな感じです。

リンク集: 竹岡美穂

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10月 23, 2004

ターニングポイント?「つづくオン・マイ・オウン」

ワンマンアーミーな少年が、美少女を護って、人型兵器を駆る、パラレル現代の物語りです。
「フルメタル・パニック! つづくオン・マイ・オウン」著:賀東招二/絵:四季童子(富士見ファンタジア文庫 10月刊)
陣代高校も三学期となり生徒会役員の改選が行われます。
生徒会長を退く林水は、宗介に忠告を残します。

崩壊する日常、繰り広げられる市街戦・・・。
全編、バトル&アクションといった巻です。
ついにレナード・テスタロッサが動き出します。
絶望的な状況を、宗介が駆け抜けます。
今回は、戦闘ではなく戦争です。

このシリーズの舞台となる世界は、途中から歴史が異なっている現代です。
アーム・スレイブと呼ばれる人型の兵器が、広く普及しています。
シリアスな本編と、ドタバタ・コメディの短編集とで構成されています。

アマルガムが、あれほどの兵力を保有していたのが意外でした。
自分では表には出ない、死の商人か、犯罪ネットワークのようなものと思っていました。
世界征服でもたくらんでいるのでしょうか?

直ぐに最終回というわけではないようですが、学校編は終わりのようです。
短編集はどうなるのでしょう?

いちばんテンパっているのは、かなめでしょうか。
最後まであがき続ける宗介が清々しいです。

リンク集: 賀東招二

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10月 22, 2004

戦うお祭り「吉永さん家のガーゴイル5」

日常に不思議な人や物が混在する、家族の絆がテーマのコメディ・シリーズです。
「吉永さん家のガーゴイル5」著:田口仙年堂/絵:日向悠二(ファミ通文庫 10月刊)

物語りの中では春ということで、南口商店街では春祭り・さくら祭りが一週間ほど開かれます。
今年は、商売上のライバル・北口商店街がセールをぶつけて来ます。
いつものメンバーも加わり、しだいにお祭りはヒートアップしていきます。

パパさんが熱いです。
吉永家の最強キャラ・ママさんも、大暴れです。
楽しくって、少し哀しく、あったかい物語りです。

今回は、お祭りらしく、ほぼオールキャストといった感じです。
新たなバカキャラも加わります。
微妙に小者ですが、このくらいで丁度よかったです。

本質的な悪人は登場しないので、ほのぼの読めます。
物語りの中では、季節が一巡りです。
絵のシンクロ率も高く、一体となって雰囲気をつくっています。

百色、すっかりご町内にとけ込んでます。
東宮は、しっかりしていそうで、相変わらず迂闊です。
ケルプのほうが役に立ってます。
デュラハンが華麗な駐車テクニックを披露します。
オシリス、言葉を交わすのは和己とだけですが、やはり特別な想いがあるのかな。
傲慢で世間知らずだった彼女も、いい感じに成長してきているようです。

ご神木の桜が綺麗です。
南口商店街の、二つの剛の者の集団は、今後も登場するのでしょうか。

リンク集: 田口仙年堂 日向悠二
ファミ通文庫の公式サイトに、登場人物紹介ショート・ショートが掲載されています

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10月 21, 2004

おいしそうな本たち

読書にお茶とおやつは、付き物ということで、
本好きPeopleのTB企画「食欲の秋? おいしそうな食べ物が出てくる本を教えて!」に参加します。
食べ物が印象的だった本を思いつくままにピックアップしてみます。

魔法使いのティータイム」著:とまとあき・塚本裕美子/絵:伊東岳彦
異世界での日常の調理風景がいい感じです。
果物とかの食材も美味しそうです。
異世界で、魔法使いの弟子となった現代日本の少女が主人公です。
魔法がなかなか上達しません。
でも料理が身を助けます。
異世界から勇者が現代日本にやってくる「わたしの勇者さま」の続編です。

丘の家のジェーン」著:モンゴメリ
プリンス・エドワード島に滞在中は、主人公が家事を切り盛りするので、
料理中心の展開になります。
朝食ができるのを待つ間、ドーナッツを食べながら庭を散歩するシーンが好きです。

にゃんこ亭のレシピ」著:椹野道流/絵:山田ユギ
丼山盛りの南瓜の煮付け・・・、なんか良いです。
レシピ付きです。
新鮮で質の良い食材というのは、やっぱり食欲をそそります。

「フォーチュン・クエスト」著:深沢美潮/絵:迎夏生
主人公のパステルが食事と会計を担当しているので、料理シーンがよく出てきます。
パステルの作るお弁当や、食堂のメニューなどが、ときどき挿絵で解説されていたりします。

ランサム・サーガ」著:アーサー・ランサム
人生で大切なのは、きちんと食事をとることだといった感じで、
お茶や食事のシーンが要所要所に挿入されています。

「イリアの空 UFOの夏 その3」著:秋山瑞人/絵:駒都えーじ
第1話の「無銭飲食列伝」。
ヒロイン二人の、壮絶な大食いバトル、大迫力です。

青い剣」著:ロビン・マッキンリイ
デザートとして出てきたバリバリ音をたてる甘いものを食べるシーンとか、
狩猟猫ナルノンが、主人公に分けてもらうお粥とか、
ラップラン試練会の後、大鍋の料理をむしゃむしゃ食べるシーンなど、
印象的で、食欲をそそられるだけでなく、そのときの主人公の心情を表す描かれ方がされています。

「プリンセスメーカー ゆめみる妖精」著:細江ひろみ/絵:四位広猫
屋台のココアとかに引かれます。
ライアンの作った「シチューのようなもの」もいい感じです。
ゲームのノベライズですが、ゲームを知らなくても楽しめます。
あったかくていい物語りです。

ロケットガール シリーズ」著:野尻抱介/絵:山内則康・むっちりむうにい
宇宙飛行士である主人公たちは、食事が制限されているので、食べ物が重要な意味を持っています。
ハーガウとかイチジクの実とか、美味しそうです。

・・・きりがないのでこのくらいで。

こうしてリストアップしてみると、シンプルで日常的なものに、食欲を刺激されているみたいです。

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10月 19, 2004

大きな卵「ディアスの天使」

少女が銀河を救う大河SFロマン、最終巻にふさわしい、壮大なフィナーレです。
「銀河聖船記3 ディアスの天使」著:岡本賢一/絵:鈴木雅久(ソノラマ文庫 1995年刊)

雨骨石の謎、超越者、最後の審判、人類の覚醒といったサイキック・ウォーズなストーリーです。
いくぶん神話めいたり、宗教がかったりした雰囲気です。
急激に崩壊へと転げ落ちていきます。

リナ、さすがは英雄バルトの孫といった胆力とカリスマです。
前巻の事もあって、アドラは、キレかかっています。
バイオハーフの「ツグミ」、生意気な感じが可愛いです。
「ネズミ」、色々と、おいしい役どころです。
レオンも、自分の運命に向き合います。

後半は、横スクロール・シューティング・ゲーム好きならニヤリとする展開です。
ついにディアスがその力を発揮します。

登場人物の個人的レベルでは、いくつかの悲劇的結末を迎えます。
そういった中にも希望を感じさせる終わり方です。

銀河聖船記は、宇宙物ならではの、巨大さを堪能できるシリーズです。
殺伐となりやすい世界設定も、リナの、きれい事と言われようと無益な争いを避ける姿勢のおかげで、希望のある明るい雰囲気になっています。

リンク集: 岡本賢一

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10月 18, 2004

悩める電脳「ディアスの戦士」

少女がネコとネズミを伴って、帝国の暴走をとめようと奔走する大河SFロマンの2巻目です。
「銀河聖船記2 ディアスの戦士」著:岡本賢一/絵:鈴木雅久(ソノラマ文庫 1995年刊)

全ての戦いの常識を覆す超亜空間転送機。
その秘密を探るべく、リナたちは、ディアスを離れ小人数で、蘇製された地球・セカンテラへと向かいます

いよいよ帝国の暗部が浮かび上がってきます。
アドラ、ハードボイルドしています。
直接登場はしませんがリナの両親が影の主役です。

前回の敵役だったレオンは、今回、独自の行動をみせます。
レオンたちの思惑が、リナたちに有利に働いたり、不利に働いたりする展開が面白です。

複合AIベルドネス、泣かせます。
いい人工頭脳です。
いかした老兵が加わります。
お留守番の艦長補佐も楽しいです。

この巻自体のストーリーは、ちゃんと決着がつけられていますが、最後のシーンは、次の巻への引きで終わっています。

リンク集: 岡本賢一

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10月 17, 2004

少女艦長「ディアスの少女」

猫とネズミが、少女を助けて巨大戦艦を取り戻そうとするスペースオペラです。
「銀河聖船記1 ディアスの少女」著:岡本賢一/絵:鈴木雅久(ソノラマ文庫 1994年刊)

間近に巨艦ディアスが浮かぶ人工惑星C11。
元々は、200年前の銀河大戦を終結に導いたディアスの保存・整備のためにつくられた人工惑星でしたが、いまではスラム化が進んでいます。
住人は、自由の象徴であるディアスに引かれて集まった、合成種族(バイオハーフ)と呼ばれる人造の半人半獣の人々です。
ある日突然、賞金稼ぎの猫種の青年アドラの部屋の屋根を突き破って少女の入ったカプセルが落ちてきます。
面倒なことには関わらずにおこうとするアドラですが、住んでいるC11の危機を知ってしまってさあ大変といったストーリーです。

老人たちが元気です。
アドラ、シニカルぶったお人好しです。
13歳の少女がけなげです。
鼠サイズの「ネズミ」もいい味出しています。

敵役も、いい感じに性格の屈折した皇太子、実直な女性副官、陰険で小役人な現場指揮官と、ツボを押さえています。

ディアス、超大型の反粒子砲を備えた大艦巨砲主義の素敵な船です。
熟練した艦員ごと眠らせて保存されているというSFならではのスケールです。

ジェットコースタームービーといったストーリーで、アクシデントとアクションのてんこ盛りです。
群像劇風に描かれています。

全3巻のシリーズです。
続き物ですが、各巻ごとに微妙にカラーが違います。
関連作品に、世界観と一部キャラクターを共有する銀河冒険記シリーズがあります。

リンク集: 岡本賢一

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10月 16, 2004

恋に惑う少年「此花 死神伝説の真相」

恋と謎解きに心を悩ませる少年が主人公のライトミステリーです。
「此花KONOHANA:TrueReport ~死神伝説の真相~」著:野島洋佑/絵:moo,福田道生(電撃文庫 2001年刊)

新聞部設立を目指す美亜子たちは、突然、活動の自粛を言いわたされます。
さらなる実績を作ろうと、死神伝説誕生の謎の解明に乗り出しますが、やがて秘められた過去の事件が・・・。

ゲーム「此花4 ~闇を祓う祈り~」のトゥルーエンドがとりあえず見れました(のろすぎ)。
これを機会に、再読してみました。
本当は、他の本を探していてたまたま発掘しただけです。

嫉妬深い恵を見ることが出来ます。
ゲームより多少暗めです。
一人称ではありませんが、ほぼ、恵の視点で描かれています。

アドベンチャーゲーム此花シリーズは、ラブコメ・メインのライトミステリーです。
1~3をまとめたお徳パックと、最近発売された4とが出ています。
全体に、明るくカラッとした雰囲気ですが、事件は意外とハードだったりします。

ストーリー自体は、ベタですがしっかりしています。
トリックなども、どこかで読んだり見たりしたようなものですが、それは言わないお約束ということで・・・。

この本は、ゲームの1と2の間のお話しです。
口絵に、1の簡単な粗筋があります(ネタバレはほとんどありません)。
これだけでも読めないことはないのですが、やはりゲームをやっていたほうが楽しめるでしょう。

ゲームの方では、インターネットでの調べものといえば、真由美先生ですが、この本では図書館の司書の中年男性です。
もっと肉付けしていけば、いい味のキャラになりそうですが、ゲームへの登場はなさそうで残念です。
ゲームからの登場人物は、恵、美亜子の他に、野々村先生と教頭先生、そして尚人です。

此花4について:
大見優子、前半では、ヒロインの一人に昇格しています。
亘も再登場で、レギュラー化決定でしょうか。
壬和子は、登場しないようです。
川澄さんの歌がなくなっているようなのが残念です。
セーブ方式が変わっていますが、以前のほうが分かりやすかったです。
ストーリーは二部構成になっています。
とりあえず推理シーンまでを見てから、一度戻って推理に必要なシーンの選択肢を探るといった感じが少し面白かったです。

関連記事:此花 リアルがあるとは世の中油断できない

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10月 14, 2004

不運体質の少女騎士「聖ベリアーズ騎士団!」

庶民出身の新米女性騎士が、王女様に振り回されるコメディ調のファンタジーです。
「聖ベリアーズ騎士団!」著:霜島ケイ/絵:美剣綾子(スーパーファンタジー文庫 1996年刊)

主人公のシャルは、騎士養成学校を卒業したばかりの武術に優れた少女です。
喧嘩っ早いけど真っ直ぐで、常識的なのにトラブルを呼び寄せてしまいます。
ボーイッシュでどちらかと言えば無口なキャラですが、心の中では、周りの人にツッコミまくりで楽しいです。

剣と火薬は登場しますが、銃や魔法は無しの世界観です。
シャルの一人称で語られます。

有力貴族の不興をかったために、周囲から落ちこぼれといわれる、たった8人の騎士団に配属され、着任そうそう、隣国から戻ってくる王女様を迎えるための護衛の隊列の端っこに加わることになります。
権力闘争に巻き込まれ翻弄される新任女性騎士のサクセスストーリーです、たぶん・・・。

やる気のなさそうな団長。
優れた技術を持ちながら性格に問題のある団員たち。
主人公以外は、王女さまも含めて、一癖も二癖もある人物ばかりです。
主人公、敵よりも味方に困らされます。

二転三転する展開の早いストーリーと、王道的なキャラ配置が、いいバランスです。

リンク集: 霜島ケイ

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10月 12, 2004

ジャンキーな雰囲気「食卓にビールを2」

日常に非日常が混入する、女子高生が主役のSFコメディ短編集の2巻目です。
「食卓にビールを2」著:小林めぐみ/絵:剣康之(富士見ミステリー文庫 10月刊)

目次から、ショートショート2本と長編1本かと思いましたが、「伝説のスネークマスター編」も、ほぼショートショート短編集でした。

サクッと読めて、後に残りません。
スナック感覚で楽しめました。
明るくて楽しくて、かすかに不気味です。

退屈してる主婦で高校生で小説家だという設定上の無理が、変な化学反応を起こしている感じです。
前巻では、主婦編と高校生編とに分離していたのですが、今回は、一つの話の中に混在しています。
そのため、主人公、一見まともに見えて実はどこかのネジが外れているといったキャラに見えます。
自分は正常と思いこんでいる危ない人というか、なにか悪いクスリでもやってて現実感を喪失しているような感じです。

科学っぽい用語が出てきますが、コメディなので、あくまで味付け程度に流すのが吉でしょう。

私主観で語られるストーリーの、どこが現実なのか空想なのか分からないような奇妙な雰囲気が、味になってます。
その点、最後のほうに出てくる夫主観の部分は、蛇足な感じです。

リンク集: 小林めぐみ剣康之

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10月 11, 2004

修行と恋「裏切りの玄武院」

13歳の見習巫女、トモコが活躍するドタバタ・ホラー・コメディの第2巻です。
「仮免巫女トモコ2 裏切りの玄武院」原案:南原順/著:工藤治/絵:近永早苗(ログアウト冒険文庫 1995年刊)

トモコたちは、人間と結婚しようとしている妖怪がいるとの知らせを聞いて、東北の小さな農村・安曇村へと、調査に向かいます。

中学生少女3人組みが垣間見る大人の恋愛といったストーリーです。
恋愛部分はシリアスなので、ラブコメといった感じはあまりしません。

今作も最初から、バカ全開です。
ホラーな味付けです。
怖くはありません。

3人の友情も深まります。
前作では不発の多かったトモコの霊術も、大活躍です
五十嵐ゆかり、押しかけ弟子となって前作以上に活躍します。
偶然と言い切る大月美弥子が、カッコイイです。

村の老婆など脇役もいい味出しています。

リンク集: 工藤治

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10月 10, 2004

明るいホラー「仮免巫女トモコ」

愛情を求めることが不器用な少女たちのスラップスティック・ホラーコメディです。
「仮免巫女トモコ」原案:南原順/著:工藤治/絵:近永早苗(ログアウト冒険文庫 1995年刊)

アクセル全開のバカ小説です。
幼いときから修行に明け暮れてきた少女が、友達をゲットします。
あまり怖くはないですが、ホラーな雰囲気も味わえます。

妖怪に魅入られた女子中学校が舞台です。
怪異を祓う陰陽道寺院の一人娘で、13歳の巫女見習、トモコが主人公です。

人々を呪詛、悪霊から守るという使命に燃えています。
明るく素直な彼女ですが、思いこみが激しく人の話を聞かずに暴走します。

本質的な悪人は登場しません。
一見、傍若無人に見えるトモコの行動も、好意を拒絶されることへの恐れの表れだと思えば、いとおしいです。

言いまわしの一部に多少気になる点もありますが、サクッと読めます。

主人公に見込まれるタカビーなお嬢様・美弥子もいい感じです。

リンク集: 工藤治

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10月 08, 2004

理系なお姫さま「英雄と王冠」

規格外で役立たずなお姫さまのサクセス・ストーリーなハイ・ファンタジーです。
「ダマール王国物語(2) 英雄と王冠」著:ロビン・マッキンリイ/訳:渡辺 南都子(ハヤカワ文庫FT 1987年刊)

主人公は、王の娘に生まれながら、母親の血筋が謎であるために周囲から疎まれ孤立しています。
王族であれば、誰もが持っている「賜物」と呼ばれる魔法の力も、年頃になっても発現せず軽んじられています。

彼女は、立場に甘えず、「賜物」がなくても王族の責務を果たせることを示そうと、一人で道を模索し、黙々と努力を積み重ねていきます。

すずしげな味わいの正統派ファンタジーです。

傷を負った馬との交流と、秘薬復元の試行錯誤の過程がほほえましいです。
少数ながらも、暖かく見守る人々の存在も、いい感じです。

竜との対決の結果も、衝撃的で、単なる英雄譚となっていないのも素晴らしいです。
英雄って何だろうと考えさせられます。

字が小さく、原文のせいか翻訳が悪いのか、長い段落も多くやや読みにくいです。

王冠奪還のエピソード、神話的な感じで悪くはないのですが、少し唐突です。

ルーサとのエピソードは、生身の女性であることを示したかったのかもしれませんが、安手の昼メロといった感じがしました。
トーが、憐れすぎます。
この部分だけイーリンがやたらと自己憐憫に浸っているのも違和感があります。

最後の決戦シーンは、前半の調子に戻ってそれなりに締めくくられていますが、うやむやにされてしまった感もあります。

会話より、描写で進んでいくストーリーや、不器用だけどひたむきな主人公の泥臭い活躍など独特の味わいが楽しいです。

前作の「青い剣」は、イーリン姫が伝説となった数百年後のダマール王国が舞台です。
19世紀末か20世紀初頭の植民地時代といった雰囲気です。
イギリスを思わせる本国から、砂漠の植民都市へとやってきた背の高い少女が主人公です。
狩猟猫や砂漠の民の風俗など魅力的です。
馬をもらってからのストーリーはスピード感があります。
ただ、導入部が、無意味に長いのと、ストックホルム症候群?といった設定が引っかかります。
さらわれてラブラブというのは、女性から見てOKなのでしょうか。

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10月 06, 2004

辺境星系でクラブ活動「ミリー・ザ・ボンバー」

巨大な全寮制の学園が舞台のSF学園コメディです。
「ミリー・ザ・ボンバー シリーズ(全3巻)」著:都築由浩/絵:そうま竜也(青心社文庫 1996,2001年刊)

行動派で趣味に生きるミリーが相棒のセリナを巻き込み、自作の変な発明品で大暴れします。
少し古めのSFといったストーリーです。
特殊効果の銃や変形する宇宙戦闘機などのガジェットもいっぱいです。
ミステリー風の味付けがされていますが推理物ではありません。

全体に、ラブコメ要素は薄いですが、巻を追うごとに少し増えていきます。

最近では、すっかりエロ・レーベルとなった青心社文庫ですが、この本にはHシーンはありません。

主役は、アシスト役のセリナで、彼女の一人称で語られます。
妙なアイテムを作るのも事件を解決するのも、シリーズ名の通りミリーです。
普通であればミリーが主役でしょう。
外伝とかでなら、こういう配役もありそうですが。

セリナの視点で描かれているために、楽しげにはしゃぎまわっているミリーを、ほのぼのと眺めたり、騒ぎにちょこっと参加してみたりといた味わいで、いい感じに文系のクラブ活動といった雰囲気なのです。

イラストも楽しく、雰囲気によく合っています。

「ミリー・ザ・ボンバー1 発進!! 宇宙かける爆弾娘」
生徒の行方不明事件を解決しようと奔走する話。

「ミリー・ザ・ボンバー2 暴走!! 弾丸レース危機いっぱい」
陰謀を暴くために、小惑星帯を縦断する小型宇宙機ラリー・レースに、参加する話。

「ミリー・ザ・ボンバー3 絶叫!! ぱにっくイン宇宙水族館」
宇宙に浮かぶ巨大水族館で事件に巻き込まれるパニック物

リンク集: 都築由浩

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10月 03, 2004

ドラゴンと生きる「ドラゴンライダー」

異種族間の戦争を描く、練られた世界観のエピック・ファンタジーです。
「モンスターメーカー ドラゴンライダー(上・下)」著:鈴木銀一郎/絵:九月姫(富士見ファンタジア文庫 1991,1992年刊)

恋愛やコメディ要素は低く、オーク族の悲しい運命も語られているのですが、不思議と重い感じはしません。むしろ、軽快で爽やかな読み心地です。

一つの戦役を中心とした歴史群像的に描かれています。
戦争の発生を社会のありようという視点から描いてあるのが興味深いです。

歴史の中に忘れ去られようとしているドラゴンライダーという生き方を、自らの意思で受け継ぐ少女の物語りでもあります。

ストーリーは、山奥の閉鎖的な村で育った少女・アイラが、密かな夢であったドラゴンライダーとなり、広い世界を旅して種族間の大戦争に関わり、帰還してドラゴンライダーの系譜を継ぐという流れがベースとなっています。

上巻では、アイラ、魔術師、歴史学者、反乱王の物語りが各章ごとに語られます。
下巻では、猫のような種族の貴族の娘と博打好きの剣士が加わり、世界全体を巻き込む戦乱が描かれます。

世界はコンパクトで、基本設定は単純明快です。
シャーズ族の生活など、魅力的な設定もいっぱいです。
「モンスターメーカー」は、カードゲームから始まり、ボードゲーム・コミック・ゲーム機のRPGなどへと発展したシリーズです。
それらと世界観は共有していても、どれかのノベライズではありません。

キャラクター中心というより、ストーリー中心で描かれています。
題名にも関わらず、ドラゴンライダー中心の部分は量的には少ないです。
上巻では、一章のみですし、下巻の中盤は、魔術師中心に話が進みます。
力強く愛らしいドラゴンの活躍をもっと見たかったです。
その点が少し不満ですが、第一章は、それのみでも一冊分の価値があると感じるほど好きな話です。

文章は、無駄なく簡潔です。
アイラが山を降り、王国を旅して世界の中心の島に渡るまでは、たった9ページほどですが、外の世界に対して戸惑いながらも次第に世慣れていくさまが、過不足なく描かれています。

戦闘シーンは少ないのですが、単に盛り上げるためのイベントではなく、やむにやまれぬものとして描いてあって好感が持てます。

銀河企画から、イラストを変えて再版されているようです。

リンク集: 鈴木銀一郎九月姫

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10月 02, 2004

もうすぐ完結?「百鬼夜翔 霧が閉じる黄昏」

人間と人間社会に隠れ住む妖怪たちを描く連作小説シリーズの13巻目です。
「シェアード・ワールド・ノベルズ 百鬼夜翔 霧が閉じる黄昏」著:友野詳 + グループSNE/絵:あるまじろう(角川スニーカー文庫 10月刊)

鬱々とした細切れのエピソードが長々と続いて退屈でした。

「百鬼夜翔シリーズ」は、「妖魔夜行シリーズ」の続編シリーズです。
今シリーズも、一般社会を巻き込む最終戦争で終わりのようです。
しかも、日本限定とスケールダウンしています。
それとも、このあと混乱が世界全体に波及するという最終決戦の2段構えなのでしょうか。
どちらにしても、もう少し別の終わり方を工夫して欲しかったです。
前回の最終決戦で大量に生じてしまった被害者たちと不安定化した人と妖怪の関係のゆくえが、今回のシリーズのテーマだと思っていたのですが違ったのでしょうか。
さらに同じパターンで被害者を増やしてどうするつもりなのでしょう。

半分程度の話を、水増ししたような感じで、緊迫感がそがれました。
今回は、複数の作家が書いたエピソードを、分解して編集したとのことなので、遠慮があって無駄を削れなかったのでしょうか。

ひかりの遭遇した事件、前半の記述と後半の本人の語りが噛み合ってません。
金属パイプは変でしょう。
霧で意識なり記憶なりを操作されているのだとすれば、お手軽な悪魔です。ひかりの魂の価値、軽すぎます。

知ってて当然のごとく語られる「樹海の件」にかなり戸惑いました。
あとがきによると、リプレイ集のエピソードのようです。
小説は、小説を読んでいれば分かるようにしておいて欲しかったです。

次が下巻とのことです。どうやって扉を開くのか注目しています。

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