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9月 01, 2004

炎の怒り「ウルティマ妖魔変」

面白いのにコンパクトなアクション伝奇。
「ウルティマ妖魔変(全3巻)」著:西谷史/絵:末弥純(角川文庫/スニーカ文庫 1988-1990年)

八角形八階建ての特異な形状のビルの七階にあるSEルームで、主人公・拓磨は、一人、デスクでリアルタイムのデータに目を通しています。

当時、たくさん出版されたSFホラーアクション伝奇の一つです。
バブルまっさかりの頃で、このジャンルの本は、むやみにパワーにあふれていました。
突然、主要キャラが死んだと思ったら、脈絡もなく復活したり、途中で別の話が割り込んだりと、ストーリー展開はかなりむちゃくちゃなのに、勢いがあってなぜか読みつづけてしまうといった感じでした。

面白かったものは、ずるずる続いて、いつまでたっても終わらずに未完のままか、登場人物の大虐殺で強引に終わったりしてました。
この本は、全3巻と短くまとまっているのに、このジャンルのいろんな要素が濃縮されていて、当時の雰囲気を感じるにはお手ごろです。

地球と異界が交わることで起きる、暴力の嵐といったストーリーです。
物語りは、2つの平行世界で、同時に進行していきます。
ひとりひとりの登場人物に、人間の良い面と悪い面とが混在しています。

ほとんどの登場人物が、自分の欲望を追求することに躊躇しません。
目的のために他人を利用するのは基本です。
だからといって悪人というわけでもありません。
見返りなしで、他人を命がけで助けたりします。

タイトルにあるウルティマは、今でも有名だとは思いますが、コンピューターRPGの祖先の一つとなったゲームです。
どのへんがウルティマかというと、異世界側の設定の一部にウルティマIVの設定を借りています。
敵キャラは、ウルティマI~IIIからも登場します。
ウルティマへのオマージュなのですが、良い意味で、ウルティマらしさに拘ってはいません。
ウルティマ知らなくても問題なく読めます。

音楽が、重要な意味を持っていたりします。
前半は、巨大芸能プロダクションが主要な舞台となっています。

ときどき、こういった泥臭くてパワーのあるものを、むしょうに読みたくなります。
最近のライトノベルのは、どれも洗練されてきていて、わけのわからない勢いだけで読ませるようなものは少なくなったように感じています。

余談ですが、「ファンタジー王国 1(カドカワノベルズ 1991年)」というアンソロジーに、後日談となる「電脳塔の恋人たち」が収録されています。
ちょっとしんみりするいい感じの短編です。

リンク集: 西谷史

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