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8月 08, 2004

臆病な愛「七つの人形の恋物語」

「七つの人形の恋物語」著:ポール・ギャリコ/訳:矢川澄子(角川文庫 1978)
二編の愛の物語りが収録されています。

「白雁(スノーグース) (1941年)」
第二次世界大戦の闇が迫りくる暗い時代を背景に、エセックス(英国)の河口の沼沢地を舞台として、身体にハンディを抱えた孤独な男と、幼い少女と、渡り鳥のたちの交流を描いた短編です。
詩的で絵画的な美しく哀しい物語りです。

「七つの人形の恋物語(1954年)」
ムーシュ(蝿)というあだなの少女の物語りです。

女優にあこがれて田舎からパリに出てきたものの、転落の末に、女の魅力がないとストリップ小屋からさえ放り出された少女。
自殺しようとセーヌ川へと向かう途中、闇の中から不思議な人形に呼び止められます。

戦争帰りの粗暴で冷酷な男と、幻想と現実のあやうい境界に立っている少女とのコメディ・タッチのメロドラマで、微妙にサイコな物語りです。

たった3人の旅芸人一座のサクセス・ストーリーでもあります。
おんぼろシトロエンでパリからニースへと旅をします。
全体にただようボヘミアン的な明るさと、やさしい結末で、ホノボノします。

楽しい昼と、残忍な夜とが交錯しなが物語りは進んでいきます。
暴力男と不幸体質の女のグズグズの関係といってしまえば、それまでですが、泣ける物語りです。

この本の難点を挙げれば、「表紙の絵がエロい」という点でしょうか。
金子國義によるオシャレな絵ではあるのですが・・・。
当時まだ純情だったわたしは、ポール・ギャリコの代表作の一つである「スノーグース」が併録されていなければ、購入しなかったでしょう。
収録されている二編ともエッチな話ではないのになんでこの表紙なのか謎です。
衝撃的なシーンもあるので、子供除けだったのでしょうか。

追記 2004年08月09日 18時31分31秒
今、amazon.co.jpで、現在、購入可能と思われる王国社版の表紙を見て、ちょっとした衝撃を受けました。
なんでしょうこれ・・・。
こんな表紙の本、絶対買いません、だって呪われそうじゃないですか。
この物語りは、ちょっとだけサイコ風味ですが、ホラーじゃありません。
もっと、美しいお話なのです。
これに比べれば、たとえ物語との関連が見えないとしても角川文庫版の表紙のほうが1万倍はましです。
角川文庫での復刊を望みます。

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